2024年01月01日 (月)
★びじゅなび独占対談★【MAMA.presents. VISUAL NEW SPIRIT.】<前編>2024年1月30日(火)新宿BLAZE◆音楽的思考や毛色の異なるバンドが“同世代”、あるいは“SPIRIT”という旗の下に集った理由とは──。
NEWS - 20:00:272024年早々ヴィジュアルロックシーンに新たな旋風が巻き起こるかも知れない。
そんな期待を持たずにはいられないイベントが1月30日に新宿BLAZEで開催される。
その名もMAMA. presents <VISUAL NEW SPIRIT.>。
主催するのはダークネスを基調にしながら端々に気鋭のセンスを感じさせるMAMA.。
そんな彼らが“仲間”として声をかけたのはCHAQLA./ぶえ/NAZARE/nurié /HOWLの5組。ここまで見事に音楽的思考や毛色の異なるバンドが“同世代”あるいは“SPIRIT”という旗の下に集った理由とは・・・各バンドのフロントマンにその真意と思想を語ってもらった。
◆ ◆ ◆
──<VISUAL NEW SPIRIT.>という大型イベントが1月30日に新宿BLAZEで開催されることを記念して出演する6バンドのヴォーカリストに集まっていただきました。このイベントを主催するのがMAMA.ということで、命依さん、立ち上げた意図を教えて下さい。
命依:バンドとしてはMAMA.2023年3月に再始動をしたんですけど、再び活動するまでずっと孤独を感じてたんですよ。そしたらしばらくしてずっと昔から仲間のメンツで結成されたCHAQLA.が始動したりとかして…自分の周り?同世代にかっこいいバンドっているよね、一緒にやりたいよねってなって主催をすることになりました。
──まもなく閉館する新宿BLAZEというのも思い切ったチョイスですよね。正直驚きました。キャパシティ的な部分も含め。
命依:みんなが憧れる会場じゃなきゃダメだと思ったんですよ。この6バンドが全員目立てる場所。いつもやっている規模じゃなくて、目指したい場所って考えた時にBLAZEになりました。こういうのって誰かが踏み出さなきゃいけないと思うんですよ。こう“世代”っていうものを作って行きたいなって。
──構想自体はいつ頃からあったんですか?
命依:それは結構前だった気がします。MAMA.が再始動してHOWLやCHAQLA.、ぶえと2マンをしているうちに…かっこいい仲間はいるな、形は違っても根っこのスピリットが同じバンドはいる…もしかしたら孤独じゃないかもって思えたんですよ。その時期にはもうこの<VISUAL NEW SPIRIT.>をやろうって話はしてたかな。nuriéとNAZAREは正直その時期に関りはそんなになかったんだけど、同世代って括りで考えた時にかっこいいバンドだなって感じていたので仲間になってほしいと思いました。
▲命依(MAMA.)
──命依さんが考える、あるいは感じるかっこいいと認めうる基準って…
命依:自分を持ってるバンドってことです。(即答)
──世代で一つの塊になろうという意図と同時に意志の擦り合わせが不要であることも条件だったと。
命依:昔だったらムック、メリー、蜉蝣の“御三家”みたいなタイプは違うのに全部かっこよくて、同世代みたいなものがあったじゃないですか。そういうものへの憧れもありつつ周りを見渡したら“ん?…御三家じゃないな…もっといるな?”ってことでこの6バンドになりました。3じゃ足りなかったです(笑)
──オファーした順番って覚えてますか?
命依:一番最初にアニィさんに連絡しましたね。
▲ANNIE A(CHAQLA.)
