NEWS

2013年09月24日 (火)


<ライヴレポート>★★★Chanty★★★1st ONEMAN LIVE「終わりの始まり」9月16日 池袋 EDGE!!!

NEWS - 03:00:00

■Chanty 1st ONEMAN LIVE「終わりの始まり」■
2013年9月16日 (Mon) 池袋 EDGE

 ヴォーカルの芥(ex.Administrator)を中心に結成し、今年の夏に始動を発表したばかりのChanty(シャンティ)。彼らが9月16日(月)に池袋EDGEでファーストワンマンライヴ「終わりの始まり」を行なった。チケットは即日ソールドアウト! 順風満帆なスタートだが、何と当日は台風18号が関東を直撃するという悪天候。
午前中から交通機関が乱れていたため、無事、開催できるのか、と思うほどだったが、予想より早い時間に台風が通過したため、ファンも無事、会場に到着できることに――。

 Chantyというバンド名には“船乗りたちによって歌われていた労働歌”という意味があり、バンド自体が船でファンは共に進んでいく船員という想いがあるそうだが、台風という最初の荒波をみごと乗り切ったということかもしれない。
 開演予定は18時30分。ダイヤの乱れの影響もあり、約20分押しで始まったものの、始まる前から「混雑のため、一歩ずつ前につめてください」というアナウンスが何度か流れるほど場内は期待と熱気に満ちていた。
 そんな中、成人(Dr)、野中(B)、Shia( G)、千歳(G)、芥(Vo)がまぶしいぐらいの真っ白な衣装で登場し、最初に演奏されたのは8月28日に発売されたばかりのファーストシングル『終わりの始まり』に収録されている「ひどいかお」。タイトルからしてインパクト大だが、変拍子を取り入れた予測のつかない展開、花粉症をモチーフにしたという歌詞も独特だ。確かなスキルに裏打ちされた演奏、伸びやかでファルセットを効果的に使ったヴォーカル―-。不思議な浮遊感と攻撃性が融合したこれもシングルに収録されている曲「ソラヨミ」も前半で披露され、芥が「俺たちがChantyです」と自己紹介すると大歓声!!

「今日は朝から台風でビックリしたんですけど、ここにいる全員と来られなかった人たち、協力してくれた人たちのおかげでソールドアウトとなりました。よもや、そんなことになるとは思ってなかったんですけど、ここから出航して、みんなと楽しんでいきたいと思います!」

 ライヴではもちろんシングル収録曲以外の新曲も演奏され、まさにChantyの船出の時間。メロディアスで疾走感のある曲やワルツを取り入れたロマンティックなバラード、「みんなのことを想って書いた曲です」と前置きしたパワフルなナンバーなど、そのアプローチは実に多彩だ。

 バンドの母親的存在(愛称もママ)の千歳が12月22日に高円寺二万電圧で開催されるファン感謝ワンマン(抽選により来場者を招待)について告知したあとは、やんちゃなChantyの面が炸裂!
「シングルを聴いた人の中には、Chantyはおとなしいバンドじゃないかと思っている人もいるかもしれないですけど、これからの曲は徐々にみなさんの体力を奪っていく曲です。暴れていこうぜ!!」

 芥が煽り、アグレッシブなナンバーがたて続けに放たれるとオーディエンスも至近距離の空間を楽しみ尽くすようにタオルを振り、ヘドバンや拳をあげて応酬。身体を折り曲げて全身でシャウトする芥、ステージ狭しとジャンプし、もっと近くに来いとばかりにパフォーマンスする千歳、野中、座りこんでギターをかき鳴らすShia、暴れまくる4人を力強いビートで支える成人。衣装には真っ白な状態から色をつけていきたいという想いが込められているとのことだが、その魅力と可能性は未知数。
カラーをキメこんで、小さくまとめていないのがいい。

 ライヴ後半戦では1人1人が初ワンマンの感想を話した。
「この日が楽しみで楽しみで仕方なかったです。『終わりの始まり』という名の通り、今日がスタートなので、みんなで盛り上げていきたいと思ってます」と成人。
「正直、今日のワンマンが決まったとき埋まるわけないと思ってたんですけど、ソールドアウトさせてもらってありがとうございます」とお礼を述べた野中は「このバンド、いつ終わるかわからないので」とドキッとさせる発言でみんなを動揺させ、「語弊があったね。終わらないものなんかないから、存在している内にいろいろ残しておきたい」と笑顔。
 Chanty結成までに様々なことがあったことに触れたShiaは「開演前、円陣を組んでるときにいろんなことを思い出して、台風の中、こうやってたくさんの人が来てくれたのを実感したときにウルッときちゃいました」と感無量。
「僕は(Chantyを組む前は)バンドをやめようと思っていたんです」と告白したママ、千歳は、芥に誘われたことや、今、いる場所にひっぱりあげてくれたことへの感謝を。
 そして芥は「ライヴ数日前に自分たちの方向性や曲を見直したら、書いてた言葉が“会いたい”とか“手をつないでほしい”っていうことばっかりで、俺が伝えたいことって結局、そういうことだったんだなって」と想いを伝えた。
 
 本編ラストナンバーは、ここからが本当の始まりだという想いをこめたという「終わりの始まり」。各自がキャリアを積んだメンバー揃いのChantyだが、同期を使わずに自分たちの音だけで勝負しようという姿勢がすがすがしい。

 全11曲を演奏し、アンコールではみんなが笑顔になるサプライズが! 「僕たち、本編で全部、出しつくしたんですけど、せっかくなので1曲やろうと思ってます。迷ったあげく、この5人が集まって初めて合わせた曲「ALIVE」をやろうと思います」と芥が話し、歓声の中、曲が始まったかと思いきや、いつしか“ハッピーバースディ”のフレーズに変わり、8月29日に誕生日を迎えたShiaのための苺のホールケーキがステージに登場。完璧にメンバーの術にハマったShiaは「何? これ? え、アンコールは?」とかなり動揺。さらに追い打ちをかけるようにママ(千歳)が手紙を取り出し、「ちゃんとゴハンは食べてますか?」と息子へのメッセージを読みだしたのだが、実はママがお母さんの気持ちを想像して書いたもので、これにはShiaばかりでなく集まったファンもすっかりだまされたのだった。

「こんな5人でございます。長い旅路ですが、ついてきてくれたら嬉しいです」と最後の曲を演奏し、初ワンマンを大成功に終わらせたChanty。その航海に幸あれ!

(Text:Hiroko Yamamoto)

★Chanty★
http://www.chanty.jp/