2022年08月17日 (水)
★ロングリリースインタビュー★【Chanty】2022年8月10日発売New Single『余白』◆──『余白』が完成した時、メンバー全員が“やっぱり、Chantyをやっていて良かったな”って報われた感みたいなものを感じたと思う。──
NEWS - 20:00:249周年を目前に控えたChantyが、New Single『余白』をリリースした。
『群青』『おねがいごと』という異なるタイプのキラーチューンが収録された今作は、自他共に認める現時点での最高傑作となった。
その制作の陰でメンバーが感じていた葛藤と作品が完成した現在の想いを、赤裸々に語ったインタビューをお届けする。
自分達の音楽と真摯に向き合い、一歩一歩着実に積み重ねてきたChantyの強さを感じて欲しい。
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●「Chantyはカッコいいバンドです。」と、ちゃんと言葉にするようになりました。
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――作品に関するお話の前に、現在のChantyについて少し伺わせてください。
一同:はい。
――最近の皆さんのSNSを拝見すると、自分達の音楽や存在を伝える事に対して以前にも増して貪欲さを感じるんです。「Chantyというカッコいいバンドをやっています!」と、はっきり言葉にして発信している印象が強くなった。
野中:貪欲さはずっと持ち続けているんですけど、これまでは隠していたんですよ。Chantyって、陰湿なバンドなので・・・(笑)。
――“陰湿”ですか!?
野中:そう、ズルいバンドなんです。言いたい事や言えるだろうって事があっても、言わずに心の内でだけ思っているような所がある。
白:そうだね。特にTwitterは言葉での表現がメインになるツールだけど、そこに対してストレートに表現してこなかった。最近は、それがストレート気味になってきたんじゃないですかね。
――意図せず、自然に?
野中:うん、そうだと思います。“Chantyはめちゃくちゃカッコいいバンドだ!”と思っている事自体は過去も現在も変わらないので、心境の変化でも何でもないんですよ。ただ、これまでは誰かに「Chantyってカッコいいですよね!」と言って頂いた時、口では「いやいや!」と言いながら心の中でマウントをとっているような感じだったんです(笑)。
白:「いやいや、そんな事ないですよ!」と言いながら(笑)。
野中:内心は「当たり前じゃん、カッコいいんだから!」と思っている。
――そういう意味で“陰湿”という言葉を遣われたんですね。
野中:はい。今は「そうなんです、Chantyはカッコいいバンドです。」と、ちゃんと言葉にするようになりました。我慢せずに隠さずにというとまた語弊があるかもしれないけれど、カッコいいと思っているなら素直にそう言ったほうがいいなって。あと、これは自分自身も今こうして話している中で感じた事ですけど・・・成人くんが脱退して3人体制になって、やっぱり4人居たメンバーの中の1人が欠けるってバンドにとって本当に大きな出来事で。それによって、1人1人の責任感や役割も大きくなっていって、気付かないうちに今までは持ってこなかった欲が生まれてきたのかもしれないですね。
――以前、芥さんが「ステージング面でも良い意味でそれぞれの我が出てきて、楽器隊の2に負けられないと感じる場面が増えた。」と仰っていましたが、そういう部分も全て連動して自然と今の形になったのかもしれません。
野中:おそらく、僕らは意図してやろうとしたら上手くできなかったと思います。全員が器用にできる方ではないんですよね。
白:スベり散らかしてそうだよね(苦笑)。
――「狙って作曲しようとするとできない。」に通じるような・・・。
野中:本当に、そんな気がします(笑)。
白:Chantyは、嘘をつけないというか演じる事ができないメンバーばかりなんですよね。中には演じきれるタイプのアーティストも居ると思うんですけど、僕らは心から思っていない事を言葉にはできない。だから、今まではあまりSNSが活発に動いているほうではなかっただろうし、言葉を選んだり悩んだりした挙句、更新が滞る事もあった。最近は段々とフィルターが取り払われて、感じた事をすぐ言葉で表現するようになってきたから、Twitterなども少し盛り上がっているように見えたんじゃないかなと思います。
芥:あとは、久しぶりにイベントツアーをまわっているのも大きいですね。対バンイベントって出鼻を挫かれる事もあれば、自分達自身で“Chanty、カッコいいじゃん!”と感じられる事もあるので。
野中:ここまでしっかりとイベントツアーをまわるのは、コロナ禍になってから初めてですからね。
――そうですよね。皆さんの言葉から、今のChantyに本当に自信がある事が伝わってきて嬉しいです。
白:自信はありますね!
芥:うん、自信はあります。
野中:同時に、自信と同じくらいの大きさの怖さもあります。
芥:あぁ、それはそうだね。
――自信だけになってしまうと、それはそれで危険なのでしょう。
一同:確かに!
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●『余白』が完成した時、メンバー全員が“やっぱり、Chantyをやっていて良かったな”って報われた感みたいなものを感じたと思う。
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――『余白』、過去最高を更新する素晴らしい作品が誕生しました。
一同:ありがとうございます!
――作品を象徴するジャケットも美しいデザインです。
白:俺の中でのChantyのジャケットは淡くて柔らかいイメージだったので、1周まわってChantyらしいデザインに戻って来た感じがします。。
野中:あぁ、初期はそうだったもんね!
芥:女の子のイラストとか。
白:そうそう。俺が加入したあたりは、ちょっと刺々しい印象のジャケットが多かったんですよ。
――今作は楽曲に関しては完全に楽器隊に任せて、芥さんは歌詞に集中する新しい制作方法だったとか?
