2019年06月12日 (水)
【ライヴレポート(2)】<Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『集束~Soan Birthday Special Live~』>2019年6月2日(日)高田馬場AREA◆それぞれが描いた理想郷。2日間の宴をレポート!
REPORT - 18:00:336月1日(土)と2日(日)、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥は高田馬場AREAの舞台上に集まっていた。
今年は2日間に渡って開催。
続いて2日目、6月2日(日)のレポートをお届けする。
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6月1日(土)に高田馬場AREAを舞台に、Soanの誕生日とSoanプロジェクトの活動3周年を祝うように行われたSoanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥による合同ライブ。
この日は、しばし「休憩」を入れることを伝える意味も含んでいた。
魂と肉体を熱く唸らせた前日のライブを受け、6月2日(日)にSoanプロジェクトは同じく高田馬場AREAの舞台に立っていた。
ライブの冠として名付けたのが、「Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『集束~Soan Birthday Special Live~』」の言葉。
Soanは、「集束」という言葉へ「1つの終息=休憩」「集束=メンバーもファンもこの場所に集まる」という想いを込めていた。
Soanプロジェクトが暫し活動を止める(休憩する)前に、3年間Soanプロジェクトを支え続けてくれた仲間(メンバーやファン)たちと再会までの楽しい思い出を作ろうと、この日のライブは行われた。
わかりやすく言うなら、前日のライブの「後夜祭」と捉えていただければ良いだろう。
この日は、何時も2スタイルを4つのセクションに分けて披露。
それが…。
1.Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希
2.Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾ
3.Soanプロジェクトwith芥ver.Lay
4.Soanプロジェクトwith芥ver.Ivy
という形だった。そろそろ、この日の模様をお伝えしようか。
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Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希
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「肌を刺す寂しさのような、心を凍てつかせる孤独のような、それは、あなたを暗く狭い部屋に閉じ込めたのでしょう。
外から、みずからを隔てたのでしょう。それが、わたしのただ一つの願い…」
優しく心をさするように、Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希のライブは、『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』から幕を開けた。
凍える心へ温かい息を吹きかけるように、物語は静かに始まりの景色を描き出す。
SoanのピアノとSachiのヴォイオリンの音色が凍える心を揺さぶれば、健希のギターが、そこへ僅かな熱を注いでゆく。
響きの強い健希のギターの旋律が、たおやかな演奏に明瞭な彩りも描き加えていく。
「僕らはあの日、君に問いかけました。帰るべき場所は何処かと。
その答えが必ずしもここではなかったかも知れない。
あるいは、いまだ暗闇の中で彷徨い続けているのかも知れない。
僕はすべてを救えない、その残酷を知ってしまったから。
その絶望を、悲嘆をいまだに表現できないけど。
どうか笑わないで、小さな小さな僕たちの悪あがきを。
僕がこの歌で守りたいものを…」
郷愁を誘うように『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』が流れだした。
何かを追い求めるように視線を彷徨わせ、歌う手鞠。彼の歌声を、優しく後押しする演奏。
時に、ピアノを奏でるSoanと顔を合わせながら手鞠は歌を口ずさむ。
切な音の響きを失くすのが悲しくて、手鞠が、メンバーたちが、この瞬間を、消え去ってしまうこの時間を心の印画紙へしっかりと焼き付けていた。
「本日は収束。
集めて束ねる。
