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2023年07月26日 (水)


【ライブレポート】<Eins:Vier LIVE2023 「・・・from Dear Songs 1995@御堂会館>東京公演ファイナル◆

NEWS - 20:29:54

 あの夏の輝かしき記憶。それをただ過去のものとして懐かしんだり、回顧するだけに終始するのではなくて。あれから28年の歳月が経った今もなお、ここには〈忘れられなかった あのメロディー〉がしっかりと息づき、確かに生き続けているのだ、というその事実が何よりも尊く感じられた夜だった。

 

 2021年11月27日に渋谷ストリームでの[LIVE 2021 “NOVEMBER LUST”]で“30th Anniversary Project”を無事に締めくくってからというもの、しばらく沈黙の続いてたEins:Vierがここに来て開催したのは、なんと[Eins:Vier LIVE2023 「・・・from Dear Songs 1995@御堂会館」]と題したコンセプトライヴ。これは読んで字のごとく、彼らが1995年7月にメジャーデビューをした直後に自身初のホールワンマン公演として行った、大阪・御堂会館での2デイズライヴを当時のセットリストのまま再現するという企画性の高い内容で、今回はそれが大阪・LIVE HOUSE ANIMAと渋谷・SPACE ODDの2ヵ所で2デイズずつ、計4公演が展開されていくことになったのだ。

 

 ちなみに、Eins:Vierがメジャーデビューした1995年といえば、社会的には阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きたり、文化面ではアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』が放送開始となった、どこかカオスな気配の漂っていた時代。一方、同年の7月21日にリリースされたEins:Vierのデビューシングル『Dear Song』は、現在ではあまり姿を見ることのなくなった短冊形8cmCDタイプであったと記憶している(ただし、2023年で8cmCD形態が35周年を迎えたこともあり一部ではリバイバルブームが起きているとのこと)。

 

 また、今あらためて思い返してみてもEins:Vierが英国・ロンドンでシューティングしてきたMV『Dear Song』のクオリティはシーンの歴史を語るうえで決して外すことの出来ない素晴らしさで、UKロックを礎にしたEins:Vierの音楽性と完全にマッチしたその趣深い映像は、この時代に見返してみてもやはり名作に相応しいことしきり。あの当時はもちろんのこと、今この時代においても、Eins:Vierのような資質とセンスを持ったロックバンドはなかなか他になく、そんな彼らが紆余曲折を経つつも2023年というこの時代に“現存”していくれているという事実は実に幸甚だと言えよう。

 

 かくして、渋谷・SPACE ODDで行われた[Eins:Vier LIVE2023 「・・・from Dear Songs 1995@御堂会館」]の最終公演では、1994年12月に発表された名アルバム『Risk』の冒頭を飾っていた曲でもある「The Hallucination fro this only night」から幕開けしていくことになり、そこからはEins:Vierの紡ぎ出してゆく心地よい音に身をゆだねつつ、意識レベルでは過去と現在を幾度も行き来するような、どこか不可思議とも思える感覚を我々は味わっていくことになったのだ。

 

「ほんまありがとうな。みんなと一緒につくりあげてる、って感じがするわ。やっぱり、ライヴをやってると生きてる!っていう実感があります。今日は君らの声なくしては成立しないような曲もたくさんやっていくんで、頼みますよ!!」(Hirofumi)

 

 

 

 収容人数制限が緩和され、自由に動くことも許され、いよいよ声出しも解禁となり、マスク着用さえ個人判断となった今、今回のライヴで演奏された「Bravo」では客席フロアから盛大なるシンガロングが発生。かなり久しぶりに聴けた気がする「Push baby」しかり、その昔からライヴでの盛り上がりには定評がある「Notice」なども含めて、各楽曲において聴衆が今その瞬間をリアルに楽しんでいる姿がとても眩しく感じられたのは、きっと筆者だけではなかったはず。

 

 

 

 

