2017年03月24日 (金)
【ライヴレポート】「メタルという言葉に誇りをもって!」<Visual Parade” Presents “Metal?”>3月8日(水)豊洲PIT
REPORT - 21:01:01
ヴィジュアル系シーンをさらに盛り上げるべく、ぴあが毎回テーマにちなんだバンドを集めて仕掛けるイベント“Visual Parade”。
その第三弾『Visual Parade” Presents “Metal?”』が3月8日に東京豊洲PITにて行われた。
タイトルにもあるとおり、今回のテーマは“メタル”!
本格的なメタルサウンドに定評がある実力派の3バンド(+オープニングアクト)が、ぶつかり合う熱狂の夜となった。
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●David
トップバッターで登場したのは、オープニングアクトのDavidだ。
DavidはSUI(Vo)による、VersaillesのKAMIJO(Vo)完全プロデュースのソロプロジェクト。
SUIはex.凛、ex.Megaromaniaなどの、数々のバンドでたしかな存在感を示してきた実力派だけあり、一月に発表されたばかりの新プロジェクトとはいえ堂々たるステージを見せつけた。
美しいストリングスシーケンスの映える荘厳な楽曲に、まるで中世ヨーロッパに迷い込んだかのような気持ちになる。
バンドメンバーは騎士を思わせる赤いローブをまとい、重厚なアンサンブルを叩き付けた。
舞台俳優のように朗々と、歌い上げるSUIの佇まいには流石の一言だ。
「私たちとまたこの場所で、会いましょう!」(SUI)
膝を折ったSUIの前に幕が降り、美しいステージはしめくくられた。
<SET LIST>
0:Prologue
1:GENESIS
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●Far East Dizain
次に登場したのは2015年結成のFar East Dizain(FED)だ。
メタルのサブジャンルのひとつであるジェント×ヴィジュアル系という独自のスタイルで、シーンに殴り込みをかける彼等。
いままでのヴィジュアル系に楔を打つかの様なサウンドは、Davidの作り上げた優美な雰囲気を良い意味でぶちこわした。
最新シングルより、「NADIR」でFEDのアクトはスタート。
シンセサイザーが夢のような浮遊感をもたらすプログレッシブチューンにのせて、Keita(Vo)の艶やかなハイトーンが美しく響く。
「初めまして、俺たちがFar East Dizainです!盛り上がっていこうぜ!」(Keita)
「The War Went On」では、パワフルに叫ぶKeitaに応えるように、フロアはたちまちヘドバンの海へと変貌。
カラーレーザーと爆音が渦巻くカオスに!
早くも熱気ムンムンのオーディエンスに、「(今日集まった)4バンドのファン全員と盛り上がっていこうと思います!」とKeitaが笑顔を見せ、「illest」へ。
ヘヴィなサウンドを放ちながら、Leda(Gt)・Яyu(Ba)はステージいっぱいを使って暴れまわり、Sujk(Dr)はドラムソロで魅せる。
聴覚だけではなく視覚からの刺激でも、ゾクゾクするようなカッコよさを演出できるのはヴィジュアル系ならでは。
「Weight of sins」で空間を塗りつぶす様な轟音をこれでもかとブチかまし、ラストナンバーは1stシングルより「Last Scene」。
ファン人気も高い名曲で、オーディエンスの心を完全に掴んだ。
結成2年目のフレッシュなエネルギーと、最新のサウンドへの感度の高さが印象的なステージだった。
<SET LIST>
1:NADIR
2:The War Went On
3:illest
4:Weight of sins
5:Last Scene
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●NOCTURNAL BLOODLUST
デスコア出身のヴィジュアル系バンドという異色の経歴で、ヴィジュアル・メタル・ラウドシーンに存在感を日に日に増している NOCTURNAL BLOODLUST(ノクブラ)。
彼等のアクトは、この日の大トリのVersaillesに経緯を表すかのような、
「ボンジュール!!!!!!!」(Vo.尋)
という雄叫びからはじまった。
そしてのっけからノクブラらしい「Malice against」で、爆音の中にフロアを叩き込む。
流石、“LOUD PARK”への出演や単独ワールドツアーへの挑戦など、昨年は武者修行に費やした彼等。
演奏技術、サウンドのセンス、楽曲のクオリティから、MCのセンスまでも全てにおいて質が高い。
「やりたいだけやれ!殴れるもんなら殴ってみろ!」(尋)
尋の挑発的な曲フリから繰り出された「Punch me if you can」は、彼等の代表曲の一つ。
とことん躍らせるハードチューンに、ステージ最前列から関係者エリアまで誰一人棒立ちではいれない。