芥:はい、楽曲は完全に2人に任せました。僕は普段、何に関しても口を出さないと気が済まないタイプで。バンドはメンバー全員で作っていくものだから口を出すのも当然ではあるんですけど、“それでできているChantyってどうなんだろうな”と自分の中では結構引っ掛かっていたんです。これまでずっとそういう形でやってきたわけだし、勿論そうであるべき部分もあるとは思う。でも、“Chantyはメンバー皆で作っている”という事に僕はちょっと固執し過ぎていた。自分の欲求で過度に干渉したり、時としてメンバーに対して過保護な部分もあったと感じるので、今回は全て任せてしまおうと。それで生まれたものを、自分は愛せるのかどうかも知りたかった。
――“愛せるのか”、ですか。
芥:うん。もしこうして2人に全て任せたものを自分が愛せなかったなら、その状態で僕がこのバンドを続けていくのはどうなのかと考えなくてはいけないなと思っていたくらい。
――そのお考えを白さんと野中さんには伝えていらしたんですか?
芥:伝えてはいないです。
白:伝えられてはいなかったけど・・・正直、制作中の空気はあまり良くなかったですね。
野中:白くんが加入してから一番、バンド内の空気が良くなかったと思います。
芥:閉塞感が凄かったんですよね。この体制で活動する中での、色々な面の逼迫がそれぞれに押し寄せて来て。結果に対しての逼迫、未来像に対しての逼迫、少しリアルな話になりますけどバンド運営面での逼迫。自分達の想像以上に色んな事が逼迫してきて、色んな事が削られていって。各々が各々の正解を考えていたけれど、それが折り合っていなかったですし。
白・野中:そうだね。
芥:そんな状況下での制作で、尚且つ前作『走馬灯に見た蒼い夢』と同様、コロナ禍の影響もあって今までのChantyが得意とする方法で作業ができるわけでもなかったし。そういう意味でも、良くない空気だったと思います。
野中:何をするにも、常にストレスと隣り合わせでしたね。
芥:でもね、この作品が完成した事で不思議と解放された感覚はあるんですよ。
――きっと、この作品が突破口になるかどうかに賭けていらしたんですよね。
芥:僕自身はそうですね。
白:『余白』が完成した時、メンバー全員が“やっぱり、Chantyをやっていて良かったな”って報われた感みたいなものを感じたと思うんですよね。それって、バンドを続ける上でのモチベーションとして一番と言ってもいいくらい大事なんです。僕らは純粋に音楽が好きでバンドをやっているし、自分の音楽が好きだから、Chantyが好きだから、このバンドは9年間続けてこられた。そういう事を、音源を作ったタイミングで再確認できるのが一番大事。きっとそれが再確認できなくなった時、生み出した作品に対して“これはダメだ”と感じた時に、バンドは終わるんだろうな。
野中:考えてみたら、バンドってその繰り返しですよね。これまでの全ての作品に対して、自分達自身も毎回“良い作品ができた!”と感じる事ができているので。だからこそ、レコーディングでマスタリングまで終えた時に心の底で良く思えない瞬間がきたらどうなるんだろうという怖さはずっとあります。
――その怖さと隣り合わせの中、全身全霊で真剣に取り組んできたからこそ、ここまで伝わる音楽を生み出し続けてこられたんだろうと思います。
野中:気持ちとしては余裕を持ちたいですけどね。9年間、一生余裕が無いっていう(苦笑)。
――バンドって世間からは「楽しそうでいいね!」と思われる事が多いですけど、実際は全く気楽なものじゃないですよね(苦笑)。
野中:全然違いますよね。バンドをやっていない自分のほうが幸せだったかもしれないと思う事もあるくらい。
芥:確かに。
白:バンドでしか味わえない事もたくさんあるんだけどね。
野中:そう、何かをやり遂げた時の達成感は凄いです。
白:人間って、歳を重ねると子供の頃みたいに純粋にワクワクできるタイミングがどんどん減っていくじゃないですか。俺にとっての音楽はまさにそれで、童心にかえるタイミングがある事が大切なんです。音楽に対してそれを感じられなくなってしまったら、個人的にはもう続けていく意味が無いと思うだろうな。
――わかります。今作からは赤裸々さを感じる部分があったのですが、お話を伺う中でその理由が少しわかった気がしました。今の心情が素直に表れたからこそ、一層伝わるものがあったのだなと。
芥:確かに、そうですね。
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●自分自身でも“あ、根がChantyだったんだな!”という発見になりました。
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――曲のお話に移ります。まずは、楽器隊の楽曲制作について伺えますか?
野中:2曲とも、白くんが頑張ってくれました!
白:ありがとうございます(笑)。皆で曲を出し合って選んでアレンジしていく流れだったんですけど。『群青』は自分が出した曲で、『おねがいごと』は拓さんが持っていた原曲をモチーフにして作り直したものです。これまでの曲作りを振り返ると、やっぱり俺個人はChantyに楽曲を寄り添わせたい気持ちが強くて。メンバーからは「自分を出していいよ。」と言われていたし、変に気にする必要は無かったんですけど、心のどこかでバンドに寄せようとしていた部分はあるんですね。でも、今回はそこが吹っ切れて、完全に自分の好きなように書いてみようと。作曲過程では“これは果たして本当にChantyなのかどうか”という不安もありましたけど、実際に完成させてみたら2曲ともきちんとバンドにハマったので、自分自身でも“あ、根がChantyだったんだな!”という発見になりました。特に、『群青』は俺からするとあまりChantyらしくないイメージなんですよ。ファンの方達は芥さんの歌まで入った完成形を聴いているからそうは感じないかもしれないけれど、歌メロがピアノの音で入ったデモ段階だと、俺自身は好きだけど「Chantyらしい曲か?」と訊かれたらわからないなと思っていました。だけど、そこに拓さんのベースが入って、芥さんが歌い上げたら、“あぁ、Chantyになった!”と感じられたんです。
――「どんな楽曲でも、このメンバーでやればChantyになる。」が体現された曲。
白:そうですね。意識的にバンドに寄せようとしなくても、自然とそうなったのが今回の曲達です。
――『群青』の第一印象は、加速していく疾走感や飛び立つ瞬間のイメージが伝わる“ワクワクする曲”で。今「吹っ切れて好きなように書いた。」と仰いましたが、その吹っ切った感が良い方向に作用した気がします。
一同:確かに!
