2022年08月01日 (月)
【ライヴレポート】<nurié 3rd Anniversary Oneman「生きてて偉い」>2022年7月29日(金)池袋EDGE◆可能性の煌めきをこれでもかと見せつけたライブ──。
REPORT - 21:00:44池袋EDGEは3年前の2019年7月29日に、主催ライブ「染色」でnuriéが始動を開始したライブハウスである。
その場所で、2022年7月29日、3rd Anniversary Oneman「生きてて偉い」が開催された。ドラムの染谷悠太、ギターの廣瀬彩人、サポートベーシストのNAOCHI(電脳ヒメカ)がステージに表れ、クラップハンドで会場の熱を高めると、ヴォーカルの大角龍太朗が両手を広げながら軽やかに登場し、「RooM-6-」で華々しく開幕。
この3年の思いを今日は全て込めるという心意気が感じられるはちきれんばかりのパワーで、「人として人で在る様に」へ。曲の合間には廣瀬が激しく胸を叩くパフォーマンスも見せる。この日廣瀬は、ステージで何度もターンを決め、マイクを外して叫ぶなど、エモーショナルな姿を頻繁に見せていた。
染谷の軽やかなドラムのリズムがリードする「骨太もんちっちくん」では、振りのレクチャータイムをいつも以上に丁寧にガイドして、フロアは一体感を増していく。
大角がステージを縦横無尽に動き回る「【ばいばい】」の迫力から、シンバルの音が異世界への入り口を開くように「百鬼夜行」へ。ブルーのライティングが妖艶な世界へと誘っていた。
「ようやくここにワンマンライブで帰ってくることができました」という大角の最初のMCから、3周年ライブを迎えた思いを聞かれた染谷は「3年間必死に走ってきたから一瞬に感じる」と答え、早くもこの3 年の歩みを熱く語る一面が見られた。
染谷が「ステージに上がってきて、来てくれている人から思っている3倍くらいの熱量をぶつけられているんですよ。だから、思っている3倍で返している!」と話したように、ライブはさらにそのボルテージを上げていった。
「自由に自分たちの思いや心を持つことが悪いことじゃないよというのを歌にしました」という大角の言葉をきっかけに始まった「晴天に吠える」。
「あの日の映画みたいに」ではオレンジの照明が、楽曲の確かな愛の温もりをさらにあたためていた。
この曲を歌い終えた後、大角が語り始めた。
「俺たちが笑っているとき、今日も世界のどこかで苦しんでいる人がいて。でも、それを全部俺たちが受け止めていたらキリがないからさ。しっかりと今この瞬間を楽しんで未来に繋げよう」。
そして「命に値段を貼られ生きる」へ。この曲は今から2年前の夏、2020年8月に発表された曲だが、まるでここ最近の世の中の不穏なニュースの中を生きる現代社会を表しているかのようで、一際胸に迫るものがあった。
この日会場では、8月10日に全国リリースとなる4th single「生きてて偉い」が先行リリースされた。このシングルに収録されている「阿保やん。」がここで初披露された。
ミラーボールのきらめきの中演奏された曲は、関西弁のタイトルからは意表を突く、洗練されたダンサブルなサウンド。初めて聴いた曲にも関わらず、早くもオーディエンスたちは身体を揺らしていた。
シティ・ポップのセンスも感じるこの新曲から「夜の所為にして」へと繫がれ、フロアがロマンティックな陶酔感で満たされる。大角が女性目線で歌う「今晩だけのサーカス」まで、nuriéが叙情的なラブソングの表現力にも長けていることを伝えるシーンとなった。
「まだまだこの夜が終わって欲しくないね。まだまだ音楽で遊びたいね」と大角が発すると、それに応えるように、染谷がリズミカルなドラムでテンションを上げ、NAOCHI(電脳ヒメカ)のベースソロから、大角の「ギターヒーロー負けるな!」との言葉を受けて、廣瀬がギターの音色で応酬。
その勢いのまま「今宵、未来の為に歌おう。」を高らかに披露。4年目への歩みを進めていくnuriéが辿る道を、バンドとファンが一体となって切り拓いていく。
大角は曲ごとにその表情を変えていくのだが、「愛を歌わせろ人生」では、彼自身の孤高の意志の高さを発揮するように鋭い目の光を湛えて、クライマックスに向けての激情のレベルを上げていく。