ANNIE A:うん。思いっきりがいいですよね。
命依:あとは順番とかは自分の中でそんなに重要じゃなかったです。なんか今までバンドが圧縮されてたんですよ。Zipデータみたいに。それを解凍して、解放しようと。
真宵:みんな違うのが良いんですよね。今回出るバンドのお客さんによってはドコとドコは似た系統だよねって思ってるかも知れないけど、実際に観たら異なることが解ると思いますし、それがさっき命依くんが言ってた“自分を持ってる”なのかな。
▲真宵(HOWL)
──HOWLはパブリックイメージに反して、ダーク系のバンドから愛されがちと言いますか…真っ暗ドス黒いラインナップのイベントに呼ばれることが多い1年でしたよね。
真宵:そう…ですね。まぁ今回もなんですけど、HOWLがどう受け止められてるかは解らないですけど、浮いてるバンドだなって思われるならそれはそれで面白いですし…
命依:いや、HOWLが良いんですよ。
真宵:もちろん同世代で頑張りたい…仲間意識を強く育てていきたい気持ちはあるんですけど、ステージに上がったらよそのお客さんをブン取るライヴをするっていうシンプルな気持ちでもあります。
澪:割と俺らは個でやってきたので。まぁ別にウチはウチ、ヨソはヨソって感じですね。ただ、混じり合いたくないってワケでもないので今回は誘ってもらって嬉しかったです。でもNAZAREはみんなで手を取り合って…っていうバンドでもないんで今回はたまたまですね。ウチもやるべきことをやるだけですね。
▲澪(NAZARE)
大角:逆に僕がシーンを見てる印象だとそれぞれのバンドがこの時代の中でそれぞれ精一杯やってるんですけど、いっぱいいっぱいになっている実情も感じます。だからどこかで新しい“シーン”を作っていかないとなっていうのは薄々理解もしていて…個々では打ち破れないものを一度みんなで集まって力を併せて闘うっていう…だから“新世代”を作る…そういうアクションを起こさないとヴィジュアル系の未来がないなと思うんで、こういう場を作ってnuriéに声をかけてくれたMAMA.には感謝をしたいです。
──キャリアが上のバンドとも相まみえてきたnuriéだから感じる背景もありますよね。ぶえはどうですか?他のバンドと足並みを揃えるのが極めて苦手な一匹狼な印象がありますが。
伐:まぁアイツ(命依)が出てって言ってきたんで。いいよってそれだけです。うちはこずゑと凰凱の事情で今ギターとドラムが固定出来てないじゃないですか?それでもいいの?って聞いたら“それでも出てほしい”って言われたので、それは出ますよね。世代でどうとかって言うのは別にどうでもいいや。
ANNIE A:ここにいるバンドはみんな自分が一番だって思ってますよ。だからここにいるんじゃないですか。
命依:でもさ、良いなって思うのは、みんな自分が一番だって思ってるタイプなんだけど、ここにいる誰かより…とかじゃなく特定の何かと比較することなく一番やばいことやってんだぞって自負に溢れてるところなんですよ。令和になってヴィジュアル系も変化していると思っていて、その中でヴィジュアル系を新たに聴く人たちが増えたとは正直思えない。むしろ聴かなくなって人もいるんじゃないかな。だから、そういう人たちに向けて自分こそが一番っていう強い意識を持ったやばいバンドがいるってことを届けていきたいし、それだけじゃなくヴィジュアル系の音楽に救われるであろう層の人たちとも出会いたい。
──その未開の層ってどこにあるのかっていうのも課題ですよね。一度離脱した人に再訴求するも正しいこととは思うんですけど。
命依:いや、そこは若い層じゃないですか。僕、若い感性ってすごく大事にしているんですよ。ここにいるみんなが尖っているのも若さがあるからだと思うし。
──おっしゃる通り!冒頭から物を投げる、落書きをする、勝手に私語をする、無許可でパフェを頼む、そして溢す…尖っているというか崩壊してます。全員ではないですが(笑)あとでみんなで割り勘しますよ(笑)
真宵:みんな山内さんを困らせないで(笑)
命依:山内さんもっと僕らに厳しくして下さい。
──どうせ言うこと聞かないんで諦めてます(笑)
一同:(爆笑)
命依:でも、若さゆえの尖りとか反骨精神に共感できるのって若い感性なんですよね。共感ってなると。
──新たに切り拓いていく作業は難儀でありながら、誰かが向き合わなくてはならないのは確かですよね。特定の憧れや目標とは違う軸の話ですけど。
ANNIE A:いや、そんなもんないよ。
命依:でも現状には満足してないですよ。だから“挑戦”って思われる新宿BLAZEでやるし、MAMA.は2月10日には恵比寿リキッドルームでワンマンをするので。
──いずれも1000人近いキャパシティを誇る会場ですが、そこに見合うことの証明でもあるってことですよね。
命依:はい。ここにいる6バンドは誰も現状に満足してないし、もっと高いレベルだと僕は思うんですよ。
──皆さんが一番ムカつくであろう“時代が違えば”という枕詞を使いたくもなるぐらいに実力と信念に筋が通っていると思います。まぁこの枕詞を使ったらそこでゲームオーバーなのですが。時折集まって互いの力の結集で地道かつ着実に扉を開くのが<VISUAL NEW SPIRIT.>の命題かと思いますが…これぶっちゃけここから仲間を増やしていく必要もあるのかなどうなのかなって素朴な疑問もあります。
命依:あ、でもそこは柔軟に考えてます。みんながかっこいいと思うバンドがいるなら自然と対バンをするだろうし、任せたくなるバンドがいればどうぞって感じです。今回はそこに当てはまるのがこのCHAQLA.、ぶえ、NAZARE、nurié、HOWLでしたよってシンプルなことです。
伐:ありがとーーーーーーーーーーーーーーー!