――そして、サウンドで情景を伝える力がとても強い曲だと感じました。ピアノのアレンジも素晴らしいですし、サポートのおふたりとも良い化学反応を起こしていて。全体的に音数が多めですが、バランスが良いですよね。
野中:そうなんですよ。ミックスエンジニアの方がChantyの音楽をよくわかって下さっていることも大きいと思います。
白:あと、今回はデモ制作の段階でメンバーと細かくやり取りするのではなく、俺が楽曲をある程度しっかり形にしてから「これでどうかな?」と投げました。
――それを聴いた時の御感想は?
野中:初めて聴いた時の印象・・・絶対にあるんですけど、思い出せない。自分に余裕が無かったんだと思います(苦笑)。
白:いつもと比べたら、デモにベースを入れてくるのが遅かったもんね。
野中:Chantyの始動から今までの中で一番、フレーズが出てこなかったです。こういう楽曲は大好きだし、フレーズを作る事自体もわりと好きで、弾いていればアイディアが浮かんで来るタイプなはずなんですけど、今回は何も出てこなくて(苦笑)。色んなフレーズを当ててみるものの、どれもしっくりこなかった。
白:拓さんが「とりあえずのベース!」と送ってくるデータって、“とりあえず”と言いつつもかなり精度が高い状態なんです。でも、今回は珍しく結構ブレていたので(笑)。
――「これ以上は待たせられないから、一旦送る!」みたいな(笑)。
野中:本当にそんな感じでした(笑)。結局、レコーディングの3~4日前に完成したんです。
白:でも、良い感じになったよね。
野中:自分なりに“良いフレーズができた!”とレコーディングをしましたけど、さっき白くんから「拓さんがベースを弾いて芥さんが歌ったらChantyになった。」という言葉を聞く事ができたので、今“良かった、嬉しい!”と思っています(笑)。
――素敵な着地でした!ギターのフレーズづくりはいかがでしたか?
白:楽曲の軸ができた時点でピアノを入れようと決めていたので、ギターはそんなにしゃかりきに弾かなくていいなと。
――鍵盤が入る場合、やはりギターが一番バランスを考えますよね。
白:そうですね、鳴っている音域も近いですし。Chantyはガンガンにギターが鳴っているギターロックのバンドというイメージが強かったので、加入してからずっとウワモノのギターなどにしても結構頑張ってフレーズを考えてきたんです。でも、根本的に自分が好きなのは全体のバランスが整った楽曲だから、今回は素直に引く所は引こうと。そう決めた事で、アレンジは早かったです。
――おふたりに全て任せてみた芥さんは?
芥:僕は最終着地点しか見ていなかったので、そこに至る過程に対する感情の昂りのようなものは正直無かったです。というより、これは本当にありがたい事ですけど、僕は自分が任せてもらっている役割だけに全てを注ぎ込もうと決めていたから、サウンドメイキングや音の方向性などに関しても一切意見しなかったですね。メロディと歌詞を生み出すことに全神経を注ぐことができました。それによって2人の負担が増えた部分もあっただろうけれど、とにかく今回は楽曲に関する全てを任せたかったので。
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●僕の中にはずっと、いつか“余白”という言葉を遣いたい気持ちがあった。
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――『群青』の歌詞は、楽曲のイメージと相まって“葛藤から解放へ”という印象を持ちました。
芥:この歌詞は、凄く難航したんです。さっき言ってくれた通り情景が伝わる楽曲だったので、僕の中でもイントロの時点で空のイメージが浮かんだんですけど、覚悟系の歌詞になるのは嫌だなと思ったし、曲の雰囲気に対して適切な言葉がなかなか出てこなかった。あと、デモのタイトルが『おしゃロック』だった事もあって、歌詞の方向性が“オシャレな男女関係のもつれ”みたいな方向性にいってしまったり(笑)。
白:確かに、『おしゃロック』と言われたらそうなるよね(笑)。
芥:でも、『余白』という作品タイトルを付けた以上、それに準えたものを書きたいですし。
――『余白』という言葉からは色々な想像ができますよね。視覚的に見えるものは勿論、演奏の休符や会話の間、文章の行間なども一種の余白と言えますし。
芥:そうですね。そもそも何故『余白』という言葉が自分の中に生まれたかというと、遡る事もう6年以上に前になりますが、5人体制の時期に当時のギターのshia.くんが『余白の色』というタイトルのコラムを書いていたんです。それ以来、僕の中にはずっと、いつか“余白”という言葉を遣いたい気持ちがあった。今回、先に『おねがいごと』でこういう歌詞を書こうと決めて、もう1曲の『群青』でも自分の気持ちの中の余白に対する何かを描きたいとリンクしたんですけど、そこで何をどう書けばいいのか迷ってしまった。これはもう、作品タイトルを先付けしたからいけないんですけど(苦笑)。
――『余白』という言葉の呪縛が(苦笑)。
野中:余白ジレンマだ(笑)。
