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2022年12月02日 (金)


【ライヴレポート】<怪人二十面奏 単独公演巡業二〇二二「素晴らしき哉、人生」千穐楽>2022年11月28日(月)Veats SHIBUYA◆「一分一秒、一曲一曲かみしめながら、一切妥協のないステージができた」──マコト(Vo)

REPORT - 20:00:06

 怪人二十面奏は、そのバンド名のイメージとは裏腹に、とても一生懸命なバンドだ。コロナ禍でもひたすら前を向いてツアーを行い、ライヴを続けた。そんな期間を経て11月2日に発売された3rdアルバム『人生』。シンプル極めたこの二文字に込められた彼らの命のきらめきを、11月28日にVeats SHIBUYAで目撃した。ツアーファイナル「単独公演巡業二〇二二 素晴らしき哉、人生」の模様をお伝えしよう。

 

彼らの一生懸命ぶりは、活動スタンスだけでなくそのクリエイティブにいつもあふれている。ファンに驚きを感じてもらおうと腐心するマコトは、いい意味で戦略家だ。そんな姿勢が如実に現れたのが、この日の1曲目のセレクトだった。

 

ステージにメンバーがそろったところで、一瞬静まり返る中、マコトの歌声だけが広がっていく。アカペラから始まったのは「ヰ書」。ライヴの始まりを前のめりに待ち構えていたオーディエンスは、悲痛に満ちた特攻兵の思いを切々と歌い上げるマコトをただ見つめるしかない。冷たい空気が凍りつくように会場中を支配していた。一転、「ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム」のイントロと同時にマコトが咆哮をあげると、オーディエンスも我に返り、こぶしをあげて応え始める。

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各地で熱いライヴを展開してきたツアーの千穐楽である今日のライヴに賭ける思いを口にすると、「偶像破壊黙示録」へ。黒いメガホンを手にオーディエンスをアジテートするマコト。その横でKENは無表情ながら全身を大きく動かし、サウンドに身をまかせている。テンポよく「人間失却」へと流れ、構築されたドラマを紡ぎながらライヴらしい生々しさも全開だ。かと思えば、「しにいたるやまひ」で不可思議な世界へと誘い込み、ソフトな歌声を使ってやわらかく歌った「透明」、主人公である女性になりきった「噫無情」と、息つく暇を与えない。

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MCに入るとガラッとリラックスした様子で、ライヴをおおいに楽しんでいることが伝わってくる。会場も温かい空気に包まれ、ほっこりとしたムードに。

 

けれども、ライヴのクライマックスはこれから。「全員で行きましょう!」と熱く呼びかけて始まった「可不可」で、衣装のケープも白い手袋も脱ぎ捨て、マイクスタンドを派手に操り、ダイナミックなステージングで躍動するマコト。「最高です! やっちゃってくれ!」とKENが満足そうに叫ぶ。

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テンポの速い曲を中心に畳みかけるように続け、「アヴストラクト シニシズム」へなだれ込んでも、激しいノリや勢いのあるサウンドと適格なプレイが見事に両立し、見ごたえも聴きごたえもたっぷり。怪人二十面奏は、ヴォーカルのマコトとギターのKENの二人から成り、バンド形態ではない。ただこの日は、ツアーファイナルということもあって、まとまりのあるサウンド面でのカッコよさに特に惹きつけられた。

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渋谷での通り魔殺人を告げるアナウンスをマコトが叫ぶ。曲はもちろん「G,Jクローバー連続殺人事件」。フロアにはカラフルな包丁形のペンライトがまたたき、怪人二十面奏おなじみの光景が広がる。推し活が市民権を経た今、応援グッズとしてペンライトも知られているだろうが、包丁型のペンライトはそうは目にしない。バンド名からもわかるエログロナンセンスな世界観と、それをロックバンドとして楽しむ一面。彼らの表現の奥行はここにも現れていた。その後、本編最後を締めくくったのは、「幻創大東亞狂榮圏」。あっという間に過ぎ去ったような本編だったが、深い満足感を残してくれた。

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ツアーTシャツ姿のマコトと、バースデーグッズ(この日はマコトの誕生日)のフーディに着替えたKENが登場。リラックスした表情ながら、「一分一秒、一曲一曲かみしめながら、一切妥協のないステージができた」というマコトの言葉には、このライヴに賭ける思いの強さと達成感が込められていた。「マコトさんの誕生日をお祝いするのは20回目。親より一緒に過ごしている」と口にするKEN。今年結成7周年を迎えた怪人二十面奏だが、二人はそれ以前のバンドからずっと活動を共にしてきた。歳月を重ねてきたからこそ通じ合う感覚が、現在の彼らの表現を築き上げているのだろう。

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たっぷり4曲のアンコールで、計20曲をプレイ。バンド名にちなんでワンマンライヴの曲数は20曲と決めているうえ、曲の多くが3分程度であるため、ライヴ時間は決して長くない。それでも大満足の一夜だった。

 

12月31日には、彼らにとって初となるワンマンでのカウントダウンライヴが控えている。その夜は、年が明ける0時のカウントダウンから声出しOKにするというスペシャルな試みも。声が出せなかったこれまでの思いをぶつけるには絶好のタイミングになるだろう。ぜひ足を運んで、最高の形で2023年を迎えたい。

 

 

文:村山 幸
写真:Lestat C&M Project

 

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<セットリスト>

怪人二十面奏 単独公演巡業二〇二二
「素晴らしき哉、人生」

2022年11月28日(月)
Veats SHIBUYA

 

 

1.ヰ書
2.ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム
3.溺れるパラレル
4.偶像破壊黙示録
5.人間失却
6.しにいたるやまひ
7.近代的極東唱歌
8.透明
9.噫無情
10.可不可
11.信仰アンチミステリー
12.FAUST
13.癈人録
14.アヴストラクト シニシズム
15.G,Jクローバー連続殺人事件
16.幻創大東亞狂榮圏

en.
17.哀しきトリックスター
18.ブラックアウト ヒステリーアワー
19.死せる Cecile セルシン摂氏0度
20.然らば、人生

 

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<ライブ情報>

大晦日特別単独公演「月兎、秒讀」
日程:2022年12月31日(土)~2023年1月1日(日)
会場:SHIBUYA DESEO

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開場 22:30/開演 23:00/終演予定 25:00
※開演開場時間の変更に関するチケットの払い戻しはございませんので予めご了承ください。
※深夜公演の為、18歳未満の入場禁止。顔写真付き身分証を必ずお持ちください。

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前売¥4,800/当日¥5,300(1DRINK別途)
入場券:TICKET PAY

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12/3(土)10:00~発売

購入URL:https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=41461

 

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二十圓特別単独公演「関西カルト化洗脳計画」
日程:2023年1月15日(日)
会場:大阪・西九条BRANDNEW

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開場 17:00/開演 17:30
料金:¥20(当日のみ)

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入場方法/入場順
・公演当日、14:00~16:00受付にて整理券配布(番号ランダム配布)番号順に入場。
・開場時間以降ご来場の方は整理券をお持ちの方の後に先着整列入場。
・当日、受付にて¥20をお支払い下さい。1ドリンク代が別途必要となります。

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問い合わせ:BRANDNEW 06-6466-0100

 

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■怪人二十面奏オフィシャルウェブサイト■
http://k20.jp