「ボンジュール!我々はNOCTURNAL BLOODLUSTであーる!椅子があるとこではじめてライヴをする気がする。皆さん是非、椅子で殴り合って頂いても…(笑)。」(尋)
コミカルなMCの後は、リリースされたばかりのベストアルバムより「BREAK THIS FAKE」「DESPERATE」…と、立て続けにハードナンバーが続く。
スリリングなフレーズが完璧に合わさり、綿密に計算された轟音がオーディエンスを襲う。
「Eveil」からの「Calamity of Victims」では、ノクブラのヴィジュアル系バンドとしての真骨頂を知る事ができた。
メンバーのシルエットが逆光に美しく浮かび、ミドルテンポのバンドアンサンブルが這うようにフロアに満ちていく。
苦悶の表情で絶叫する尋に、ゾクリとしたファンも多かったはずだ。
そして「GENESIS」で一気にクライマックスを迎え、ラストはライヴテッパンナンバーの「V.I.P」で、ノクブラらしい壮観な光景が生み出された。
スタンディングエリアではサークルモッシュが発生し、尋はフロアに降りて客席の間を駆け回り、ステージ上では楽器隊が暴れ回る。
前後不覚の最高の馬鹿騒ぎを生み出す、ホンモノの実力がノクブラにはある。
結成8年目にして、彼等の飛躍と進化がまだまだ止まらない事を感じるアクトだった。
<SET LIST>
1:Malice against
2:Punch me if you can
3:BREAK THIS FAKE
4:DESPERATE
5:Eveil
6:Calamity of Victims
7:GENESIS
8:V.I.P
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●Versailles
大トリは先月に見事、初の武道館公演を実現させたばかりの耽美系最強バンドVersailles。
圧倒的な演奏力と表現力でつむがれるメロディック・スピードメタルで、1曲目「Aristocrat’s Symphony」から、早くも豊洲PITを18世紀のフランスへと誘った。
そこから流れるように、高らかなコーラスが映えるアリーナメタルナンバー「Lineage」を披露し、KAMIJOがにっこりとオーディエンスに微笑みかける。
「ボンジュール!今宵も、熱く激しく美しくまいりましょう。」(KAMIJO)
彼がボンジュールと言ったら豊洲だろうが武道館だろうが、どこだってベルサイユ宮殿になるのだ。
デビュー曲「ASCENDEAD MASTER」の振り付けを、KAMIJOと共に楽しげに踊るフロアは舞踏会さながらである。
すっかり暖まった会場に代表曲「MASQUERADE」が放たれ、荘厳なロックオペラにオーディエンスは酔いしれた。
「今日は、NHKの“バナナ ゼロミュージック”という番組でネタになったバンドが2バンド(Versailles・NOCTURNAL BLOODLUST)も出ています。バラエティに挑む僕等を、皆さんは勝ちと見ますか?負けと見ますか?僕たちは様々なエンターテインメントに、これからも音楽の分野から戦いを挑んでいきます。」(KAMIJO)
世界を股にかけて戦ってきたVersaillesならではの言葉で心をつかむと、ハンズクラップが楽しい「zombie」や、タオルを振り回して盛り上がる「Chandelier」を立て続けに繰り出して、会場の熱を更に高めていく。
そしてスラッシュメタルテイストの「The Red Carpet Day」が放たれる頃には、会場はすっかり彼等のワンマンライヴかのような熱気に満ちていた。
楽器隊の超絶技巧が宝石のように楽曲を彩り、どこまでも美しい音が響き渡る。
激しいリフでもちょっとしたニュアンスまで丁寧なのが、Versaillesの素晴らしいところだ。
「メタルという言葉に誇りをもって!ラスト一曲!」(KAMIJO)
最後は、エネルギッシュに聴くものを鼓舞する王道メタルナンバー「The Revenant Choir」でしめくくられた。
HIZAKI(Gt)がフロアに飛び降りドレスをひるがえして、後方まで駆け抜けるほどの熱狂っぷりだ。
最後にKAMIJOが「今日は亡くなったメンバー、Jasmine Youの誕生日です。」と告げ、彼の名を呼ぶ声がオーディエンスから大きく上がっていた事も書き記しておこう。
Versaillesはバンドの歴史もヴィジュアルの未来も背負ってこれからもまっすぐに歩み続けるのだろう。
10年目を迎えた彼等の1年はきっと素晴らしいものになるはずだ。
<SET LIST>
1:Aristocrat’s Symphony
2:Lineage
3:ASCENDEAD MASTER
4:MASQUERADE
5:zombie
6:Chandelier
7:The Red Carpet Day
8:The Revenant Choir 〜 Symphony of The Revenant Choir
毎回、ヴィジュアル系への愛を強く感じるイベントだと評判も上々な“Visual Parade”だが、今回も素晴らしいイベントだった。
第4回の開催はまだ未定だが、首を長くして続報を待とう。
Text:高崎 光
Photo:上溝 恭香