芥:本当に、余白地獄に陥って(苦笑)。それならいっそのことshia.くんに訊いてしまおうと、「『余白の色』って、どういう意味で付けたタイトルだったの?」と連絡してみたんです。
そうしたら、結構長い文章でその時の想いを返信をしてくれたので、その答えを僕なりに解釈した結果、当時と今が似ているなと気付いた。当時は5人体制で事務所に所属して、わりと活発に活動していたけれど、今になって振り返ってみると閉塞感と焦燥感とジレンマがあって、おそらくバンド内にちょっと嫌な空気が流れていた時期だったんです。あの時の感覚と今は重なる部分があるなと思い出したところから、視界がバーッと開けていった。僕の中では、“思考停止した彼の目に飛び込んだ群青”というフレーズがキーになっているんですけど。自分も含めて、思考が止まってしまっている人達はどんなに綺麗な景色を見ても何も感じないですよね。バンドって、ずっと走り続けているゴールの無いマラソンゲームみたいなもので。何に対してモチベーションを保てばいいのかわからなくなる事を繰り返す中で、ふと上を見たらこんなに広い空があって、飛び立てる場所なはずなのに、僕の目には物凄く虚無に映った。当時の自分と今の自分、そしてバンド内の空気から感じた事から、“いいじゃん、飛んじゃえば!”と思って書いた歌詞です。
――とても素直な歌詞だなと。
芥:うん、素直ですね。
――今回は2曲とも凄く素直で伝わりやすく感じました。
芥:あぁ、良かったです。あ、でも“少年A”は芥という事ではないですよ!・・・もう中年なんで(小声)。
白・野中:(大爆笑)
――まさかの(笑)。一度聴いたらサビの歌詞とメロが頭に残る、シングルらしいキラーチューンだなと思いました。楽曲と歌詞の“吹っ切った感”が上手くシンクロした印象です。
白:俺もこのメロが大好きなんですけど、これまでの芥さんとはまた違ったメロを付けたなと感じたんですよね。
芥:まぁ、歌っていて疲れます(笑)。ライヴでも『おねがいごと』は初披露から極めたんですけど、『群青』はまだ少し時間が掛かりそうです。でも、結果的に色々と良かったなと思います。ここで『余白』という言葉を引っ張り出せた事も、何か巡り合わせがあるんじゃないかな。
――shia.さんと連絡を取って当時感じていた事を思い出したり、今の状況と似ているかもしれないと気が付けた事にも、とても意味があるように感じます。
芥:うん、本当にそう思いますね。
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●どうしても、ライヴでのキラーチューンが作りたかったんです。
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――では、『おねがいごと』のお話に。美しくドラマティックな楽曲に仕上がりました。
白:さっきも話した通り、『おねがいごと』の原曲は拓さんが持って来たデモなんです。それをアレンジしようと思ったけれど一向に進まなくて、“これはもう拓さんの原曲をモチーフにして作り直したほうが早いんじゃないか”と考えている時に、とあるアーティストのライヴを観に行ったんですね。そうしたら、音源ではそこまで響いていなかったけれどライヴで聴いたらとても良いなと感じた曲があって、それが今回の『おねがいごと』にマッチするテイストの楽曲だったんです。そこからインスピレーションが湧いて、数日で誕生したのがこの曲です。
――野中さんが書かれた原曲自体は、いつ頃からあったものなんですか?
野中:今回のデモ出しの日程が決まってから作ったものなので、最近です。個人的には、どうしてもライヴでのキラーチューンが作りたかったんですよ。
――良いですね!でも、キラーチューンは曲調で決まるものではないから難しい。
野中:そう、バラードでも盛り上がる曲でもキラーチューンにはなり得るので。今回も、自分が思うライヴで盛り上がる系のキラーチューンを作りたいと思って頑張っていたはずなのに、1コーラス完成させてみたらバラードだったんです・・・(笑)。
――御自身の目標と曲調は変われど、最高のキラーチューンの原石でした!
野中:でも、そこで余計な事をしてしまったんですよね。野中はギターが弾けないしコードネームもわからないので、自分で弾いて“この響きが良いな!”と感じた音を拾ってそれにベースを当てる形で作曲していくんですけど、“何か嫌だな”とパワープレイで強制的に1音下げてしまって。そのデータを白くんに送ったら、「このコードネーム、どうやって弾いてるの!?」と言われて。
白:そうそう(笑)。
野中:開放弦を使うのに1音下げてしまったから、Chantyのチューニングでは弾けないという・・・。
白:ギリギリ弾けたけれど、どうなっているのかよくわからなくて。拓さんに何回か訊いて「動画やコードを送ってね!」と言ったものの、「ごめん、忘れちゃった!」みたいな(笑)。
野中:結局、その後すぐに白くんが自分でアレンジしたものをまとめて送ってくれて、“あ、カッコいい!”と(笑)。
白:おそらく、拓さんがやりたかった事と合ってた!(笑)
野中:合ってました!