──声が大きい!!この対談の良心、真宵さんはそのあたりどうですか?HOWLも割と群れない独自な活動のイメージがあります。
真宵:かっこいいというか仲間だなって思える基準は、嘘をついてないこと…かな。なんか感じるじゃないですか。MC一つ取っても自分の本心を言ってるんじゃなくて、お客さんの求めるニーズに応えようとしてるなとかって正直見透けるんですよ。それもその人が信念をもって貫いてるスタイルなら一つの正解かも知れないんですけど。音楽が好きな以上、自分も音楽を聴いていて感動したい気持ちがあるし、それを紐解いてくれるのはMCでもライヴでも細部にまで嘘がないな、この人ありのままだなって思えるか…思えたら俺はそれをかっこいいって感じるだろうなと思います。
──今のHOWLが体現していることの中心部ですよね。バンド像として。
真宵:誰か宛の音楽じゃなくて、自分の在りのままを曝け出してそこに共鳴してもらえるのが嬉しいし、冥利に尽きるし、そういうバンドはいいなって思います。
ANNIE A:うんうん。あの、今ってチケットって高いじゃないですか?チケットの値段以下のライヴをしてくるヤツには中指立てちゃいますよね。ムカつくんすよね。バンドをやるマインドがペラいヤツが一番大嫌い。チャラい気持ちで音楽やってるヤツ全員辞めろクソがって思いますよ。そういうヤツはまじで興味ない。
真宵:嘘偽りない姿に共鳴してもらえて仲間だって感じるのはバンド同士だけじゃなくてファンの方にも抱く感情ですけど。嬉しいですよね。
──皆さんもしかして違う言語で喋ってるの?っていうぐらいバラバラなのにこの6バンドが今一つの部屋で同席できる理由が腑に落ちますよね。
真宵:予備校の一番下のクラスみたいな感じですけど(笑)
一同:(爆笑)
澪:かっこいいって何なんですかね。別にうちのバンドもかっこいいとは思わないですしね。もちろん憧れのバンドとかはありますけど…うーん、目で見て耳で聴いて直観的に感じるものなので敢えて言葉としてどうとかは必要ないかなって。
大角:信念を持ってるのはもちろんですけど、自分で自分自身を赦せてるバンドだと思いますよ。
──ほう!
大角:ステージに立つ人間である以上、少しでも良く見せようって気持ちが…これは僕にも多少あるんですけど、そういうことじゃなくて在りのままの自分を受け入れることが出来るかですよね。自分をそのまま表現することができてこそバンドだと思うので、そういうバンドはかっこいいと思いますし、自分もまだまだ目指して行く方向だと思ってます。
▲大角龍太朗(nurié)
ANNIE A:自分を持っているバンドですよね。自分を持ってるバンドじゃないと会話したくないですね。どこのバンドがどうこうとかわざわざ言わないけど、見れば一瞬でわかるっす。2種類しかいないんですよ。
伐:音楽に対する覚悟、姿勢、あと生き方。
大角:うん。
ANNIE A:見ればわかるよな。
伐:ペラペラじゃないヤツって見ればわかるんですよ。極端な話、人を殺しちゃいけないって法律はないわけじゃないですか。
──倫理、人間道徳なことではなくってことですね。
伐:そう。そこで人を殺したくなるくらい追い込まれたこともないヤツが“殺す”みたいな歌詞で薄いことやってるの見るとお前が死ねよと思うんですよ。
ANNIE A:アハハハハハ(笑)そうだね。
命依:いるよねそういう薄っぺらいヤツ。
伐:それぐらい言葉とか生き方に真剣に向き合わなきゃいけないし、そうじゃないヤツは何やってもダメ。あとは音楽を聴く基準が“かっこいい”か“カッコ悪いか”の2択な人とは話できるなと思います。
▲伐(ぶえ)
──これってジャンルの問題じゃないですよね。
伐:もちろん。ジャンルが何だろうがかっこいいものはかっこいいし、そうじゃないものはダメ。まぁでもライヴを観ないで勝手に判断する資格はないっすけどね。
ANNIE A:音楽性じゃないんですよ。姿勢なんですよ。好き嫌いだと思うんですけど。
伐:要はブランド品身に着けてるくせに、絶望とか憎しみとか歌ってんじゃねえよってことですよ。
ANNIE A:それはわからんけど(笑)
──ありがとうございます。ところで今日はヴォーカリストに集まってもらったということでここにいる中で気になるヴォーカリストはいるのかっていう話も聞いてみたいんですけど。
ANNIE A:えーーー!ないですよ!ないですそんなのは!全員一緒。ここから上がっていくんですよ、以上!