そのタイトルの通り、二つの追求をふたたび元の場へ戻していく。
その描写を収束と捉えています。
今日は後夜祭という形で楽しんでいただければと思います」
Soanはドラム台へ。
過ぎ去りし春の匂いを呼び戻すように届けたのが、『春色の音色、記憶回廊』。
穏やかな旋律が、ゆっくりと熱を持って花開く。
少しずつ心に疼きを与えながら、その物語は、観客たちの心を薄紅色に火照らせていった。
花を咲かせた演奏は、一気に輝きを増す。Soanの「はっちゃけるぞ!」の声を合図に、それまで座っていたメンバーらが一斉に立ち上がり、『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』を奏でだした。
フロアから沸きだす手拍子。
Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希が掛けた音楽の魔法により、会場中へ歓喜の想いが降り注ぎだす。
何時しか会場中の人たちが大きく手を揺らし、高揚した気持ちのままに、歌い上げる手鞠の声をつかんでいた。
祐弥の、健希の、熱くストロークしたギターの旋律が身体を嬉しく騒がせる。
メンバーたちの弾む気持ちは、そのまま躍動する音楽となって、会場中の人たちの心を嬉しく踊らせていった。
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Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾ
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ここで、ギターが健希からタイゾへとチェンジ。
新しい風を吹かせるように、Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾが届けたのは、『sign…-resonance-』。
冷たい音の風で心を刺すように流れたタイゾのギター。
荘厳な景色が、この空間へ広がりだす。
雄々しき手鞠の歌声が示したのは、一体どんな報せだったのか。
重く躍動する演奏が、観客たちを黒い闇の世界へと引き込んでゆく。
ギターのボディを叩き鳴らす祐弥、そのビートへ、タイゾがマラカスのリズムを加えだす。
2人の情熱的なセッションを煽る手鞠。
祐弥がスパニッシュなギターの音色を奏でるのを合図に、演奏は『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』へ。
躍動する音の調べに刺激を受け、秘めた熱情が身体の奥底から沸きだす。
気持ちが騒ぐまま、彼らと一緒に心を情熱の炎で燃やし尽くせ。
闇の底に生まれたカルナバルは、胸の中でくすぶっていた情熱をふたたび滾らせてゆく。
激しく掻き鳴らす祐弥のギターのストロークへ心の叫びを重ね合わせるように、手鞠が雄々しく声を解き放つ。
『正否の相違、或いは利害の不一致』を媒介に、Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾは、もっと心を素直に解き放てとけしかけてきた。
何時も以上に唸り声も交え歌う手鞠。
沸きだす熱に身を焦がし、その声を吐き散らしたい。
魂を燃やすように歌う手鞠に触発され、燻っていた気持ちがさらに騒ぎだす。
「もっともっと楽しんでいけるよな」「声を!!」、感情の弦を思い切り掻き鳴らし歌う手鞠、その叫びを受けて飛び出したのが、『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る』だ。
躍動、いや、そんな生易しいものじゃない、沸きだす野生の息吹へ導かれるように、演奏陣は情熱と情緒を巧みに折り重ね、心を裸にする音楽を突きつけてきた。
さぁ、拳を振り上げ、あなたも心の服をすべて脱ぎ去ればいい。
この熱へ貪るように食らいつけ。何時しかフロアには熱い声がこだましていた。
「この日で、いったん活動は休憩します。
また何時か、お会いできる日を信じて。
また何時でもSoanさんが「集合」の声をかけてくれる日まで、力を蓄えて待ちたいなと思います」
「まだまだ先を期待させる曲でありたいと思って作った歌を、最後にお届けします」。
Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾが最後に届けたのが、スパニッシュな音色も印象的な『吐情、舌上、熱帯夜』。
Soanプロジェクトwith手鞠という存在が持つ情熱を一番体感的な姿として描き出した楽曲のように、滾る気持ちをぶつける歌声や演奏に触発され、フロア中の人たちが心の中へ情激した炎を燃やしてゆく。
熱情に身を任す踊り子となった観客たちは、火照る想いを胸に、次のライブへ期待を繋いでいった。
