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2013年12月24日 (火)


<ライヴレポート>★★★THE MICRO HEAD 4N’S★★★2013.12.15 SHINJUKU BLAZE!!!

NEWS - 16:00:00

■THE MICRO HEAD 4N’S
LIVE TOUR 2013 EVOKE A RESPONSE -THANK YOU FOR MY CLONE- FINAL
2013.12.15 SHINJUKU BLAZE

 2月から3月にかけて初のEUツアーを敢行、その後も精力的にイベント・ツアーに出演し、夏には2ndアルバム『-REVERBERATIONS-』及びライヴDVD『A BEGINNING FROM THE END. at 2012.08.24 SHIBUYA CLUB QUATTRO』を発売、ニューアルバムを引っさげての2周年東名阪ワンマン・ツアーに続き、ドキュメンタリー映像作品『THE MICRO HEAD 4N’S Documents 2013 DVD』をリリースするなど、2013年を勢いよく駆け抜けてきたTHE MICRO HEAD 4N’S。

 11月1日の札幌公演を皮切りにスタートした全国ツアー“LIVE TOUR 2013 EVOKE A RESPONSE -THANK YOU FOR MY CLONE-”のファイナルは、東京2 days。このロングツアーの、そして2013年の集大成となった12月15日の最終公演は、バンドのリーダーkazuyaの誕生日とあって、ファンから贈られた大きな花が飾られており、エントランスホールはお祝いムードに包まれている。そのおかげか、ライヴ会場もいつも以上に和気あいあいとした雰囲気だ。

 照明が暗転し、新作のオープニングを飾るSE“Second Emblem”が流れだすと、アップビートなメロディに合わせて、フロアを埋め尽くすクローンたちが大きく手拍子をはじめる。新衣装を身にまとったkazuya(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)、SHUN.(G,DJ)に次いで、サングラスをかけたRicky(Vo)が登場すると、割れんばかりの歓声がわきおこり、“WHITE SOUL”でライヴの幕が開いた。起伏をもって、めまぐるしく変わる楽曲に合わせてライティングも自在に変化し、会場は一気にヒートアップ! その勢いのまま、“GLORIOUS BLAZE”の激しいコール&レスポンスへなだれこむ。「今日は全部出していこうぜ、東京!!」というRickyの雄叫びをうけ、わき目もふらず頭を振り乱すクローンたち。SHUN.、ZEROも縦横無尽にステージを動き回り、観客を激しく煽る。ヘヴィネスとドラマティシズムが交錯する“I’m like a bird in a cage & U too”では、TSUKASAのグルーヴが炸裂。激しく力強いSHUN.とは対照的な、kazuyaの“静”のギターも光る。

 コンパクトなMCのあと、「景気付けに新曲いくぜ、“プリズナー”!!」というRickyの新曲紹介と共に、スプーキーな電子音が鳴り響く。なまめかしく、どこか異国情緒を漂わせる新しいマイフォサウンドに、早くも心を奪われる観客。仮タイトルどおり、手錠をされた囚人を思わす手首をクロスさせる振り付けが印象的で、あっという間に会場中のクローンたちに伝染していく。SHUN.のギターソロとRickyのラップが特徴的な“UN-CONTROLLED”では、ZEROがステージ前方に躍り出て、観客を挑発。続く“BREAKING & SHOUT OUT!!!!!”では「思いっきり飛べよ!!」というSHUN.の咆哮で、観客が一斉にジャンプ。Rickyは上手で髪を振り乱し、ZEROは下手で跳ねまくり、kazuyaとSHUN.はセンターでユニゾンに。後方でバンドを支えるTSUKASAも一心不乱にドラムを叩く。フロアの観客もステージ上のメンバーも完全にバースト! 会場が大きく揺れ動くのを肌で感じる。

 怒涛の勢いで6曲を畳み掛けたあとは、チルアウトタイム。前ツアー“2nd anniversary LIVE -REVERBERATIONS-”で初お目見えした、SHUN.のDJを基調にkazuyaとZEROが華を添える、インストゥルメンタルのセットが始まった。会場は瞬時にクラブ仕様に変わり、観客はジャンプしたり、体を揺らしたり、思い思いにハードなダンスビートとノイズを楽しむ。