命依:多分…失礼かも知れないけどここにいる人は全員マイナスだと思うんですよ。自分たちの音楽を信じてやってきているけど、報われていないじゃないですか正直。そういう傷というかギャップがありつつ、バンドを続けているっていうことが答えなんですよ。ゼロにも達していないところから進んでいくのってバンドの肉付き的にもすごく大切な時間で、それを同時期に共にしているし、このマイナスの状況を俯瞰して楽しめてる人たちだからこうやってバラバラだけど信じる音楽をやっていけるんですよ。これがゼロになってその先に進むっていう局面ではもうバンドがある程度完成してしまうと思うんですけど、今の俺たちはそうじゃないじゃないですか。規模感も含め。だからこの未完成の状態を共に上を目指して進んでいるってことは特別な誰がじゃなく、みんな一緒なんじゃないかって…はい、思います。
──進化や変化のスピード感も極端な時期であり、目を離す隙がないという意味でもこの時期のこの組み合わせのこの会話はもう二度とないかも知れないですもんね。
命依:うん。だからみんなでシーンを作って行こうっていう発想自体がもうマイナスからのスタートなんですよ。自分たちがヴィジュアル系を始めるきっかけを与えてくれた昔のシーンでもきっとそうだったんじゃないかなって想像します。傷ついてマイナスから這い上がって行ったんじゃないかって。だからみんなをプラスに上げていくだいぶ手前のイベントにしたいと思います。
伐:そんなんダメだよ。
ANNIE A:アハハハハハ!
真宵:過激派がいますねえ(笑)
伐:絶対ぶっ殺すって言う気持ちでやるだけでしょ。
命依:そうなんだよ。もちろんそうだし仲良しこよしをするつもりなんかマジでないの。でも、今このタイミングでこうやって良いなって思えるバンド同士が集まったんでしょ。だったらみんなで進んで行きたい。仲良しこよしじゃないって言うのは、相手がダサくなったらちゃんとダサいって言ってられる関係でしょってこと。
伐:おお
ANNIE A:そうだよな。覚悟しとけよと。
命依:そういう互いにやり合える関係のバンドが集まる場を作れたことは嬉しいことです。
◆ ◆ ◆
6者6様。思考が異なるから論は相容れない。
何のまとまりもない。無理にまとめる必要などない。だが、彼らにしか見えない符号を感じるのも事実。この大型イベント、そして今まさに嵐の中心部へ足を踏み入れるバンドのシーンに対する考えも知るべくインタビューはまだまだ続く。
…というわけで、この対談まさかの後半へ続く!!
取材・文◎山内 秀一
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■MAMA.presents.「VISUAL NEW SPIRIT.」
2024年1月30日(火)新宿BLAZE
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OPEN16:00 / START17:00
ADV ¥5,000- / DAY ¥5,500-(D代別)
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<出演>
MAMA. http://mama-visual.com/
CHAQLA. https://www.chaqla-web.com/
NAZARE https://www.nazare-official.com/
nurié https://nurie-web.jp/
HOWL https://howl-official.com/
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★チケット一般発売中!!
https://eplus.jp/sf/detail/3970150001-P0030001