2010年01月01日 (金)
特別ライブレポート!!★★★Over The Edge 09★★★熱狂の年越しカウントダウンライブをもう一度・・・!!
NEWS - 23:00:00今年で三回目を迎えた、年越しライヴ・イベントOver The Edge。毎年、ヴィジュアル系の注目のアクトが集結するが、今年は特に若手中心のラインナップ。その勢いを体感すべく、大晦日の真っ昼間にも関わらず、開演時から大勢のオーディエンスが詰め掛けた。
記念すべきトップバッターはゾロ! 「貴方の御命、頂戴します!」というお馴染みの台詞が暗闇から聴こえると、いっせいにオーディエンスが立ち上がる。1曲目は「KITSUNE」。お立ち台の上で龍寺(Vo)がハンドクラップを煽れば、タイゾ(G)もソロを弾きまくる。大きな声援を浴びながら龍寺は「凄いな。そのテンション忘れちゃダメだよ」と言って、「ライオンベイビイ」へ。さらに、テンション高く龍寺が客席にマイクを向ければ、たつひ(B)も笑顔でコブシを振り上げた「warp」と続き、あっという間にラストナンバー「DYNAMITE FLAVOR」。たつひと一緒にみんなで飛び跳ねて、ライヴを締め括った。
続いては早くもセッション。ミッシェル・ガン・エレファントの「SMOKIN’ BILLY」のイントロと共に幕が開くと、ギターに圭(kannivalism)と健一(メリー)、ベースに長谷川正(plastic tree)、ドラムにЯyo(ギルガメッシュ)が姿を現し、さらに「東京!」という絶叫でこのセッションの中心人物であるヴォーカルの大佑(thestuds)が登場し、歌いだす。2曲目はhideの「DICE」。全員が2曲とも見事に完コピなのは、バンドマンに多大な影響を与えたバンドの楽曲ならでは。そしてトドメは、何と蜉蝣の「夕暮れの謝罪」!! 狂喜のヘッドバンキングが咲き乱れ、大佑の絶叫を残響にパフォーマンスは終わった。
イントロで気付いたオーディエンスが歓声を挙げはじめる。幕が開いて登場したのはlynch.。まずは今年リリースしたアルバム『SHADOWS』でもオープニングを飾っていた「LAST NITE」だ。続いて空気は一転、ヘヴィな「I’m sick,b’cuz luv u.」。「聴かせてくれ!」とオーディエンスの声を求める葉月(Vo)。MCでも葉月は「席とか今日はあるけど、二階席を落としましょう」と大胆不敵に言い放つ。そして、「unknown lost a beauty」では跳ばせたり手を叩かせたり、どんどんオーディエンスを巻き込んでいく。ラストは、一体となるには相応しい「Adore」。最後、玲央(G)は高々とギターを掲げて、満足げに去っていった。
幕が閉まっているサウンドチェックからコール&レスポンスして、思い切り次の出番だとバレバレだったのはheidi.。しょっぱなから「泡沫」でいっせいに揃った手拍子に、思わず義彦(Vo)も笑顔。続く「ハロー!」では、「さぁ、みんなで歌おうか!」と義彦が叫び、歌声が広がっていく。「恍惚」では、オーディエンスの歓声に、まだまだ! とばかりにコースケ(B)が首を振る場面も。そして「さぁ渋谷、バカになろうぜ!」という義彦の言葉からはじまったのは「センチメンタル」。オーディエンスも弾けるように笑顔で踊る。四人が演奏中に見せたたくさんの素直な笑顔が、会場中の人の気持ちを代弁していたと思う。
続いてはダウト。SEに合わせた手拍子に迎えられて、羽織袴姿の五人が登場。1曲目は「太刀風横町」。幸樹(Vo)が手をぐるぐる回すと、客席もそれに続く。さらに荘厳なイントロが流れだし、椎名林檎のカヴァー「歌舞伎町の女王」がスタート。ダウト流のダークなアレンジに聴き入るオーディエンス。その後は幸樹が、ビニール傘の上でゴムボールを回したり、ゴムボールを二階まで投げようとする……が、ぶつかってPA卓付近に落ちてきてしまった。残念! それを挽回すべく(!?)、アグレッシヴに「刺青-tatto-」、「シャングリラ」と駆け抜ける。最後は三三七拍子で締めるという、とても大晦日らしいエンディングとなった。
