2015年04月26日 (日)
【びじゅなびオリジナル・ライブレポート】DEZERT 追加公演「嘔吐のす〆め-2-」2015年4月25日(土)TSUTAYA O-EAST
REPORT - 22:43:08
■DEZERT 追加公演「嘔吐のす〆め-2-」
2015年4月25日(土)TSUTAYA O-EAST
DEZERTが、自身ワンマン最大キャパとなるTSUTAYA O-EASTにて単独公演を開催した。シーンへ強烈な個性を放ち続ける4人が、改めて最凶のパフォーマンスを見せつけた。
客席の照明が消され、ステージにフラッシュが点滅すると割れんばかりのファンの歓声が場内に響き渡る。SEが鳴り、手拍子が沸き起こる。SORA(Dr)がゆっくりと登場。両手を広げたSaZ(B)、客席を片手で煽るキラ(G)が続き、一番の歓声に包まれて千秋(Vo)がステージ中央へ。───「今日も生きてるか?」メンバー全員が黒いスーツ姿だ。
ギターが空気を突き破り、重厚なリズムで「絶蘭」からライブが始まる。暗闇に青い照明のライトが不気味に回転しながら光り、オーディエンスが一斉に体を折り畳む。「メリーさんの自殺未遂」「大塚ヘッドロック」と、冒頭からヘヴィで暗黒なDEZERTワールドが炸裂する。フラフラと歩きまわって、手をぶらぶらさせながらつぶやくように歌ったかと思うと、ダン!と足を台の上に乗せて高速の回転ヘドバンを披露する千秋。
SaZはまるで機関銃を構えるかの如くベースを携えて、客席に向かってそのヘッドを突きつける。時に攻撃的、時にグルーブ感たっぷりにDEZERTのサウンドを引っ張るこのベーシストは、ステージや音楽、ベースプレイの全てをとにかく楽しんでいることが生き生きと伝わってくる。
SORAがリズムを叩き出すと、キラがヒステリックなギターを容赦なく被せる。「見えてるかー。遊びましょー!」千秋がスッと片手を上げると、まるでそれが合図のように、拳を上げて右に左にモッシュをするファン。千秋の佇まいは、まるで邪悪な指揮者のようだ。その指揮者はこう言い放った。
──────地獄へようこそ。
ギターを抱えた千秋にスポットが当たる。まさにミルク色のライトが彩った「さぁミルクを飲みましょう」。そしてメロディアスな柔らかさも含んだ「さくらの詩」。これらのDEZERT流“哀歌POP”とも言えるアプローチは、今度どのように進化してゆくのであろうか。
「本日はどうぞ宜しくお願いします。ニコニコ超会議やポール・マッカトニーではなく、この渋谷を選んでくれてどうも。」
その後、EASTを揺らす「胃潰瘍とルソーの錯覚」が投下される。どこか独特な陰鬱さと、歌声のメロディが可愛げな高音。こういった“甘さと残酷さ”のような、相反する要素を同時に食することが出来るのも、DEZERTの魅力の一つだ。
ファンにはお馴染みとなっている「ストロベリーシンドローム」が始まると、フロアは熱量とカオス度を増してゆく。SaZは頭部がパンダに変身、コミカルにステップを踏みながらプレイ。千秋は紙コップの水を口に含んでは、キラに向かって吹き付ける。
そんなギターのキラは、楽器だけではなくスレンダーな全身を使って音を表現しているようだ。ギタリスト然としてのスタイルを見せつけながらも、型にはまらない奔放さも躊躇いなくステージで披露する。とは言え、立ち位置のすぐ横に大事そうに並べられたギターが、ギタリストとしてのこだわりもしっかりと垣間見せている。
DEZERTのライブはメンバーもオーディエンスも“自由”だ。一斉に拳を上げたり、右に左に揺れたりする動作も、「決まり」なのではなく「本能」だと感じさせる。「暴れ方」の指南書など、どこにも無い。次の「チョコレートクリームチェーンソー」で、その自由度が爆発する。
場内が真っ赤なライティングの色に染まり、高速リズムで最凶曲がスタート。千秋が拡声器を持って現れると、客席前方はすし詰め状態になってヘドバンの嵐となる。
「お前らの何かを、全部俺に向けて吐き出してこい。」
まやかしや装飾の無い、ストレートなサウンドが溢れるステージは、シーンの“流行”や“売れ線”といった括りなどと対極の位置にあると感じさせる。彼らはただ、自分達が吐き出し、ファンに吐き出させている。
そんなDEZERTの中で、ドラムという後方に位置しているポジションにも関わらず、艶やかな“華”を見せているのがドラマーのSORAだ。艶やかな色気を全身に漂わせてはいるが、その魅力はやはりエモーショナルかつ、繊細なドラミングにある。美しいドラムセットに囲まれたSORAのプレイには、プレイヤー・ドラマーとしての思いが細部にまで詰まっていると感じさせる。
