2019年08月23日 (金)
【ライヴレポート】<ダウト vs DaizyStripper coupling tour 2019『鬼桜~鬼現わる刻 桜舞う~』>2019年7月27日(土)新宿BLAZE
REPORT - 21:27:21ダウト vs DaizyStripper coupling tour 2019『鬼桜~鬼現わる刻 桜舞う~』と題し、6月23日から繰り広げてきたツアーのファイナル。
7月27日の新宿BLAZEは暑かった!
このツアーのコラボ楽曲『鬼桜』MVからのカウントダウンでライヴがスタート。
ダウトが登場すると、一気に会場の温度が上昇した。
オープニングから、ライヴ終盤のような勢いのメンバーの煽りに応えるように一体化するオーディエンス。
その盛り上がりをエネルギーにして更にパワーを増していくダウトは、まさに鬼級の強さを放っていた。
幸樹が「ツアー終わるまでぶちかます気しかないので!!」と最初のMCで宣言した通り、激しさに加え、聴かせる『JUDAS』や、キャッチ―なサビが印象的な新曲『不夜城』など、様々な要素を取り入れたジャパニーズ・カルチャーのような刺激的なサウンドと歌声で全ての者を洗脳していき、存分に魅力をまき散らす。
活動開始から12年経ったが「12年を長いと思っていない。そして、ここまでやってきたことは間違いではなかったと確信した」と話す幸樹の言葉を裏付けるように、終盤は、会場に一斉に扇子が舞う『卍』、ファンの歌声で曲をつなぐ『花咲ビューティ』(ファンの歌声だけのシーンでは、夕霧もステージに乱入してその声に参加するサプライズあり)といった楽曲で、これまでファンと培った交流の深さとバンド愛が溢れる情景を披露してくれた。
続いて、DaizyStripperの登場。
こちらも「今日に悔いを残すなよ~!!」と夕霧が叫んで勢い良く発進。
ダウトの作った高揚感を保ったままの会場を、DaizyStripper一色に一転させる。序盤の『ダンデライオン』では、ひヵるを迎え入れての特別バージョンで、DaizyStripperのメンバーと仲良く絡んでプレイするひヵるの満面の笑みが、その楽しさと喜びを物語っていた。
ノリのいい曲だけでなく、和傘を使ったパフォーマンスで景色が見えるようなスローサウンドで映えるハイトーンボイスの『雨音のワルツ』なども交えて、DaizyStripperの幅広さを見せつける楽曲で畳み掛けていく。
中盤には、ダウトの『花咲ビューティ』をDaizyStripper版でサプライズ演奏。
ダウトには内緒で進めてきたプランだったようで、予定外でステージに呼び込まれた幸樹は、着替えの最中でキョトン顔のまま舞台に姿を現し夕霧と共に歌った。
直後のMCで、ダウトの曲をファイナルでやろうと思いリハーサルを重ねてきたこと。
そして、楽屋に貼り出されるセットリストには、バレないように『ビューティ・ブルーム(仮)』と書いていたこと。
幸樹には「ファイナルに新曲ぶっこむの!? すげー!!」と言われたことなど裏話を明かす。
メンバーもドキドキしていたというドッキリは大成功に終わったようだ。
『NAKAYUBI』で、風弥が間違えたこと(本人も全然気づいていないくらいの出来事だったらしい)で曲をやり直し、風弥がメンバーから文句を言われるというハプニングもありながらも、『DEAR MY SIRIUS』では、夕霧が曲中にメンバーそれぞれのもとに順に寄り添って、詞のように仲間を大事にしていることを最大限に歌に乗せて届けるといったメンバー愛に満ちた曲(もちろんファン愛にも満ちた気持ちを乗せて)で、なんだかんだ言っても絆は深いのだということを証明して見せた。
ラストの『decade』では、オープニングに玲夏が完全プライベート用で携帯ムービーを録りに乱入。
夕霧との「こっちにモッシュ!!」を2ショットでおさめて急いで退散した場面もあり、和やかな雰囲気で幕を閉じた。
アンコールは、全員が本編とは姿を少し変えて、まずこのツアーでの思いをそれぞれに語る時間となる。
直人「6月23日に戻りたいと思いませんか!? そう思えるツアーになりました」
風弥「充実した、刺激的で楽しいツアーでした」
玲夏「とても有意義なツアーでした。最後に(decadeで一緒に)“こっちにモッシュ”を言えたことが嬉しい!!」
Rei「あっという間の12年、共に過ごしてきた仲間とこういったツアーができて良かった」
ひヵる「とても楽しかった!!」
