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2023年02月14日 (火)


【ライヴレポート】<KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY LIVE 「BEYOND THE KINGDOM -TOKYO-」>2023年1月29日(日)新宿BLAZE◆KISAKIキャリア30周年公演──。30周年記念第一弾『BEYOND THE KINGDOM-TOKYO-』開幕。ヴィジュアル系史に新たに刻まれる歴史。

REPORT - 20:00:35

昨年1月に伝説のバンドMIRAGE結成25周年を記念して、再結成を果たしたKISAKI。
2023年、自身のキャリア30周年を迎える節目の年に、我々ヴィジュアル系ファンにとって嬉しいニュースが飛び込んできた。
それは、彼の活動30周年記念公演の開催とこの日の為に錚々たるメンバーを集めた当日限定バンド『THE LOCUS』の発表――。
これまでの彼の‘‘軌跡‘‘を辿る楽曲たちが特別なメンバーで披露された満員となった1月29日『BEYOND THE KINGDOM-TOKYO-』を見ていこう。

 

この日は、キボウ屋本舗、NEGAというかつてKISAKIが立ち上げたレーベルUNDER CODE PRODUCTIONに所属していたバンドがこの日彼の為に限定復活。
共にシーンを盛り上げていた彼らが、KISAKIの為に再び音を重ねたのもシーンのファンにとって嬉しい出来事だ。
「いらっしゃいませぇぇぇぇ!!」と威勢のいい掛け声と共に登場したキボウ屋本舗と、轟音をかき鳴らしにやってきたNEGAは華を添えるどころか、記念すべきこの日の為に祝福の大きな花火を打ち上げたように序盤から会場を大いに盛り上げていった。

そして、この日の真打となる『THE LOCUS』の登場。
和訳すると『軌跡』となるこのバンドメンバーには、KISAKIのこれまでの戦友とも言える仲間たちが集結していた。Voには真緒(Sadie/The THIRTEEN)、幸樹(ダウト)、GtにJUN(Phantasmagoria/GOTCHAROCKA)HIZAKI(Versailles/Jupiter)、Drにyusuke(HERO)、そしてBaにKISAKIという錚々たるとはまさにこのこと。豪華絢爛なメンバーで結成された。

 

壮大なSEで幕が開くと、そこにはシルエットで浮かび上がったメンバーの姿がーー。
「welcome!!!」と真緒の掛け声と共に、メンバーは前へと踊りだすとKISAKIとHIZAKIは拳を交わし、待ちに待ったTHE LOCUSの今宵限りのステージがスタート。
第1幕としてVoに真緒を迎え入れ、1発目に届けられたのは『The psalms and Lamentations』(凛)。
このバンドではKISAKIの歴代バンドの楽曲たちが時代問わず繰り広げられるのも見ものだ。かき鳴らされるギターサウンドは会場を疾走し、真緒の煽りが今日この日の為に集まったファンの感情を高めていく。
下手で麗しくも鋭い眼光で奏でるHIZAKIはKISAKIがレーベルMatinaを動かしていた時代からの仲だ。今や国内外問わず名を轟かせる彼がこのステージに華を添えるのも大変貴重な瞬間である。


「暗黒に染まりなさい――。」と始まった『Unknow zero distance』(Phantasmagoria)では、なんとステージ前方から勢いよくガスが柱として噴出。派手な演出に会場は驚きながらもボルテージを更に上げていき、KISAKIはHIZAKI、真緒、JUN、yusukeのもとへ駆け寄り、それぞれ顔を寄せ合ってはこの瞬間の共鳴を確かめあっていく。レーベルメイトであったJUNと肩を寄せ合って奏でる姿は、KISAKI自身がメンバーとのライブを純粋に楽しんでいるものであった。1度しかない30周年、そして今後の展望はあるとしていながらも、KISAKIは30周年のステージは現在この日だけとしか考えていないという。
――こんなにも贅沢な時間があっていいのだろうか。