 フードをかぶって再びステージ中央に姿を現したRickyが「新曲、いくぜ! 真剣に遊ぼうぜ!!」と観客を鼓舞させ、この日2曲目となる新曲 “EARNEST GAME(仮)”でライヴの後半戦がスタート。ジェットコースターのような疾走系ナンバーながら、メロウなコーラスパートやkazuyaのジェントルなギターが絶妙に入るなど、激しさと穏やかさのコントラストがたまらない。そのスピードとアグレッションに遅れまいと、必死にステージに喰らいつくクローンたち。そして、「今日は休みなくいくぜ!」とそのまま“HELLO MY CLONE”に突入。バンドは一切容赦なく、音の攻撃の手を緩めない。

 ZEROにピンスポットがあたり、ベースソロがおどろおどろしく鳴り響くと、「まだまだいけるだろ! 拳、挙げていけ!!」というSHUN.の怒号が飛び、“MONSTER’S ROAR”へ。テンションも緊張感もマックスに高まり、すべてが野獣化。Rickyの咆哮とヒステリックなサイレン音がけたたましく轟き、もはや誰もクローンのヘドバンを止められない。そんな中、“I surrender”のクラブサウンドが弾け、会場は再度ダンスフロアに変貌。Rickyが右に左に乱舞する中、空中では何百ものタオルがぐるぐる旋回し、kazuya、SHUN.、ZEROもステージ狭しと駆けまわる。それに負けじと、TSUKASAも華麗なスティック回しを披露。この日最高の一体感が生まれた。

 そして、いよいよラストの“この先ずっと…”へ。フロアからわきあがる大きな歓声に応えるように、イントロのドラム音が心地よく響き出す。「一緒に歌いましょう!」というRickyの優しい語りかけと、kazuyaが奏でるさわやかなギターリフに合わせて、クローンたちが大きく頭上で手拍子を打ちはじめた。「もっと! もっと!!」とZEROがフロアを煽り、Rickyがマイクを客席に向けると、感動的なまでの大合唱が巻き起こる。背中合わせでギターを弾きながらその様子を見守るkazuyaとSHUN.は、満面の笑顔だ。

 完璧な流れで本編が終わり、「どうもありがとう! THE MICRO HEAD 4N’Sでした!」とメンバーがステージを降りるやいなや、フロアのマイクローンたちが誰からともなく“ハッピー・バースデー・トゥ・ユー”を歌い出す。このバースデーソングの大合唱をうけて、kazuyaがステージに再登場するかと思いきや、黒のツアーTシャツに着替えたRickyとSHUN.が「ふたりの誕生日のためにどうもありがとう!」と言いながら姿を見せ、会場は笑いの渦に。みんなでもう一度バースデーソングを歌うと、ピンクのTシャツ姿のkazuyaが照れくさそうに登場。続いて、グレーのツアーTシャツを着たZEROとTSUKASAが、kazuyaが大好きだというチョコレートケーキを持ってステージ中央へ。キャンドルの火を吹き消して、喜び安心したのも束の間、kazuyaは悪友SHUN.に「声が遅れて聞こえる平泉成のモノまね」をムチャぶりされる。

 その後、各メンバーからkazuyaへ愛の言葉が贈られることになり、SHUN.は「やっとオレに歳が追いついたけど、すぐに突き離すからね」とメッセージはコンパクトにおさえて、人知れず髪型を変えたことや、自分のオネエ疑惑に言及。Rickyに「SHUN.姐と寿退社を目論んでいるベーシスト」と紹介されたZEROは、kazuyaの誕生日明けの初仕事はメンバーのご飯代とガソリン代の支払いだったというエピソードを披露。「バンド一番の問題児」TSUKASAは、出会ったときからkazuyaを兄のように慕っていたからと演歌をプレゼントすることにし、“兄弟船”を気持ちよさそうに熱唱した。Rickyはkazuyaのかわいさと純粋さを絶賛。kazuyaもメンバーそれぞれと、観客全員に感謝の言葉を述べ、会場は温かい雰囲気に包まれる。