まゆ「ツアーは短かった。もっとやりたかったし、またこんなツアーができたらな…という気持ち」
威吹「デイジーにはキス魔が多くて、ツアー中8回キスされました(笑)。最高に幸せです」
なお「しょっちゅうイベントなどで一緒にやってきたバンドだから、このツアーが終わるのかと思うと、解散するくらい淋しい!!」
幸樹「デイジーだから、この17本をまわれた。ヴィジュアル系が下火という話も耳にするが、自分はそう思っていない。これから先もデイジーと戦って刺激し合っていきたい。このツアーでは全力でぶつかってきてくれてありがとう。絶対負けないけどね(笑)!!」
夕霧「ダウトは、ステージでも、ステージを降りてもかっこいいバンド。このツアーは刺激的だった。これを機にDaizyStripperを知ってくれた人もいると思う。化学反応を起こせるこれからの2バンドの未来を応援してほしい」
それを聞くと思いは同じだったことが良く分かる。
2007年の同時期に活動開始した2つのバンド。
これまでも、イベントなどで一緒のステージに立ったこともたくさんあった両者が、初めて長期の2manツアーを敢行した。
数々のバンドが解散や活動休止をしていく中、またヴィジュアル系の衰退という話も耳にしながらも、同じ12年間を頑張ってきた“同志”とのツアーは、心強くもあり、互いを刺激し合えるライバルなのだろう。
これまでも、そしてこれからも中途半端な気持ちではないという証明とでも言うように、このツアーの為のコラボ楽曲『鬼桜』を最後に披露。
コラボ楽曲とはいえ、そのクオリティはすごいの一言に尽きる。
MVでも確かに迫力はあったが、やはり12年のキャリアを持った2つのバンドが自身のバンドの楽曲と変わりなく力を注いだ曲を、生の10人で奏でるという現実はシビレるものであった。
両者バンドの代表的な要素や特徴を存分に取り入れた楽曲はもちろん心躍らせる仕上がりであるが、ライヴではやはり各パートごとのバトルが面白い。
どちらも相手に負けないという姿勢と気合がぶつかり合っているものの、敵対ではなく共存していて綺麗にかつ華やかに笑顔で火花を散らす…といったバトルで、観ているこちら側も自然と顔がほころんで心が熱くなってくる。
DaizyStripperのライヴ本編時に観客に聞いて判明したことだが、実はこのファイナルの日が初めてのツアー参戦だという者が意外に多かった。
しかし、ここまでの16本のライヴがいかに充実し、切磋琢磨し、仲良く、刺激し合い、認め合って戦ってきたのか、その過程が垣間見れる貴重な17本目のファイナルのアンコールとなったことだろう。
『鬼桜』は、こういう戦友がいるからこそ生まれた作品であり、これまで感じたことのない唯一無二のツアーとなったのではないだろうか。
また、ファン同士“ダウト一家”vs“トレゾア”ではなく、初見でもそうでなくても、同志の絆みたいなものがそこに誕生したのではないかと思える程、一体感とアットホームな雰囲気が会場を包んでいるのを体感し、今後のファン同士の交流にも明るい新しい光が差し込んだように思う。
終幕後も鳴り止まないアンコールの声に、DaizyStripperが再び姿を現す。
「このままじゃ終われねーよな!!」の夕霧の声と共に『BLACK DROPPer』が炸裂。
途中からダウトを呼び込むと、『鬼桜』での戦いとは違い、各パートごとにではなく、それぞれが様々なメンバーと絡み合う宴の場となった。
幸樹が直人のドラムセットに腰を下ろして、演奏中の風弥にアイコンタクトで教えてもらいながら叩くシーンあり。
ドラムセットにいないその直人は、コンパクトな和太鼓をフロントに置いて曲に参戦しながらも煽りを担当している。
ひヵるはReiのベースを借りて教わりながら弾いていたようだが、後半はReiが後ろから手だけを出して弾くという二人羽織状態に苦笑いも。
10人が、この2manツアーでしかできないことを最後の最後まで楽しむ様子を、そこにいた全ての者が温かく見守っていた。
終演を促すメロディーが流れる中、気づけばファンとの交流をギリギリまで行っていた夕霧と威吹のみが舞台に残される。
去り際のステージ袖で夕霧が威吹に急にキスをし、客席に向けて指で9(回目)を示しアピールして消えていった。
これからもこの2つのバンドが変わりなく戦い続いていく限り、この数字はもっともっと増えていくのだろうと、DaizyStripperに潜む悪戯なキス魔の背中に「共に頑張れ!!」とエールを投げた。
文◎オフィシャルレポート