『沈黙の羽』(KISAKI PROJECT)、『deep sky』(Syndrome)と次々と繰り広げられる歴代の曲達…。こうしてナンバーが揃うと、いかに彼がヴィジュアル系という世界で常に一線を走ってきたかということを再確認する。
「KISAKIさんの作った曲達をお前たちに刻んでいく。」と放った真緒の言葉は、これまでのKISAKIの功績を称えると共に、これからのシーンへ彼の想いを楽曲に込めて継承することを誓っていた。
第1幕ラストを彩るは『百花繚乱』(MIRAGE)。センターへ来たKISAKIの顔を覗き込むように仰ぎながら歌い、最後には彼の背中に手を添えた真緒の姿が印象的である。華やかに彩られるステージと、咲き乱れるように荒れるフロアーは心掴まれる瞬間だった。


第2幕はダウトの幸樹がVoとして登場。貴公子のような衣装に身を包んだ彼は、真っすぐと前を見つめてMIRAGEの『…Air』を歌い上げる。彼の歌声は会場を優しく包み込み、ゆっくりと照らし出されるステージは、神々しささえ感じさせた。
ここまで怒涛の如く披露されてきたステージで恍惚となった会場を、さらに惹きつけたのは『小夜時雨』(Syndrome)。身体の芯まで鳴り響くベースは、yusukeの情熱的なドラムで更に奥の方まで打ち付けていく。目や心だけでなく、身体ごとステージに惹きつけられる感覚が心地良いーー。

実は全員関西人なTHE LOCUSのメンバー。幸樹の「関西人やから喋りましょ。」という言葉にKISAKIは「長くなるぞ(笑)」と返しながらも、今回のメンバーとのかつての思い出や感謝を綴る。
KISAKI「このメンバーでステージ立つって初めてじゃない?最初から、やるのであればこのメンバーでって決めていて。」
そう語る彼の一声で、今回このメンバーが集まったと言う。各々に活動するバンドがありながらも、この様にメンバーが揃うのはやはりシーンを築き上げたKISAKIだからであろう。

「懐かしむのは後にして、今は暴れよう――。やれる奴、手ぇあげろ!!」
幸樹の煽りで始まったのは『狂想曲-Cruel Crucible-』(Phantasmagoria)。
ヒリヒリとするサウンドとスピード感に触発されて、フロアーはヘドバンで埋め尽くされて行く。そのまま会場は感情を加速させ、『Pixy false』(Phantasmagoria)ではセンターに立つKISAKIを四方八方から求める手が伸びていった。KISAKIの楽曲が会場を駆け巡り、会場全体が一体化する光景は美しく、もっと、もっとこの時間を堪能させてくれとフロアーが求めていた。

幸樹「KISAKIバンド活動30年間の歴史をここにおいて帰ります。」
そうラストに奏でられたのは『Dedicate to Graveyard』(凛)。
KISAKIはステージ上から真っすぐと前を向いていた――。
その目にはこの会場の光景以外にも、様々な光景が浮かんでいるのではないだろうか。
数々のバンド、レーベルメイト、楽曲、そしてファンーー。
語りきれぬ今日この日までの想いは、メロディーとなり全てこのステージに捧げられる。
髪を振り乱しながらの全身全霊のステージングは、まばたきの1つも惜しいくらいだ。

 

ステージが終わると会場いっぱいの拍手が。そして、鳴りやむことなく、拍手は再会(アンコール)を求める手拍子へと変わっていった。
アンコールは第1幕を務めた真緒も登場し、ツインボーカルのステージへ。
KISAKI「フロアーの気合が足りないんじゃないですか?ボーカル二人の力が弱いんじゃないですか?」
KISAKIの煽りでアンコールに披露されたのは『Foolish』(凛)、『神歌』(Phantasmagoria)。
真緒が「拳を上げろ!!!」と叫ぶと、会場の隅から隅まで拳が突き上がる。幸樹は水を吹き飛ばし、HIZAKIがドレスと髪を振り乱しながらシャウト…。KISAKIもマイクを取り上げたりと、一気に破天荒なステージへと変貌。
KISAKIはベースを外すと、ステージ上から荒れていく会場を堪能していく。
ステージでメンバーが煽り、それに呼応していくフロアー。KISAKIにはこの荒れ狂う会場がよく似合う。
KISAKIの煽りに触発された真緒と幸樹が隅々まで見逃すことなくフロアーを盛り上げると、会場は振り切ったボルテージを更に壊すように滾っていく…。
すると、ステージ袖からKISAKIに渡されたのはなんとCO2ボンベ…!!
KISAKIはホースを握ると楽しそうにフロアー、メンバーと容赦なくガスを噴出していった。至近距離でガスを受ける真緒、幸樹、JUNはKISAKIの強烈な一撃に叫びながらも嬉しそうだ。
同じくガスを受けるHIZAKIは、浴びながらも艶やかさを失わない姿は流石と言ったところ。そんな光景をフロアーの荒れ模様と共に後方から眺めるyusukeのドラムが、「まだまだ終わらせない…!」と言わんばかりに更に叩きつける――。