次は、今日二組目のセッション。しかし、セッションとはいえ、YUKI(Mix Speaker’s,Inc.) 、義彦(heidi.)というヴォーカリスト二人と、ピアノのテロ(ヴィドール)という編成。そして歌い始めたのはUVERworldの「君の好きなうた」。黒いスーツ姿で、しっとりと歌い上げる二人。その後のMCでは、YUKIが「これは僕の趣味です」と笑顔で説明。続いて、「二人のヴォーカルと言えば……」と言って披露したのはkinki kidsの「もう君以外愛せない」。ラヴバラード二連発の、甘いひとときだった。
ネクスト・アクトはSadie。「迷彩」がスタートすると、あっという間にコブシとヘッドバンキングの嵐が巻き起こっていく。「VIRTUAL FAKEMAN」では、剣(G)と美月(G)がぐいぐい前に出て、オーディエンスを挑発。さらにSEを挟んではじまったのは、昨日リリースされたばかりの『Gain』から「ever」。その後は、真緒(VOICE)が微動だにせず客席を睨みつけて「心眼」へ。最後は、景(Dr)の力強いドラムから、剣、美月、亜季(B)がずらりとステージ前方に出てきてはじまった「陽炎」でフィニッシュ。「最後に、声を聞かせてくれ!」と、何度も叫ばせて、その熱狂に頷く真緒。一人一人が頭を下げたり、感謝を述べたりしながらステージを降りていく姿が清々しかった。
赤い光の中、幕が開き、三組目のセッションが登場。ヴォーカルがガラ(メリー)、ギターがミヤ(ムック)とナカヤマアキラ(plastic tree)、ベースが愁(ギルガメッシュ)、ドラムが佐藤ケンケン(plastic tree)という面々ではじまったのは、KORNの「twist」。ガラが上半身裸で豪快に歌い上げる。続いてもKORNの「chi」。ガラ流な歌い方と、本家もびっくりのヘヴィネスとの融合が面白い。ガラによるメンバー紹介を挟んで、最後は黒夢の「for dear」。ナカヤマのギターの音色がとてもよく合う。このセッションの首謀者はミヤだったのだが、同世代の人間としては非常にツボな内容だった。
全員で歌い踊る「BIG BANG MUSIC~青春ウォーカー~」からはじまったのはMix Speaker’s,Inc.。完璧なパフォーマンスに驚いている人に向けて、「わたくしたち、バンドでございます!」とYUKI(Vo)。そこからは楽器を手にし、キュートな「誘ワク星リズム」へ。続く「Friday Night Busters」では“ヘドバン”、“手拍子”、“コブシ”と書かれた紙をMIKIが掲げ、オーディエンスを先導。そして「最後に、この歌で会場を一つにしましょう!」とYUKIが言ってはじまったのは「YOU♪愛♪メッセージ」。手の波が揺れ、ハンドクラップが起きる。演奏が終わるとBGMが流れる中、全員が一列に並び、深くお辞儀。30分の出演ながら、ミュージカルを見ているような感覚を味わわせてくれた。
続いては、大きなバックドロップを背負ってDが登場。全員が和服をベースにした衣装を艶やかに身に纏い、「狐塚」からスタート。続いては「メテオ~夢寐の刻~」。Ruiza(G)とHIDE-ZOU(G)の美しいツインリードと、HIROKI(Dr)のツーバスが爆発していく。さらにASAGIが唐傘を回し、扇子を取りだすと「桜花咲き染めにけり」へ。オーディエンスも扇子を手に、共に踊る。「NEO JAPANESQE」では、Tsunehito(B)のチョッパーも炸裂。ここでやっとASAGIがMCをし「来る2010年を、共に迎えようか!」という力強い言葉から、ラストまで畳み掛けていく。「花惑」でセンターにフロント4人が勢揃いした時の艶やかさといったら! 実力派というに相応しい熱演だったと思う。