「ゴシック」が始まると、SaZがベースを置いてステージ下へいきなり降り、客席に乱入。フロアの後方にまで突入すると、キラもギターを置いてファンを煽る。千秋もステージから客席へ、そして場内客席フロアのちょうど真ん中まで侵入し、マイクを持ってステージに向かって煽る。一見すると一体ここで何が起こっているのかわからなくなる光景だ。
シーンに敏感な層に、まずDEZERTの存在を強烈に知らしめたのがこの曲であろう、「秘密」が始まると、ファンも改めて戦闘開始だ。客席は左右に綺麗に分割し、リズムのキメとともに勢いよく突撃してもみくちゃになる「ウォールオブデス」も発生。曲中でスッとファンが座り、メンバー・客ともに回転ヘドバンを連発する光景は、圧巻・壮観の極みであった。
千秋が上着を脱ぎ去り、ぼんやりと光りが浮かび上がるお立ち台の上に寝転んで、体を小刻みに痙攣させながら歌うという凄みを見せた「嘔吐」「殺意」を披露、キラはギターを抱えたままその場に仰向けに倒れこむ。「死刑宣告」の破壊的かつ攻撃的グルーヴが放出されると、熱気がフロアに渦を巻く。
しかし、その直後のブレイクで千秋から衝撃発言が発せられる。
「アンコールまでやっちゃった。(笑)」
そう、本編でいったん終了するはずが、そのままアンコールでの予定曲に突入していたのだ。
「もう気の済むまでやっていいですかね。」
こうなったらもう無礼講だ。歓声を上げるファンに向けて千秋が煽る。
「もっと!もっと前にどんどん詰めろ」。
続々と後方に居たオーディエンスが、意気揚々とフロアの中へ入ってくる。
まさにやりたい放題、というシチュエーションで盛り上がった「異常な階段」、そしてDEZERTの楽曲の中でもメロディが印象的な名曲「遮光事実」。
最後の「包丁の正しい使い方~終息編」でモッシュ大会となった後、SORAがひとしきりドラムを叩き終えてステージを去ると、どこからともなく自然と大拍手が沸き起こった。
ノンストップの2時間半。ライブで必ず見られるファンの「アンコール!」の呼びかけが無くても、メンバーもファンも存分に吐き出すだけ吐き出したのではないだろうか。
子供のように無邪気に、暴れん坊っぷりを見せつけたDEZERT。
2015年の夏を超え、次に待ち受ける会場「赤坂BLITZ」。そこにはきっと、最凶の「ファン」というたくさんの仲間達と一緒に、会場を破壊しかねないほど自由奔放に暴れまくるDEZERTの4人が居るに違いない。
文:びじゅなび
PHOTO:インテツ
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■DEZERT ONEMAN TOUR 2015 【4時20分の解体実験】-前編-
2015/8/15(土)札幌 SPIRITUAL LOUNGE
2015/8/16(日)札幌 SPIRITUAL LOUNGE
2015/8/19(水)仙台 BIRDLAND
2015/8/20(木)新潟 GOLDENPIGS BLACKSTAGE
2015/8/22(土)岡山 PEPPERLAND
2015/8/23(日)福岡 glaf
2015/8/26(水)大阪 fanj
2015/8/27(木)名古屋 HOLIDAY NEXT
2015/9/27(日)東京 赤坂 BLITZ
チケット代:前売り3,500円(東京公演以外) / 4,000円(東京公演) *ドリンク別
チケット一般発売日:6月27日(土)
各地の開場開演時間、一般発売プレイガイド情報はオフィシャルホームページをご参照ください。
★チケット:
一般発売に先駆けて先行予約実施!
【オフィシャルHP先行予約】
※8/15札幌~8/27名古屋 受付期間:4/26(日)12:00~5/10(日)23:00
※9/27赤坂BLITZ 受付期間:4/26(日)12:00~5/24(日)23:00
受付URL: http://eplus.jp/dezert2015/ (PC・携帯・スマホ)
※抽選受付となります。
※お1人様各公演4枚までエントリー可能
※9/27赤坂BLITZは1階立見のみの受付
※受付サイト記載の申込に関する注意事項を必ずご確認の上お申し込みください。
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TOTAL INFORMATION
DEZERT OFFICIAL SITE http://dezert.jp/