芥:この曲は、既にキラーチューンですね。Chanty一撃必殺シリーズです(笑)。
白・野中:そうだね(笑)。
白:本当に、ライヴでの初披露からもう何回も演奏してきたような感覚になった曲です。
――今回の2曲は、それぞれ違った意味でのキラーチューンだなと感じます。
一同:確かに。
野中:曲調的にライヴで盛り上がるものか圧倒するものかはわからないけれど、どこのバンドも「キラーチューンを作ろう!」と思って曲作りをしていると思うんです。僕らもずっとそういう話をしているので。
白:そろそろ、拓さんがステージのセンターでイントロを弾くところから始まるような曲を作ろうよ。
――とてもカッコいい予感!
野中:そう、ベース始まりの曲ってカッコいいじゃないですか(笑)。
――御本人的にも乗り気なんですね!
野中:恥ずかしがり屋ですけど、やりたい気持ちはあるんです!でも、そのベースのフレーズが9年間浮かばないんです(笑)。
白:そういう曲のフレーズは、あまり難しい事をやっていない気がするんですよ。だから、ライヴで演奏したらカッコいいけれど、音源にするといまいちかもしれない(笑)。
芥:特に、1人で家で弾いている時とかね(笑)。
野中:うん、そんな気がする(笑)。
――ステージングや視覚的な効果が入って映えるフレーズなんでしょうね。
野中:そう、ライヴ感ありきというか。ベース始まりのカッコいい曲、これはChanty10周年イヤーの課題にします!
芥:お願いします!
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●この歌詞を書いていて、愛情のぶつけ合いによって生じる矛盾や葛藤を強く感じましたね。
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――『おねがいごと』は、『余白』という作品タイトルに直結した内容の歌詞だと感じました。
芥:1年以上前から“不幸せでいて。”と“私が埋めるだけの隙間を少しだけとっておいてほしいな。”というフレーズは自分の中にあって、そこから派生して余白というものを歌詞にしたいなと思った。だから、元々は『余白』というタイトルで歌詞を書いていたんですよ。
――“不幸せでいて”というフレーズは、ずっと温めていたものだったんですね。
芥:そう、いつか書きたいと思っていた。
――ベストな楽曲が生まれるのを待っていたんですか?
芥:うん。僕自身も作曲をするので、アコギで合うものを探したりもしたけれど、なかなか見つからず。今回この曲が上がってきた時、本当に良い曲だと思って・・・“この曲になら乗せられるんじゃないか”という期待と“でも乗せたくない”という葛藤を同時に抱いたんですよね。この歌詞は僕の中でのとっておきだったから、本当なら自分がブースの中でギターを弾いて歌いながら“これだ!”ってコードを捕まえられたら良かったし、完全に自分の純度100%で形にしたい気持ちも強かったんです。でも、言葉の鮮度というのは発想した瞬間からどんどん落ちていくもので、これ以上残しておくのはどうなんだろうと。
――常日頃から「出し惜しみしたくない。」と仰っていますし。
芥:そうなんです。そういう色々な事を含めて、この曲に乗せてみようと。その上で、最初に話した通り、それを自分が愛せるのかどうかを知りたかった。結果、めちゃくちゃ聴いているので見事に愛せていますね(笑)。
――良かった!
芥:僕の勝手な苦悩の中で、逆に光りました。この楽曲を預けてもらえなかったら今この歌詞を乗せられなかったので、本当に良かったです。
――“不幸せでいて。”って、物凄い直球のフレーズだと思うんです。確かに音楽は心の隙間を埋める要素も強いものですが、私自身は音楽が無い生活を想像した事が無い人間だったので、もしも心が完全に満たされて隙間が無くなったら音楽を必要としなくなるのかを考えた事も無かったんですね。
芥:うん。
――芥さんはファンの方達の事もメンバーの事も大好きで大切だけど、その人達の心に何かしらの隙間が無いと自分の歌や音楽は存在できないし必要とされないのではと考えている。
芥:うん・・・そうですね。今回は、僕にしては珍しく歌詞を熟読しないと理解できない事が無いように、比喩的な表現なども避けていて。初めてライヴを観た人でも、なるべく聞き取れるように書いたつもりです。だから、良くも悪くも“これでしかない”歌詞なんです。まぁ恋愛的なところも含めて、僕自身が人との関わりにおいて感じた事も入っているので、恋愛の歌詞だと受け取ってもらってもそれはそれで構わないんですけど。
――そう、最初は恋愛のお話にも受け取れるなと感じたんです。でも、段々とこれはバンドの事なんだろうなと。
芥:先日のライヴのMCでも軽く話したんですが、名古屋E.L.L.の関係者席は会場の構造的にフロアのお客さんの表情も少し見えるんです。そこからChantyのファンの人達が対バンのバンドさん達のライヴを楽しんで、イベントそのものを楽しんでいる姿を見ると、誇らしいんですよ。勿論、常に全ての出演バンドを観てくれというような強制の意味ではないです。でも、他のバンドのメンバーやイベンターさんからもそういう言葉を頂いたりするし、本当に誇らしい。それと同時に、こう・・・
――嫉妬心も生まれるわけですよね。
芥:そうです、だからこういう歌詞が生まれるわけです(苦笑)。人間って、隙間が無ければ埋めるための存在を探してくれない。それなら、生活の中にどれくらいの隙間があったら僕らを必要としてくれるのか・・・『透明人間』の時も思いましたけど、本心では100%の愛でぶつかり合いたい。本当は、僕が出演するライヴは全部観に来て欲しいし、極端に言ってしまえば僕しか見て欲しくないくらいの気持ちも少なからずあったりする。でも、人生ってそういうものじゃないから、それが凄くもどかしいし辛い。同時に、もしも純度100でぶつかってきてくれたとして、その全てに対して僕らが純度100で返せるのかと言ったら、そうとは限らないなと思ったりもするし。この歌詞を書いていて、愛情のぶつけ合いによって生じる矛盾や葛藤を強く感じましたね。
――音楽に限らず、完全に満たされた者同士が必要とし合うのは想像以上に難しい事なのかもしれません。
一同:うん。
芥:だからこそ、夢見てしまうんですよねぇ・・・。
――もし叶ったら、幸せなのでしょうか?