 そして話は、今後のスケジュールへ。2014年2月から5月まで、毎月1回連続して開催される“EARNEST GAMES”の全4公演に参加すると、スペシャル音源のプレゼントがあり、その曲を書いたのがZEROであることが発表される。「マニアックな曲を作りそうだし聴いてみたいと言われたこともあり、17年ぶりに書いたけど、自分なりの曲ができたから、これからメンバーみんなで調理していくぜ!」というZEROの力強い言葉に、フロアから大きな拍手が巻き起こる。夏にはメジャーから新音源を出す予定で、その前の5月くらいにも別音源を出したいなど、今後の積極的な音源リリースもアナウンスされた。

 「新曲もたくさんできてきたし、来年もがんばっていきたいと思っています。今回のツアーはみんなとハイタッチをしながらまわってきて、ここまで無事にたどりつけました。ありがとうございました。そんな感謝の気持ちを乗せて作った曲があります。こんな素敵なメンバー5人が揃ったことも奇跡だし、そんな僕らを観ているみんながここにいることも奇跡。そのことを噛み締めながら、みんなへの感謝を込めて歌います。聴いてください」と紹介されたのは、新曲“声亡きスマイル(仮)”。Rickyが爪弾くアコースティックギターがアクセントになった、ポップネスが弾ける美しい楽曲だ。この展開を予測していなかったクローンたちも、ゆるやかなメロディにすっかり身を預け、体を優しく揺らしている。

 THE MICRO HEAD 4N’Sの新境地が垣間見られるサウンドに、惜しみない拍手が送られる中、“雷鳴”冒頭の嵐の効果音が鳴り響き、会場の雰囲気が一変。拳を高く突き上げるkazuyaの横で、SHUN.は長い髪を激しく振り乱し、アンプに足をかけたZEROは前のめりになって観客を挑発する。気迫に満ちた声で「まだまだ終わらねぇぞ、もっとテンション上げていこうぜ!」とRickyがフロアをけしかけ、そのまま“REVERBERATIONS”になだれ込んだ。あたりは高速ヘドバンの嵐と化し、「ほら、うしろ! 真ん中、どうした!?」とRickyがさらに観客を駆り立て、会場の温度と湿度が一気に上昇。膝をついて絶唱するRickyや、ステージを這うように転げまわりながら演奏するZEROに向かって、クローンたちが必死に手を伸ばす。ステージとフロアが一体になってのハンパないコール&レスポンスの応酬と、激しいパフォーマンスが繰り広げられたアンコールラストの“Curtain Call”では、この日最高の盛り上がりを見せる。

 「マイフォ! マイフォ!」のラストコールのあと、Rickyから最後のメンバー紹介があり、バンドは「ありがとう! また会いましょう!」とフロアに大きく手を振りながら、ステージ袖へ姿を消す。SEで“この先ずっと…”が流れ、会場が明転しても、まだまだ足りないと言わんばかりにその場をけして動かず、アンコールを求め続けるマイクローンたち。その熱い思いが通じ、バンドは2度目のアンコールに応じて、1stアルバム『A BEGINNING FROM THE END.』収録の人気曲“フォトグラフ”を披露。楽しそうにポーズを取るRicky、サウンドに合わせてジャンプするkazuyaとSHUN.、ステージ後方でTSUKASAと静かに向き合うZEROの姿を見て、観客の顔が笑みで輝く。会場が再び大合唱に包まれたのは、言うまでもないだろう。

 おなじみの楽曲の数々が、新アレンジと共にさらなる成長を遂げただけでなく、早くも新曲が3曲披露され、終演後はメンバー全員と直接触れ合える「ハイタッチ会」が催されるなど、バンドの新たな側面を多々発見すると同時に、彼らの懐の深さを感じられたファイナル公演。2013年を締めくくるにふさわしい、最高の夜となった。2014年、THE MICRO HEAD 4N’Sが今度はいったいどんな景色を見せてくれるのか、期待はつのるばかりだ。