悪戯な笑みを浮かべながら暴れまわるKISAKIを目に、会場は更に燃え上がっていった。
そして、HIZAKIが弦から手を離したかと思えば、優雅に歩きながらフロアーにキャンディーを投げ入れていく。彼らのアンコールならではの遊び心ある演出に、「やってくれたな」という、我々の期待を裏切らせない喜びが溢れていた。
曲が終わると、KISAKIは立ち上がれなくなっていた。そして、そのままこの時間を噛みしめるように、ゆっくりと会場を見渡していく。
2023年、30周年を迎えるにあたって華々しいスタートとなったこの日、KISAKIは先にも綴ったが、今後に活動はあるとしながらもステージは未定だという。そして、東京は無いと思うと語る。KISAKI30周年企画はまだ続くが、それは追って発表するとのこと。はやる気持ちは山々だが、続報を心待ちとしていよう。

 

数々のバンドだけでなく、レーベルも立ち上げ先頭切って走ってきたKISAKI――。
30年という節目で振り返るとTHE LOCUSのメンバーのように彼と携わってきた者たちが、現在のヴィジュアルシーンを牽引していく存在となっている。
楽曲を生み出してきただけでなく、彼等のような存在を育て上げたのもKISAKIの功績であり、軌跡であると言えるだろう。
「これがヴィジュアル系だぞ!!!」と叫んだ幸樹の言葉が今日この日を物語っているように、KISAKIはまさにヴィジュアル系シーンのカリスマである。
最後に彼はこれまでの感謝と共に「これから、僕はともかく、皆(メンバー)はバンドしているんで。まだまだシーンを引っ張っていって欲しいと思います。」と述べた。
彼がいかにこのジャンルを大切に、そして愛しているか――。
その想いは計り知れぬ苦しみや葛藤があると思うが、大きな愛と強い信念が彼にはあると伝わった1日であった。

 

そして我々も、ヴィジュアル系を愛してよかったと、そして今も愛していると再確認、確信した。
改めてKISAKI活動30周年に祝福と感謝を。

 

Text : 茉奈佳
Phot : 春川 眞 / zoi

 

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KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY LIVE
「BEYOND THE KINGDOM -TOKYO-」
2023.1.29(日) 【東京】新宿BLAZE

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■THE LOCUS(当日限定バンド)
B:KISAKI(MIRAGE / Syndrome / Phantasmagoria / 凛)
Vo:幸樹(ダウト)&真緒(Sadie / The THIRTEEN)
G:JUN(Phantasmagoria / GOTCHAROCKA)
G:HIZAKI(Versailles / Jupiter)
Dr:yusuke(HERO)

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■SET LIST
第一部(Vo.真緒)
1.The Psalms and Lamentations(凛)
2.Unknow zero distance(Phantassmagoria)
3.沈黙の羽根(KISAKI PROJECT)
4.deep sky(Syndrome)
5.百花繚乱(MIRAGE)

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第二部(Vo.幸樹)
SE
6….Air(MIRAGE)
7.小夜時雨(Syndrome
8.狂想曲-Cruel Crucible-(Phantasmagoria)
9.Pixy false(Phantasmagoria)
10.Dedicate to Graveyard(凛)

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アンコール(ツインボーカル)
11.Foolish(凛)
12.神歌(Phantasmagoria)
エンディングSE