芥:いや、たぶん幸せではない。僕は、後悔をしながら死ななければ意味が無いと思っているので。
白:思想がヴィジュアル系だ。
芥:思想!?(笑)
野中:でも、後悔できるくらい色々な出来事があった人生ということですもんね。
――確かに。
芥:大好きなんです。ファンの皆様の事。本当にめちゃくちゃ好きですよ。
――愛しているからこそ、愛を返して欲しいし、嫉妬の気持ちが生まれる事もある。
野中:そういう意味では、彼女です。
――ええ、“一番に愛して欲しい、自分だけを見ていて欲しい”というのは、恋人に対して抱く感情に近いでしょうね。
芥:少し話がズレてしまったかもですけど、この歌詞はもう読んだまま素直に受け取ってもらえれば。
――はい。『余白』、本当にたくさんの方達に届いて欲しい作品になりました。
芥:できる事なら、2曲ともMVを撮影して広めたい。僕ら自身も、それくらい良い作品になったと思っています。
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●イノベーション風単独公演は、アイディアを持ち寄って試作的な挑戦をする機会にしたい。
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――新しい試みとなるイノベーション風単独公演『騒々しい想像』の4公演が決定しました。イノベーションというのは、“革新的”や“新しい価値を生み出す”という意味ですよね。
野中:そうです。でも、ポイントはイノベーション“風”と付いているところです(笑)。
一同:(爆笑)
野中:芥さんがタイトル案を送ってくれた時、“風”がめちゃくちゃ良いなと思った!
白:俺も!
――この企画が立ち上がったきっかけは何だったのでしょう?
芥:ワンマンが少ないなと思ったんですよね。9月16日には毎年恒例の周年ワンマンがありますけど、これまではずっと周年の付近にワンマンは勿論ライヴ自体をあまり入れないようにしていて。でも、ワンマンってコンスタントにやっていないと緊張するようになってしまうんです。ワンマン下手(べた)になるというか。
白:それはある。
芥:3人体制な事もあってひとまずは東京だけにはなってしまうけれど、せめて月1本はワンマンをやっていこうと。その上で、せっかくならアイディアを持ち寄って試作的な挑戦をする機会にしたいと思ったんです。通常のChantyのワンマンとは異なる部分に「何これ!?」と思う事があっても、それはそれで楽しんでもらえる時間にできたら良いですね。タイトルに関しては、『Chantyの今後を考えるシンポジウム』という案もあったんですけど。
――『壊創するシンポジウム』が浮かびました。
芥:何か“シンポジウム”って好きなんです。でも、今回は“イノベーション風”のほうが適しているなと。
――あまり馴染みのない会場を選んでいますよね。
芥:そうなんです。もしかしたら、これまでにワンマンをやった事が無い場所や出演した事が無い場所に新天地が見つかるかもしれないし。会場ごとにとても簡単な条件を付けて、当日券を1000円で販売する企画もあるんです。ただ、あくまでもイノベーション風なので、もしかしたら“思っていたワンマンと違ったな”と感じる人も居るかもしれないですけど・・・。
野中:まぁ、それも含めての企画ですからね。一応、それぞれの公演のテーマは発表しているので。
芥:Chantyって、「世界観!」とか普段言われがちですけど、一回それも取っ払って色んな事をやれたらいいなぁ。
白:うちのライヴを外から観たら、「あ、世界観の人か。」と思われるだろうけどね。
野中:野中自身も客観的な立場で観たらそう思うのかもしれないですけど、ステージから降りてしまえば全く世界観の人ではないし(笑)。
芥:良い感じを・・・(笑)。
野中:装いたい人(笑)。根は良い人ではないですけど(笑)。
芥:僕は、ズルい人なので。人間のズルさを歌っているところもありますし。
――どうして御自分達の事を「ズルい」とか「陰湿」とか仰るんですか(苦笑)。
野中:本当なんですよ。
白:うん、うちは各々にズルさがあると思います。
芥:衣装は白が多いですけど(笑)。
白:外からは白っぽく見えて、内側は黒いっていう(笑)。
――真っ白な人間は居ないですし、ズルさだって誰しもにあるものだし、それを表に見せるか隠すかの違いだけだと思いますけどね。
一同:確かに。
――何はともあれ、8月12日・上野音横丁からスタートするこの企画で、また新しい何かを発見される事を楽しみにしています。
芥:はい。8月・10月・11月・12月と会場を変えつつコンスタントに開催していくので、是非遊びに来てもらえたら。
野中:9月は9周年ワンマンや白生誕があるので、イノベーション風はお休みです!