ネクスト・アクトは、全員が黒い衣装で揃えたヴィドール。1曲目の「Cryptic Tokyo」から、ステージを縦横無尽に駆け巡るジュイ(Vo)。続く「ワイセツ人形」では、全身でコール&レスポンスを求めるメンバーに、オーディエンスもヒートアップ。演奏が終わるとラメ(B)も、嬉しそうに手を突き上げる。ジュイは「隣の会場(紅白歌合戦)よりこっちの方がイケてるし、楽しいし、カッコイイし、幸せだし!」と、嬉しくなる言葉を投げ掛ける。ラストの「Tree」のサビでは、眩しい照明の中で、メンバーもオーディエンスもジャンプ! ジュイの笑顔と「2009年、本当にありがとう!」という言葉で、ライヴは締め括られた。
ここで一時間ほど休憩を挟み、kyo(Vo)の「トーキョー!」という一声から、「dummy blue」がスタート。そう、遂に、ヴィジュアル系を切り開いた立役者と言えるD’ERLANGERがOver The Edgeに降臨である! 十字架やドクロのオブジェも設けられ、ステージは完全にD’ERLANGERワールド。さらに「柘榴」では、CHIPER(G)がぐいぐい前方に進み出れば、kyoもしゃがみ込んだり、オーディエンスに歩み寄って、カリスマに留まらぬ、現在進行形のバンドであることを知らしめていく。さらに、ポップな「Angelic Poetry」へと続き、「せっかくだからもう一発行こうか!」という言葉からはじまったのは、名曲「LA VIE EN ROSE」! 若いオーディエンスの感情にも、確かな爪痕を残すパフォーマンスだったと思う。
続いて、ダークなSEと明滅する光に包まれて登場したのは、12012。直立不動の宮脇渉(Vo)の「イェー!」という絶唱から幕を開けた「薄紅と雨」でライヴがスタート。続いては「SHINE」。イントロからハンドクラップを巻き起こす。川内亨(Dr)がスティックで客席を指すと、沸き上がる「オイ! オイ!」コール。最後はヘッドバンキング炸裂の「サイクロン」、たくさんのコブシが突き上げられた「As」と叩き付けた。川内は演奏を終えて拍手。緩急めまぐるしく、彼らのキャパシティを見せ付けられた時間だった。
遂に2009年最後のライヴを行うのは四組目のセッション。まずは逹瑯(ムック)が現れると、メンバーを一人づつ呼び込んでいく。ドラムがTetsu(D’ERLANGER)、キーボードがDIE(hide with spread beaver)、ホーン隊がPistol Valve、ベースがseek(Mix Speaker’s,Inc.)、ギターが杉本善徳と結生(メリー)と、登場した人から音を重ねていく。楽曲がはじまる前から、とても贅沢なセッションに! そのまま、東京スカパラダイスオーケストラがチバユウスケをヴォーカルに迎えた楽曲である「カナリア鳴く空」のカヴァーに雪崩れ込んでいく。続いては逹瑯の「お父さんやお母さんが聴いてて知ってると思います」という紹介でチェッカーズの「ジュリアに傷心」へ。ラストは逹瑯が「青い空なんて、大っ嫌いだ!」の決め台詞まできっちりカヴァーした、「BLUE SKY COMPLEX」。世代もジャンルも様々ながら、華やかさばかりが入り乱れた圧巻のセッションだった。