3周年の日を迎えたことについて大角はこう話した。
「よく聞くんだけど、3年もたないバンドがすごく多いんだよね。でも、俺たちは3年前にこの場所で始動ライブをしてから、3年後にいなくなっているなんて、誰も疑っていなかった。
俺たちは俺たちの未来を1番信じているし、周りにいてくれる人も間違いなく信じてくれている。辛い出来事も経験してきたし、凝縮された3年間だったとも言える。
5月23日にOSAKA MUSEからライブ活動を再開して約2ヶ月間。本当にいろんなことを思いながら歩みを進めてきました。俺たちは本当に大切なものを失ってしまったけど、それ以上に大切にしたいことがたくさん増えました。
この大切を背負って、俺たちは未来を生きていかなきゃいけないということ。大事なものはもうしっかり目で見えている。俺たちに大事なものは間違いなく、あなただ!」。
そして、「この曲に全てを賭けていた」と力強く放たれた楽曲は、nuriéというバンドを象徴する曲「透明に混ざる。」。nuriéとファンの愛が混ざり合って生まれた未来への扉の鍵によって、将来への新たなドアが確かに開け放たれる瞬間を迎えた。
「ここから未来に向かって歩んでいく。今日はこの言葉を贈って締めたいと思います。俺たちみんな、生きてて偉い」。この日のライブのタイトルにもなった、最新シングル「生きてて偉い」が、本編のラストで歌われた。染谷のダイナミズムなドラムは、生きる力を証明するかのように曲を壮大なスケールへと広げていく。
生きて思いを伝えられること。その思いを受け止める多くの人が集まったこと。今、この瞬間に生きているその事実がどれだけ尊くて、希望に溢れているか。生の輝きが、彼らの3周年の記念日を鮮やかに照らしていた。
本編の熱が冷めやらぬ中、映像でnuriéからの最新情報が解禁された。
その中で最も大きな未来への約束となったのは、1年後の7月29日、4周年の日に行われる新宿BLAZE公演。
映像のスクリーンが上がり、アンコールの幕が開かれて、最初に演奏した曲は「ランナー」。現時点で、nurié史上最大規模となるキャパシティのワンマンライブへ向かって、ここから彼らはさらなる挑戦へと走り出す。
この日のライブ後にMVが解禁された、4th single「生きてて偉い」に収録された「ミルクティートリップ」への初披露へと続き、ポップできらめきにあふれた曲にぴったりと合ったかわいらしいピンクのライティングの中、ファンの笑顔とジャンプが弾ける最高にハッピーな展開から、3年前の夏にリリースされた、nuriéの1stシングル「モノローグ」、「カンセツショウメイ」と、3周年を迎えた彼らがファンへの感謝を優しく伝えるように音楽が寄り添っていた。
大角は来年の新宿BLAZE公演に向かって「無謀だと笑われようが俺たちはやる。しっかりと意味のある一歩一歩で進んで、この1年間を突き進んでいきたいと思います」と高らかに宣言。
最後に残った力を振り絞るように「白を溢す。」を歌い上げて、3周年のワンマンライブのフィナーレを飾った。
この日演奏された全ての楽曲に彼らは全力だった。
2022年7月29日までの彼らの生き様を、ひたむきに曲に託していた。
この3年の間で生み出された曲たちが、nuriéが3周年に至るまでの物語を紡ぎ上げていた。
未来は何が起こるかわからない。しかし、nuriéというバンドの未来は信じられる。
可能性の煌めきをこれでもかと見せつけた彼らが進む先には、確実に心が躍る瞬間が待っているだろう。
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◆セットリスト◆
1. RooM-6-
2.人として人で在る様に
3.骨太もんちっちくん
4.【ばいばい】
5.百鬼夜行
6.晴天に吠える。
7.あの日の映画みたいに
8.命に値札を貼られ生きる。
9.阿呆やん。
10.夜の所為にして
11.今晩だけのサーカス
12.今宵、未来の為に歌おう。
13.愛を歌わせろ人生
14.透明に混ざる。
15.生きてて偉い
En
1.ランナー
2.ミルクティートリップ
3.モノローグ
4.カンセツショウメイ
5.白を溢す。
(文・武村貴世子/写真・Ayami Kawashima)