2014年12月11日 (木)
【ライブレポート】HOLLOWGRAM PRESENTS『 PHOTON SPREAD』2014年11月28日(金)高田馬場 PHASE
NEWS - 14:00:19今年1月に始動した5人組バンド・HOLLOWGRAMが初の主催イベント“PHOTON SPREAD”を東名阪で開催。人の感情や肌の感触、時間の流れといった“目に見えないもの=HOLLOW”を、いかに“質量のあるもの=GRAM”に落とし込むか? そんなバンドテーマに則り、ファイナルとなった11月28日の高田馬場PHASE公演も、観る者によって色彩や形を変える幻想的な空間となった。
大阪・名古屋公演に続いてHOLLOWGRAMと共にステージを彩ったのは、amber grisにZIZという彼らにとっては旧知の面々。トップバッターを飾ったamber grisは、手鞠の朗々たるボーカルと鋭い視線が確固たる美学を牽引して、一つひとつの楽曲を“物語”として提示する。それはリリカルで柔らかな光が差し込むようなトーンを帯びながらも、その奥底に闇を垣間見せて儚すぎる世界観を描き出した。
続くZIZはグラマラスなビジュアルながら、サイバー感満点のダンスチューンを打ち出して、オーディエンスの高揚感を煽り立ててゆくことに。ロック、エレクトロ、トランス、ジャズ……多種多様な要素を織り交ぜたミクスチャーはオーディエンスに謎めいた感覚を味合わせて、恍惚のアグレッションへと導いてくれた。
中毒性の高い2バンドが創り上げた濃厚なライブ空間で、最後に登場したのはもちろん主催のHOLLOWGRAM。荘厳かつ物悲しいピアノSEから幕開けたステージは“PHOTON SPREAD=光子の拡散”というタイトル通り、温かな光に包まれるような優しさと、心を突き刺す痛みをない交ぜにして、不思議な世界を透かして見せた。表現力に定評のあるryoのヴォーカルはLOWからHIGHへと自在に浮遊し、プリミティブなドラム、時にアップライトベースを交えながらも躍動するベースライン、メロウな泣きのギターと繊細なアンサンブルを為して、観る者の感情を揺らめかせる。
かと思いきや4曲目「KISS RAIN」からは一転、シャウトとデスボイスを畳み掛けて、怒涛のアグレッションを放出。獣のように吠えるryoを筆頭に、その攻撃力はアンコールで披露された新曲「gasoline」で頂点に達して、「ガソリンもまた光を放つものだけれど、それは誰かの犠牲の上に成り立つもの。全てはいつか無くなる。この世は平等でも公平でもない」というMCを重く響かせる。まさしく何かに掴みかかるような仕草で叫ぶ彼の姿は、犠牲者の悲鳴のようにも、犠牲を強いた側の悔恨の呻きのようにも見えた。
音楽と言葉のリンクで生むディープなメッセージ——。それまたHOLLOWGRAMの真骨頂である。「僕らが生きるのに光は不可欠だけれど、光が強すぎても生きていけない。ほのかな光でも、その人にとっては大事なものかもしれない。明日に繋がるこの光で、最後は〆たいと思います」と贈られた本編ラストの「Don’t cry for the knell」ではフロア中が手を振って、晴れやかな景色を創出。アンコールの最後には「死は決して寂しいものじゃなくて、命はずっと巡ってゆくもの。今日、実をつけた光は熟れて落ちて種となる」と珠玉のバラード「mistletoe」に前置いて、美しいファルセットと壮麗なオーケストレーションで感動的な幕切れを演出してみせた。
渋谷WWWでの始動ライブからちょうど1年となる2015年1月17日には、初ワンマン“All about us & Rust off us”を代官山UNITで敢行する彼ら。ベースの攸紀いわく“映画を観ているようなライブにしたい”とのことだが、触れる者の感性を刺激して、多彩色の情景と感情を創造するのに長けた彼らだけに、その言葉が実現することは確実。心の錆を洗い流して、日常とは少しだけ違う景色と感慨を味わいに、ぜひ足を運んでほしい。
■HOLLOWGRAM 1st ONE MAN live
『 All about us & Rust off us 』
2015年1月17日(土) 代官山 UNIT
OPEN -START : 18:00 -19:00
【チケット料金】 前売¥3,800-(税込、ドリンク代別) 当日¥4,300(税込、ドリンク代別)
★チケット発売中!
【プレイガイド】
ローソンチケット(Lコード:77093) http://bit.ly/1A7V0cH
イープラス http://eplus.jp ※ご購入はこちら→http://bit.ly/1E4pQpN
★HOLLOWGRAM★
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