2009年12月29日 (火)
熱狂!熱狂!特別ライブレポート!!★★★JACK IN THE BOX@日本武道館★★★ライブ写真も満載!!!
LIVE - 01:00:00最早、これに行かねば年を越せないという人も多いだろう! MAVERICK D.C. GROUP主催のライヴイヴェント「JACK IN THE BOX」。今年は初めて「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」と題した夏フェスも開催されたが、恒例の冬、恒例の武道館となれば、楽しみ方はまた別モノ。このイヴェントの醍醐味であるセッションは、今年はどんな組み合わせが見れるのか? などなど、尽きない期待でぐるりと埋め尽くされた武道館は、開演前からはち切れそうな状態だ。
祭りの火蓋を切って落としたのは、yukihiro率いるacid android。この出順だけで、只ならぬ一日になりそうな予感である。割れんばかりの大歓声の中、ロゴ幕の向こう側に炎が見える。幕にyukihiroの写真が浮かび上がると、はじまったのは、「new song 1」。サビで高速ビートが炸裂する、ライヴ仕様と言えるようなアグレッシヴなナンバーだ。続いても「new song 2」、「new song 3」と、全て地を這うようなへヴィな新曲を畳み掛ける。ヴィジュアル的にも、スクリーンには歌ってる姿は足元しか映し出されず、照明も終始ダークという、徹底して攻撃的なパフォーマンスを展開。最後はゴツンとマイクを投げ捨てた残響音を土産に、あっという間に去って行った。
ここでやっと幕が取り去られ、ネクスト・アクト、ゾロの紹介が映し出され、アナウンスが流れる。転換中も退屈のない演出に、歓声を上げ続ける客席! そしてBGMが止み、四人が登場。真っ赤な短パンスーツの衣装も眩しい龍寺(Vo)の先導ではじまったのは「DYNAMITE FLAVOR」。イントロからハンドクラップが二階席まで弾ける。飛び跳ねながら愛らしい笑顔を振りまくたつひ(B)、ぐいぐい挑発的に客席と対峙するタイゾ(G)、そしてそれを支える裕哉(Dr)――と、堂々としつつも、「YEAH!」と叫ばせて、思わず素(!?)で「凄いな」と呟いた龍寺を見てるとやっぱり、初々しい。そして、「パノラマHOP」、「COSMO「S」フューチャー」と畳み掛け、ステージ後方から花道まで動き回り、武道館をカラフルに彩った。
続いては、言わずと知れた快進撃を続けるシド! ステージに現れた瞬間から、武道館を飲み込むような大歓声。炎に囲まれながらはじまったのは、Shinji(G)の切ないスパニッシュなギターが印象的な「嘘」。最後は聴き惚れてしまう伸びやかなマオ(Vo)の歌声で美しく締め――と思いきや、MCでは「今日は昼っぽい健全なテンションで」と言いつつ、早速下ネタでトバすというアグレッシヴなやり方で、ますますオーディエンスの心をがっちりキャッチ。ライヴでは初披露となる「怪盗ネオン」では、明希(B)が花道から客席の一人一人を見るように駆け巡り、 ラストは最新シングル「one way」。眩しいポップチューンに、武道館も一体となって手を振り上げる。最後はゆうや(Dr)のドラム連打でパフォーマンスを締め括った。
次はいよいよ、当イヴェント名物であるセッションの一組目、Session Aが登場。メンバーは、ヴォーカルがマオ(シド)、ギターが夢人(彩冷える)、ベースがSato(MELLO)、ドラムがゆうや(シド)、キーボードが小池敦(シド サポートミュージシャン)という面々。その名と写真が映し出されるたびに歓声が。そして、全員が黒いスーツに身を包んで登場。なかなか楽器の立ち位置に行かないと思いきや、何と一列に並んでEXILEの「Ti Amo」を熱唱! さらに本家張りのダンスまで披露(「Choo Choo Train」で有名な踊りです)! しかし、マオとゆうやのツインヴォーカルのコンビネーションは余興以上である。マオ曰く、DVDを見て勉強したんだとか。それでいて自己紹介では、ゆうやを「千葉が生んだ落花生男」、自分を「明るい変態」とオトす……客席は笑いが止まらない。しかし最後はしっかりバンドでMR.CHILDRENの「抱きしめたい」をカヴァー。マオの美声が生える甘いラヴソング二連発に、うっとりと聴き入ったセッションだった。