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Soanプロジェクトwith芥ver.Lay
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バトンを受け取ったのが、Soanプロジェクトwith芥ver.Lay。
「やれるかー!」、声を荒らげ、煽る芥。
楽曲は、何時もSoanプロジェクトwith芥のライブの最後に演奏する『hysteria show time』から幕を開けた。
「打ち鳴らせ!」と煽るSoan。
「飛べ飛べ飛べ飛べ」の声に合わせ、観客たちが右へ左へと一斉に駆けだした。
なんて壮観な光景だ。最初から熱した演奏へ触発され、全力で身体を折り畳み、飛び跳ねる観客たち。
その様へ、Shunのスクリームが更なる刺激を加えていた。
「後夜祭、楽しんでいこうぜ」とけしかけるSoan。
歓喜の表情を浮かべる観客たちの気持ちをさらに煽るように、Soanプロジェクトwith芥ver.Layは『朽ち木の行方』を突きつけた。重
厚なダンスロックナンバーの登場に、理性の留め金を壊した観客たちが、休むことも忘れ飛び跳ね続けていた。
沸き立つ感情が、どんどん熱を携え膨らみ続ける。
舞台上も、フロアも、もっともっとと尽きない欲望を求め、身体を折り畳み、跳ね続けていた。
荘厳な音色が響きだす。「この夢のような時間が、ずっとずっと続きますように。
そんな気持ちを込めて、この歌を…。届いてください、この愛が…」。
芥の言葉を受けて飛びだしたのが『濁った瞳』。
彼らは、この3年間どんな光景を、その瞳に映し出してきたのだろうか。
張りつめた音が交錯してゆく中、芥は嘆く心を高揚した歌声に重ね、想いを解き放っていた。
絶叫するその声を、演奏を、誰もが凝視しながら、胸の奥で抱きしめていた。
Soanプロジェクトwith手鞠でも披露した楽曲と対を成す『sign…』の登場だ。
重く唸る音の上で、沸きだす感情のままに芥は歌いあげる。
激しさから幕を開けたライブは、次第に気持ちの内側へと螺旋を描くように堕ちてゆく。まるで、奈落の底から見上げたときに見える光を感じたいとでも言うように…。
「派手にいこうかー」と煽るSoan、「狂っていきましょう」と誘いをかける芥の声を合図に飛び出したのが、和要素を折り込んだ、雅なダンスロックナンバーの『月欺けば傀儡が笑う』。
今宵は-煽りループver.-として披露。そのタイトル通り、彼らは、踊り子に変えた観客たちを無限に続くような煽りの世界へ連れ出した。
手の花を揺らめかせ、熱に浮かされるように踊る観客たちの姿も艶やかだが、Shunや芥の煽り声に触発され、共に声を荒らげ逆ダイへ身を投じ続けてゆく様も圧巻だ。
「どうした、自由を求めに来たのに、不自由じゃないか」、芥の煽りに触発され、神経を何本もぶち切る感覚でさらに騒ぎ立てる観客たち。
やまぬ熱狂、それこそがSoanプロジェクトwith芥のライブの本質だ。
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Soanプロジェクトwith芥ver.Ivy
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「収束する気なんてなさそうな熱気ですよね。
この場所に自由を求めてくるのにも関わらず、何かに囲われて自由を奪われていく悪循環がどこかあると思います。
そんな中で、Soanプロジェクトを与えてもらって、本気の自由を感じれる場はなかなかないんじゃないかなと思いました。
今回で収束となりますが、これからも自由きままに届けていこうと思います」
ここで、ベーシストがIvyにチェンジ。
Soanプロジェクトwith芥ver.Ivyがぶつけたのが、『undelete』。
地の底から光を求めて手を伸ばすような、芥の歌声からの幕開け。
興奮を呼び起こすスイッチが入ると同時に楽曲はいきなり吠えだした。
さあ、ふたたび熱狂の唸りの中へ身を投じていけ。
メンバーらの煽りへ、拳を突き上げて想いを返す観客たち。
上がった熱は、まだまだここから膨らみ続けてゆく。
「派手にいこうかー」、お馴染みSoanの声を受け、轟音をぶち蒔けるように『薄紅は舞い散り寂光に消える』が飛び出した。
「飛べ飛べ飛べ飛べ」の声に触発された観客たちが、右へ左へと駆け出せば、右手を高く掲げ、その場で思いきり跳ね続けていた。
「吐きだしてくれよ!!」、芥の煽りに触発され拳を振り上げ絶叫する観客たち。
巧みに緩急を付けながらも、終始轟音の渦の中へ観客たちを巻き込み続けた『meteo trive』。
雄々しい声を張り上げる芥、その横で、Shunが気持ちを荒げるスクリームを次々と突きつけていった。