さて、いよいよカウントダウンが近づいてきた! 時報が流れるなか、まずは彩冷えるのメンバーが登場し、今日の出演者全員をステージに呼び込んでいく。葵(Vo)がどんな一年だったかを、一人一人に聞いていくうちに、時報があっという間に0時を告げた! 客電が明るく照らされ、銀テープが発射されると、ステージも客席も、歓喜に沸く。そこで、早々と葵が笑いながら「そろそろ彩冷えるのライヴなんで」と言うと、出演者が手を振りながら退場。そして、特効と共に2010年の幕を開ける「三秒」がスタート! 場内の誰もが、ヘドバン初めもジャンプ初めもこの楽曲で果たしたことだろう。さらに「ブラウニー」では、葵に合わせてオーディエンスが右に左に手を伸ばしたり、フロントの四人が連なってぐるぐる回ったり、誰もが思いっきり楽しんでいく。ラストはとびっきりポップな「デジタルネバーランド」。ケンゾが高くスティックを投げて見事にキャッチすると、葵の「スーパーギタリスト、夢人!」という紹介で夢人(G)がセンターで弾きまくる。そして葵の高らかなジャンプでフィニッシュ。五人が五人とも華があるパフォーマンスは、明るい2010年に導いてくれる道標となったと思う。
そして2010年最初のセッションは、知る人ぞ知る!? ピロートークが出現。LUNA SEAの「TONIGHT」が流れる中、ヴォーカルに竜太朗(plastic tree)、ギターにaie(the studs)と夢人(彩冷える)、ベースにYUKKE(ムック)、ドラムにネロ(メリー)という面々が、思い思いのパジャマ姿!? で登場。ちなみに、一番パンチが効いていたのは、トラ年を意識したかのようなYUKKEのパジャマ。そしてaieは何故かいつも通りの服装(多分)。「ピロートークだけに」と言って、先ほどまで流れていたLUNA SEAの「TONIGHT」をカヴァー。さらに中島美嘉の「雪の華」のカヴァーへ続ける。トドメに最後は「TONIGHT」に再び戻り、本家ばりにステージ前に勢揃いして大団円となった。
さぁ、いよいよフィナーレが近づいてきた。続いてはバンドとしてはヘッドライナーを務めるギルガメッシュ! ハンドクラップと光が瞬く中、メンバーが一人一人登場し、「bit crash」へ。ぶつけたくて堪らなかった思いが聞こえてきそうな怒涛の音塊に、客席からもコーラスやコブシが飛びまくる。さらに左迅(Vo)が「ラストスパートをかけていこうと思うので、みんな付いてきて下さい」と、「DIRTY STORY」へ。左迅が「会場全員の声を聞かせてくれ!」と言うと、最早オーディエンスも絶唱。そして弐(G)のジャンプやЯyo(Dr)のダンス(!?)も炸裂した「evolution」と続き、ラストナンバーは、「arrow」。今年の飛躍を約束するような、堂々たるパフォーマンスだった。
まだまだ祭りは続く。次は、ギルガメッシュが「CRAZY TOUR」を廻った時の対バンの仲間たちが集結した、題してCRAZYセッション! 左迅(Vo)、弐(G)、愁(B)、Яyo(DJ)、というギルガメッシュのメンバーと、heidi.から義彦(Vo)、ナオ(G)、桐(Dr)、コースケ(Key)、さらにSadieの美月(Vo)。そしてはじまったのはマキシマムザ ホルモンの「恋のメガラバ」。まさにクライマックスに相応しいヘッドバンキングとダンスが客席に広がっていく。続いて、Sadieの亜季(B)が呼び込まれると、hideの「ROCKET DIVE」がスタート……した途端に、今日の出演者がわらわらとステージに集結。どう見ても私服な人や、酔っぱらってる人も多数。オーディエンスも演奏を聴いたり、誰がステージにいるのか確認したり、ぼんぼん投げられる飴やチョコレートを拾ったりで大忙し。そんなこんなしているうちに曲が終了。まさに嵐のようにステージから人が去り、熱狂だけが場内へと残された。
頭空っぽにして騒げる年忘れ&年明けのお祭り、という意味合いは例年通り健在だったが、最後のセッションまで中心に立ち続けた若手の活躍が、今年は光っていたと思う。その一方でレギュラー出演陣達は存在感を増し、さらにはD’ERLANGERの熱演もあり、脈々と続いていくヴィジュアル系というカルチャーを体感できた12時間となった。
PHOTO:原サワエ / 平沼久奈
TEXT:高橋美穂