続いてはムック。今年3月には3年ぶりの武道館ワンマンも行った彼らが、このステージへ帰還する! 赤い光と大歓声に包まれでステージに現れた彼らのオープニング・ナンバーは「咆哮」。短パン、Tシャツ、スニーカーと、キッズのようなファッションの逹瑯(Vo)が煽れば、ミヤ(G)は花道で頭を振り、YUKKE(B)はバックスタンドを向き、SATOち(Dr)は鋼鉄の2バスを轟かせ、客席の温度を上げていく。そこから、サビではオーディエンスのコーラスが木霊した「ファズ」、イントロからハンドクラップが響いた「オズ」、リリースされたばかりの初の配信シングルである暖かなバラード「ジオラマ」(スクリーンに映し出された歌詞がまた素晴らしかった!)と演奏。最近の楽曲で固めて、ワールドワイドなスケール感を見せ付けた。この勢いのまま、年明けのツアーに雪崩れ込めそうだ。
転換するステージを眺めていると、セッティングされたのは三台のドラムセット。何事か? と見つめるオーディエンスの視線の先に、ほどなくして現れたのはSATOち(ムック)とゆうや(シド)。がっちりハグし、上手と下手のドラムセットへ向かう。ではセンターには……と思いきや、yukihiroが登場! そして三人で息を合わせてドラムを叩きだす。まさしく、これぞセッション! SATOちとゆうやの嬉しそうな表情も印象的。最後は、yukihiroが二人とそれぞれ目を合わせてフィニッシュ。実に贅沢な競演を味わわせてもらった。
続いては、Creature Creature。今年はDEAD ENDが復活を果たしたが、その一方でCreature Creatureが再始動を遂げた年でもあるのだ。しょっぱなから、微動だにせずへヴィネスを叩きつける演奏に、茫然と佇むオーディエンスも多い。Morrieは悠々と花道を歩きながら、美声とシャウトを轟かせる。カリスマとはこういう人のことを言うのだ、と思わずにはいられない。かと思いきや「みんな、Creature Creatureって知ってる?」とフレンドリーに語り掛けるMorrie。それでぐっと会場の雰囲気もほぐれたか、「パラダイス」ではたくさんの手が挙がり出す。さらに「Red」ではバンドメンバーもぐいぐい花道やバックスタンドに向けて動き出す。今日のCreature Creatureは、凄く“楽しめる”パフォーマンスを展開してくれたと思う。
そして次はSession Cの登場だ。ヴォーカルはkyo(BUG/D’ERLANGER)、ギターはミヤ(ムック)と弐(ギルガメッシュ)、ベースは研次郎(cali≠gari)、ドラムはSakura(S.O.A.P.)、キーボードは都啓一(SOPHIA)。そしてkyoがマイクスタンドを倒して歌い始めたのは、GUNS’N’ROSESの「Welcome to the Jungle」! 先日の来日公演で、ムックが二度目のオープニングアクトを務めたばかりということもあり、ついついミヤは何思いながら弾く?と表情に注目してしまう。が、だんだんkyoの絶品なシャウトに惹き込まれていく。ハマり過ぎ! 他のバンドメンバーも、水を得た魚のように弾けながらで演奏。特に弐は先輩方に囲まれて、本当に嬉しそうだ。さらに二曲目の楽曲は、これは意外なKAT-TUN「Real Face」! オーディエンスからもどよめきが起きる。しかし、kyoのシャウトとへヴィな演奏で、楽曲を完全に彼らのモノにしてしまっていた。このメンバーが本気になると怖い!と思わずにはいられないセッションだった。