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●今年の周年は、良い意味であまり気負っていない感じがする。
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――2022年9月16日には、渋谷Spotify O-WESTで9th Anniversary Oneman『Chantyの世界へようこそ』が開催されます。9周年、本当に凄い事です。
芥:凄いですよね。
白:本当に早いです。
野中:今年の周年を越えたら、10周年イヤーに突入するという。森羅万象ツアーの札幌でダウトの玲夏さんとお話したんですけど、ダウトは15周年と長く活動を続けているバンドじゃないですか。Chantyは今年9周年だと話したら、ニュアンスは多少違いますが「まず10年目に突入するところまで続けた事自体が凄いって、自分達でも自覚したほうが良いよ。」と言ってくれて。いつかのインタビューでも話したけれど、野中自身は“気付けばこんなに時間が経っていた”という感覚だから、そんな風に考えた事が無かったんですよね。
芥:山を登っている最中に景色を見る余裕は無いもんね。
野中:そうそう。でも、その言葉を聞いて“確かに、そういう意識も必要なのかもしれないな”と思った。10周年の節目まではまだあと1年ありますけど、その節目を楽しく迎えられるように過ごしていきたいと思います。悪い空気にはしたくないです(笑)。
――それはもう、今作の誕生と共に乗り越えましたから!(汗)
一同:(大爆笑)
芥:その悪い空気を乗り越えてからのChantyのライヴ、めちゃくちゃカッコいいんですよ。
白:本当に!
白:お互いに腹を割った感もあるしね。
芥:ある。
――以前「もう少しメンバー同士でぶつかり合ったほうがいいのかな。」と仰っていましたよね。皆さんはそれぞれ本当にお優しいから、お互いに対しても空気を読んでぶつかる事を避けてきたのかなと感じたりもして。
芥:結局は、ただ自分が傷つきたくないだけの人達なんですよ。
白:その通りですね。
野中:野中は、小学生の頃からそう思っていますから(笑)。
白:傷つきたくなくて、自己防衛本能が働くっていう。嫌われるのが嫌なんですよね。
――必要以上にぶつかる必要は無いけれど、ここぞという時にも言えずに後悔するのは嫌だなと思ってしまうので、今回腹を割ったと感じられたなら本当に良かったと思います。
一同:そうですね。
――それにしても、ここ最近の周年は波乱だらけでしたよね。6周年はいつもと別会場での開催、7周年は情勢により無観客配信、8周年は成人さんがお休みに入って間もなくの時期でした。
野中:何かと事件が起こりがちでしたよね。
――そう考えると、今年はようやくフラットな状態で落ち着いて挑めるのかなと。
芥:確かに!
白:これ、フラグが立ちましたね(笑)。
――そんなものを立てたつもりはないんですけど!(汗)
野中:自分達に何も事件が無いと、今度は台風や地震がきてしまいがちなんですよ(笑)。今年も何かあったら、もうコミックバンドになるしかない。
一同:(爆笑)
――心の底から何事も起きないように祈っておきます(苦笑)。
芥:でも、言われてみれば確かにフラットに向き合える状態で迎える周年ですよね。
白:確かにねぇ。
――改めて、毎年9月16日に立つO-WESTはChantyにとってどういう場所なんですか?
芥:何か・・・最早一周まわって苦手な場所ですね。
一同:(笑)
芥:周年が完璧に決まった事って過去に何回あるだろうと思ってしまったりするので、僕は(苦笑)。
――観ている側からすると、全くそんな風に感じないんですけどね。結局は、余計な事を考えずに挑むのが一番な気もします。
芥:そう!今年の周年は、良い意味であまり気負っていない感じがする。
野中:うん、何か良いライヴができそうな気がしているんですよね。
白:そう思う!
野中:最近、ライヴ前にめちゃくちゃ眠くなるんですよ。
――リラックスできているんですかね?
野中:おそらく。
――野中さんは緊張なさる事が多い印象なので、少し意外な気が。
野中:本当にそうなんですよ!でも、眠くなった時に良いライヴができたりするんです。
芥:僕は、あまり眠れていない時のライヴが意外と良かったりする。
野中:あぁ、そうだねぇ(笑)。
芥:最近は、自分にライヴ後のご褒美を用意しているんですよ・・・お酒ですけど(笑)。
野中:ライヴ後に飲めるようにね(笑)。
芥:ライヴ前には飲まないので、ご褒美を置いておくことで一層高まるんです(笑)。
白:“良いライヴをして、美味しい1杯を飲むぞ!”って(笑)。
――9周年のO-WESTを無事に終えて、皆さんで最高に美味しい1杯を飲んで頂かないと!
一同:そうですね!
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●Chantyは、物凄く運が良いバンドなんです。
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――そして『自家製白生誕祭~下町生まれ下町育ち』が、9月29日・両国SUNRIZEと10月10日・SILKROAD CAFEで開催されます。白さんが下町っ子だと初めて知りました!