「まだやれるか、まだ収束させないぞ」「飛べ飛べ、飛べ飛べ飛べ飛べ」「踊れ踊れ」、芥とSoanが、まだまだ宴は終わらせないぞと煽り続ける。観客たちも唸りを上げて飛び出した『arrive』へ身を任せ、張り裂けんばかりの声を上げ、笑顔で飛び跳ねていた。
宴は終わらない、収束することさえ忘れ、ひたすらに激情した想いを放熱し続けていた。
「ここまでぶつけください」。Soanプロジェクトwith芥ver.Ivyが最後に突きつけたのが、観客たちと絶叫のエールも交わしあった、
轟音ダンスロックナンバー『frowery count』だ。
理性を消し去った踊り子たちが、大きく身体を折り畳み、拳を高く突き上げ、飛び跳ねながら、次々と熱を描き加えていた。
芥と観客たちとの声のやりとり。
誰もが、まだまだ熱狂は収束なんかしないぞと言わんばかりに、この地へ想いを刻み込んでいた。
アンコールは、Soanプロジェクトwith芥がそのまま担当。
彼らは、最後まで熱を絞り尽くせと言わんばかりに、『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』をぶつけだした。
手にしたタオルを振りまわし、右へ左へと駆けだす観客たち。
「踊れ」「歌え」「狂え」、その言葉通り、誰もが熱狂の中、理性を忘れた祭り人となり、フロア中に充満した熱に心地好く?身を浸し、暴れ狂っていた。
そのまま演奏は、『朽ち木の行方』へ。
この日掲げた収束という言葉を忘れてしまうくらい、Soanプロジェクトwith芥ver.Ivyは、全力で”気”を放熱し続けてゆく。
頭を振り乱し、身体を全力で折り畳み騒ぎ狂う観客たち。
熱狂の行方は何処へ行くのか…。
イクところまでイきながら、互いの熱を一つに収束しようか。
この熱をさらに燃え盛らせるように、飛び出したのが『hysteria show time』だ。
すべてを出し尽くせ、次の出会いまでこの記憶を失くさないように、ヘトヘトになるまで騒いだこの熱情を、身体中に消えない記憶として刻みつけろ。
最後の最後にSoanプロジェクトwith芥ver.Ivyは『frowery count』を叩きつけ、気持ちを一つに熱狂へと身を投じ続けていった。
芥と観客たちとが歌声を交わしながら、限界のその先まで突き進み、高揚した空間の中、激しく燃え尽きて逝った。
Soanが掲げた「収束」という言葉は、互いの感情や熱を一つの場へと集約し、束ねてゆくこと。
ここまで高く熱情した”気”を一つにまとめ上げたんだもの、その熱は、ずっとずっと消えやしない。いや、消せやしない。
この日を持って、Soanプロジェクトはしばし「休憩」に入る。
が、表現したがりなSoanだもの、またすぐに「こんな曲できたよ、またやろうよ」と声をかけてきそうな気がする。
そのときが訪れる日を、少しの間だけ心待ちにしていようか。
PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典
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―セットリスト―
Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希
『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』
『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
『春色の音色、記憶回廊』
『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』
Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾ
『sign…-resonance-』
『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
『正否の相違、或いは利害の不一致』
『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る』
『吐情、舌上、熱帯夜』
Soanプロジェクトwith芥ver.Lay
『hysteria show time』
『朽ち木の行方』
『濁った瞳』
『sign…』
『月欺けば傀儡が笑う』-煽りループver.-
Soanプロジェクトwith芥ver.Ivy
『undelete』
『薄紅は舞い散り寂光に消える』
『meteo trive』
『arrive』
『frowery count』
-ENCORE-
『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
『朽ち木の行方』
『hysteria show time』
『frowery count』