続いては、ヴォーカルに逹瑯(ムック)、ギターがヒロト(Alice Nine)と美月(Sadie)、ベースがdunch(jealkb)、ドラムがケンゾ(彩冷える)という、ネオヴィジュアル系を牽引する五人が揃ったバンドといえば……そう、「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」以来、二度目のお目見えとなるカラス! まずはオリジナルの「LASTICA」を披露。逹瑯は、ムックの時のラフなファッションとは打って変わって、カッチリしたメイクと衣装を身に纏い、華麗に武道館を牽引する。メンバーも初回よりもごく自然に絡み、オーディエンスも、初回のじっくり見る感じとは違って、普通にライヴとして楽しんでいる。さて、彼らのオリジナルはまだ1曲しかない。ということで逹瑯が「アニソンを。世代的に知ってるか」と言って、何と『幽☆遊☆白書』で高橋ひろが歌っていた「アンバランスなkissをして」をカヴァー! これは、懐かしい! そして、実はネオヴィジュアル系に似合う曲調であることも聴いていて発覚。よく見つけてきたと思う。華やかなメンバーでステージを縦横無尽に駆け回り、これからの活動も期待させてしまうような存在感を印象付けた。
次はSession D。メンバーはヴォーカルが逹瑯(ムック)、ギターがShinji(シド)と加藤貴之(兎-usagi-)、ベースが明希(シド)、ドラムがケンゾ(彩冷える)。逹瑯の「ヘイ、Shinji、カモン!」の一声から、BUCK-TICKの「Les Enfants Terribles」がスタート。途中で明希がヴォーカルを務める場面も。そして2曲目はミッシェル・ガン・エレファントの「バードメン」。意外な選曲?と思いきや、 加藤貴之のカッティングは殺傷力が溢れているし、チバユウスケのガナリ声は逹瑯の声に合ってるし、かなりハマっていた。嬉しそうに逹瑯に背中を合わせて弾く明希。縦横無尽に動き回るShinji。そしてケンゾの華やかなドラミング! ロックの血沸き肉踊るセッションだった。
そろそろ中盤に差し掛かってきたが、オーディエンスのテンションは疲れ知らず。ネクスト・アクトのギルガメッシュの名がコールされても大歓声! これまでこのイヴェントでは特攻隊長的な早い時間帯への出演が多かった彼ら。満を持して、夕刻の登場となった。暗闇の中で光が明滅すると、ハンドクラップが巻き起こる。1曲目の「bit crash」では火がゴウゴウと立ち昇る中、猛々しいコーラスが響き渡る。Яyo(Dr)が両手を挙げ、左迅(Vo)が「盛り上がって行こうか!」と叫ぶと、「DIRTY STORY」へ突入。客席もいっせいにコブシを振り上げる。弐(G)はステージのギリギリまで出てきて弾き上げ、愁(B)はバックスタンドに向かってコーラス。さらに、キャッチーな「evolution」と続き、最後は「arrow」で、メロウに締め。今月リリースしたばかりのアルバム『NOW』からの楽曲をたっぷり披露した、若獅子のような彼らの今を脳裏に焼き付けられたライヴだった。
次は暗転された中、映像が流れ出すとピンクのサイリウムと歓声で武道館が染まる。そう、TETSUYAの登場だ! 1曲目は、「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」でも披露した「New Song(untitled)」。きらめくイントロと共にピンクのスカーフをはためかせながら飛び出してきたTETSUYA。さっそく水鉄砲を客席に向けて、女子のハートを撃ち抜く。そして自らピンクのタオルをクルクル回しながらはじまったのは、「Roulette」。オーディエンスも、ハンドクラップしたり、タオルを回したりして、ポップな楽曲をさらに色付けていく。そして「こんばんは、TETSUYAです!」と挨拶し、「TIGHTROPE~SCARECROW」へ。さらに「lonely girl」では、無数の銀テープが飛び出して、楽曲の輝きを後押し。ギターソロでは、中村佳嗣(G)の肩を抱き寄せて、ステージ前方へ誘う一幕も。ラストはしっとりと「15 1/2フィフティーンハーフ」。「ありがとう! まったねー!」と言葉を残して、拍手しながらステージを降りていった。