白:そう、実は江戸っ子なんです(笑)。
――2会場それぞれ内容が異なるんですよね。
白:はい。両国SUNRIZEは通常のバンド編成のChantyのワンマンを俺のプロデュースしたセットリストで行う感じで、SILKROAD CAFEのほうは所謂ライヴではなく・・・以前に沖縄で2部構成のライヴをしたんですけど。
野中:『どくせんよく』シリーズのワンマンです。
白:その時、2部でやった無礼講が楽しかったなと思い出して、その時みたいな雰囲気のイベントをまたやりたいなと。だから、タイトルにも~無礼講再来!?~と付けたんです。
芥:僕はSILKROAD CAFEで酔っぱらうかもしれない・・・(笑)。
白:芥さんが皆と乾杯を始めるかもしれない(笑)。
野中:そう、芥さんは酔うと乾杯したがるんです(笑)。
芥:お酒は好きだけど弱いので、ビール缶半分くらいで酔ってきてしまって(苦笑)。
野中:実際、一緒のイベントに出演しているバンドさん達とも乾杯していましたからね(笑)。先輩バンドマンもいらっしゃったし、見守っている側としては結構ハラハラしたんですけど、皆さん乾杯してくれて。
白:優しいよねぇ。
芥:本当に優しい。でも、家に帰ってから1人で凹むんですよね・・・。
野中:野中と白くんは、そこまでを予想していたから(笑)。
白:芥さんは、酔っても記憶を飛ばさないんですよ。何なら、ほとんど全部覚えているくらい。
野中:だから、酔いが覚めると“僕は何をやっているんだ・・・(凹)”って。
芥:そうなんですよ・・・。記憶を飛ばすほど呑めないってのもあるんですけど。でも、どうして僕が乾杯したがったかって、イベントで共演したバンドさんがあまりにも良いライヴをされていたからなんです。その日は僕自身もなかなか良いライヴができたなと思いつつ美味しいお酒を飲みながら観ていたら、もう凄い感動してきて、“この感動をメンバーさん達に伝えたい!”と思ってしまって(笑)。
――芥さんの感動が伝わって、お相手のバンドさんも嬉しかったでしょうね。
野中:その光景を見ていて“この人は皆を幸せにする人なんだな”と感じたので、きっとSILKROAD CAFEでは芥さんが白くんも含めた皆を幸せにしてくれると思います(笑)。
芥:最高のイベントツアーを巡って、9周年を迎えて、白くんの誕生日を祝う・・・Chantyのこれから、素敵じゃないですか?
――ええ、とても素敵です。こうしてこの先のお話を伺っていると、ここまで繋げていらした事が本当に素晴らしいなと改めて感じます。
野中:繋げてきた事を、ちゃんと“凄いんだぞ”と思うようにします。
芥:Chantyは、物凄く運が良いバンドなんです。色々な事があったし、その都度「大変だね。」と言われたりもしたけれど、結局はこんなに運が良いバンドは他に居ない。同じように、僕自身も本当に運が良い人間だと思っていて。こうして歌い続けてこられた事もそうだし、今回みたいに深く悩んで閉塞感に押し潰されそうになっても、『余白』という作品を生み出してまた「このバンド、カッコいいだろ!」と思えるわけじゃないですか?その繰り返しでここまでこられたなんて、本当に運が良い。今は違う道を歩んでいるshia.くんや成人くんや千歳くんとも、変わらず連絡を取り合えたり対バンできたりしているわけだし。だからこそ、“ここまで運が良いバンドがもう1ステップ上に行けないのは、単純に僕の力不足なんだな”と強く感じるようになったんです。これは、以前のように自分を卑下して“僕なんて”と思って言っているわけではなく。“僕はこんなに運が良いんだから、もっと頑張ったらきっと凄い事になっちゃうぜ?”って、少し前向きに考えられるようになったんですよね。
――それはとても良い思考な気がします。「運が良い」と感じられるのは皆さんがバンドや音楽と常に誠実に向き合って努力していらしたからに他ならないわけですし、裏打ちがあった上で手にした運に自信を持って欲しいです。
芥:カッコいいですからね、Chanty。
白:北海道のライヴハウスの店長が・・・
芥:そう!出演させて頂いたライヴハウスの店長が、「Chantyマジでカッコいいな」とツイートして下さっているのを発見したんですよ。
――それは嬉しい!そうやって伝わる方が居る事が、自信に繋がりますよね。
野中:これだけ活動してきて、ようやく自信がつき始めたかもしれない。
芥:確かに。
野中:やっぱり自分達の事を卑下していた部分もあったけれど、それが最近は無くなりました。インタビュー冒頭の話に繋がりますけど、自信がついたからなのかもしれないです。
――自信を持てた事自体は勿論、それを皆さんが言葉にして発した事もとても大きいのではと感じます。
一同:確かに!
芥:9周年を前に、“これだけの運を持っているのだから、どんなに長い滑走路が続いていたとしても飛び立つ事ができるな!”と感じているし、これからも一歩一歩大切に進みながら滑走路のその先の空へと繋げていきたいと思います。
取材・文:富岡 美都(Squeeze Spirits)
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Chanty 13th single「余白」SPOT
▲Vocal.芥
https://twitter.com/chanty_akuta
▲Guitar.白
https://twitter.com/chanty_shiro
▲Bass.野中拓
https://twitter.com/chanty_taku
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<リリース>
★2022年8月10日発売
Chanty13th single
「余白」
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全2曲入り
M1 群青
M2 おねがいごと
¥1,000 tax out
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<ライヴ>
■Chanty 9th anniversary oneman Chantyの世界 へようこそ
2022年09月16日(金) Spotify O-WEST
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OPEN 18:00 / START 18:30
前売り 4,500円 / 当日5,000円(D代別)
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[出演]
Chanty
サポートドラム:多村直紀(Yeti)
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★チケット:
8月10日19:00より受付開始とありましたプレオーダー抽選受付に関しましてですが、この度制作サイドとの連携トラブルにより当初予定しておりました販売方法とは異なる状態での受付が開始された状況となります。
それに伴い、今回チケット販売方法につきましては先着先行での販売とさせていただき、現状発行されているURLで販売を続行させていただくこととなりました。
この度、チケット発売に関しましては重ね重ね混乱を招く状況となってしまったことを深くお詫び申し上げます。
■イープラスプレオーダー先着受付 整理番号A1~
08/10(水) 19:00 ~ 08/17(水) 23:59
・お一人様4枚まで
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■一般発売(イープラス) 整理番号B1~
8/21(日)12:00~発売開始
・お一人様4枚まで
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[問]DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~15:00)
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★Chanty OFFICIAL SITE★
★Chanty OFFICIAL Twitter★
https://twitter.com/chanty_news