 もちろん、演者側もこのライヴを心から楽しんでいることは明らかで、洗練されたアルペジオや粋なソロを響かせるYoshitsugu、躍動感と歌心を兼ね備えるベースラインを鳴らすLuna、全身全霊でのパフォーマンスをもって歌を表現していくHirofumi。そして、多くの楽曲の詞を口ずさみながらプレイするほどEins:Vier愛の強いサポートドラマー・岡本唯史氏。彼らがそれぞれに場内へと放つ音やステージ上での一挙手一投足からは、ことごとく喜びの波動が感じられた。

 

 

 

 

 そのような中、今宵の本編佳境を彩ったのは[Eins:Vier LIVE2023 「・・・from Dear Songs 1995@御堂会館」]というライヴタイトルと直接的な縁を持つ、まごうことなき不朽の名曲「Dear Song」。この記事の最初でもふれた〈忘れられなかった あのメロディーに想いをはせながら…〉という歌詞はまさにEins:Vierのファンにとって真実そのもので、28年の歳月が経った今ここで供されたその歌はエバーグリーンな宝物として美しい光を放ったのである。むしろ、28年前よりもこの夜の「Dear Song」には年輪という名のさらなる磨きがかかっていた、と言っていいくらいだ。あの頃のままとは違う、今だからこその味わいがアドオンされている「Dear Song」に、野暮な古臭さなどは微塵も漂うわけがない。

 

 

 

 

 

 

くわえての「L.E.S.S.O.N」、「Not saved yet」、「In your dream」という無敵の三連打で本編を一旦しめくくったあとにも、観客たちが曲とシンクロしながら派手にジャンプしてみせた「Both we and audience」や、これまた生で聴くのは何時ぞやぶりかという「君が捨て去ろうとも」をアンコールにて披露したEins:Vierだが、そのあとにはリーダーであるLunaから以下の言葉がMCにて発されることに。

 

「みんな、元気あんなぁ。君らがあんなにジャンプ出来るとは知らなかった(笑)。今回のライヴでは毎回言ってることやけど、僕らの知ってるライヴハウスは“こんな場所”やったんでね。それがほんまに戻ってきた感じで、めっちゃ楽しいな!ありがとう。(中略)今この4人でやってるEins:Vierを応援してくれて、こうして盛り上げてくれるみなさんがいるこの空間が続いていること、それは凄く素晴らしいことやと思うし、ほんまに嬉しいです。せやから、まだまだやるで!ってことや。知らんけど(笑)」(Luna)

 

 

 

 

 なお、これに続いたダブルアンコールでは「The Prayer」にてHirofumiがフロアに向かって身を投げ出すほどの熱演をみせたほか、一向にやむことがないアンコールの声に応えてのトリプルアンコールとして再びの「Dear Song」が奏でられ、ここでは敢えて曲のほぼ大半をオーディエンスに歌わせるという一幕もあり、結果としてこの[Eins:Vier LIVE2023 「・・・from Dear Songs 1995@御堂会館」]は過去にとらわれるのとは全く違う、過去をふまえたうえで現在を生きるEins:Vierというバンドの頼もしい姿を存分に実感出来る場、となったように思う。

 

 

 

 

 当然、こうなってくると気になるのはEins:Vierの次なる動きだ。実は、今回のライヴではトリプルアンコールが始まる前に動画での告知がなされ、来たる12月22(金)および23(土)に本来であれば2020年に開催されるはずだったイヴェントの振替公演が、あらたに[Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”]として赤羽ReNY alphaで行われると発表された件も、詳細発表前とはなるがひとまずここに付記しておこう。

 

 

 

 あの夏にも輝いていた〈忘れられなかった あのメロディー〉たちは、きっとこれから先の未来もEins:Vierと共に在り続けてゆくに違いない。

 

 

 

TEXT:杉江由紀

撮影:荒川れいこ(zoisite)

 

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Eins:Vier PRESENTS “KATHARSIS 2023”

●2023年12月22日(金) 赤羽ReNY alpha

●2023年12月23日(土) 赤羽ReNY alpha

※詳細近日発表