そして、次は誰?という期待が注がれたスクリーンに、某番組のオープニング映像に重ねて「Shinjiロードショー」のロゴが浮かび上がると、大歓声……というより爆笑が。そして当のShinjiが花道より登場し、10年ぶりに金髪にしたことをキッカケに作ったという「僕とロンゲとカツアゲ」を一人オン・ステージで披露。アコギで10年前の金髪エピソードを切々と歌い上げるShinjiの一言一言に笑いが巻き起こる。そこから、かの「ロード」へと繋ぐと、客席いっぱいにシンガロングが広がっていく。この連携プレイ、お見事。最後に太田胃酸を取り出し「ありがとう、いい薬です!」の決め台詞と共に去って行った。
続いてはSession E。ヴォーカルがマオ(シド)、ギターが白田一秀(ex PRESENCE/Ken BAND)、ベースがtetsuya(L’Arc~en~Ciel)、ドラムが真矢(LUNA SEA)という、マオを百戦錬磨の先輩方が囲むようなセッションだ。しかも楽曲は、TETSUYAのソロ曲、「Can’t stop believing」と、プレッシャーに襲われそうな状況の中で、見事に歌い上げるマオ。tetsuyaも、マオの緊張を和らげるようにそっと寄り添う。それにしても、白田のギターソロも、真矢のパワフルなドラムも、ほんとにハイクオリティ! 流石に演奏を終えたマオは「ガクガクです」と本音をポロリ。そうするとtetsuyaが「マオくんの歌の方がいいと思ってるんちゃうの?」と。そして、続いてはPRESENCEの「蜃気楼」。このセッションに込めたtetsuyaの思いを形にするように熱演する三人。最後、tetsuyaが感慨深げに両手を挙げながらステージを降りて行く姿が印象的だった。
いよいよ祭りもクライマックス。ラストのセッション以外の最終アクトは、Ken! 1曲目は、これまでのライヴでも披露していたCOLD PLAYの「Viva La Vida」。サビでドカンと特効が炸裂し、客席にはハンドクラップが起こり、どんどんヒートアップする中、Kenも曲の終盤にはギターを下ろしてハンドマイクで楽しそうに歌い上げる。さらにマイクスタンドも蹴り倒すと、「Speed」へ。迫力の音塊が武道館へ降臨! Kenのハイトーン・ヴォイスも、天を裂く勢いで響き渡る。続いては「Deeper」。ハードロック魂が爆発したような演奏と、KenとTomo(Cho)の男女ヴォーカルに聴き入るオーディエンス。そしてラストは、Kenが拡声器を手にした「Spin Along」。Tomoはセクシーに鞭を持って花道へ踊り出て、バンドも全員が弾き上げる。祭りに相応しい華やかさだ。最後はKenの高々としたジャンプで締め括った。
さぁ、次はいよいよラスト、MAVERICK DC SUPER ALL STARS。まずはスクリーンに、DANGER CRUE RECORDSが来年25周年を迎えることが告知される。そして“First Recording Artist”である44MAGNUMの映像から、ギルガメッシュ、シド、ムック、L’Arc~en~Ciel、D’ERLANGER、REACTIONと、歴代の所属バンドの映像が流されていく。そして“全てはこの男たちから始まった”という言葉で、再び映像は44MAGNUMに。そしてPAUL(Vo)、JIMMY(G)、JOE(Dr)という44MAGNUMの面々と、JACK(B)という、マーヴェリックの礎と言える面々が登場。そして、ずらり並んだマイクスタンドに向かい、今日の出演バンドのヴォーカリストが勢揃いする。そこで最後に紹介されたのは、hyde(L‘Arc~en~Ciel)! 割れんばかりの歓声が巻き起こる。そしてもちろん演奏するのは、44MAGNUMの「STREET ROCK’N ROLLER」! 特効が弾け、Co2が噴き出すと、今日の出演者が幾つもの大きな団扇を掲げて、われもわれもと再登場。じゃれ合ったり、駆け廻ったり、客席を巻き込みながら、祭りの締め括りに相応しいやんちゃでド派手なパフォーマンスをブチ上げた。最後、OASISの「LIVE FOREVER」が流れる中、帰途に就く人たちを見ながら、来年も、また、ここにいる全員でお祭り騒ぎしようよ、そう語り掛けたい気持ちになかった。「JACK IN THE BOX」、リヴ・フォーエヴァー!
text:高橋美穂
photo:今元秀明、石井アキ