2023年10月07日 (土)
【メリー】「変態ポップ」を掲げた新ヴィジュアル解禁 & 会場限定CD『ユーモア』発売決定!
NEWS - 12:00:02メリーが、新アーティスト写真の解禁と、2023-2024 CONCEPT TOUR 「10」の開催を記念して、ニュー・シングル『ユーモア』をライブ会場および通販限定で発売することを発表した。
彼らが掲げた「変態ポップ」とは何か?
そのヒントが今回発表された情報の随所に詰め込まれている。
まずは2023-2024 CONCEPT TOUR 「10」の開催。
このツアーは毎公演ごとにコンセプトが異なる10公演を各地で行うというもの。
初日の高崎公演はハロウィン公演ということもあり、どのような「変態ポップ」を体現してツアーをスタートくれるのか、すでにファンから注目を集めている。
次に新ヴィジュアル。
彼らの言う「変態ポップ」を具現化したアーティスト写真は、これまでのメリーのヴィジュアル・イメージの延長線を感じつつも、どこか地続きではない感覚を覚えるものとなっており、この“違和感”が彼らのいう「変態ポップ」の部分かも知れない。
そして、ライブ会場および通販限定で発売されるニュー・シングル『ユーモア』。
今作は短冊型紙パッケージ仕様の8㎝CDシングルとなっており、「変態ポップ」をテーマにとしたアートワークも相まって、レトロ感が満載のコレクターズ・アイテムとなっている。
さらに8cmCDの再生機器を持っていない方々も楽しめるようにパッケージ中面にはQRコードが添付されており、収録楽曲のダウンロードが可能となっている。
『ユーモア』はライブ会場限定での販売となっており、ツアー終了後に通販を開始する予定ではあるが、ツアーで販売予定数に達した場合は通販を中止するそうなのでライブ会場にて確実に入手して貰いたい。
このような実に回りくどく皮肉な作品リリースの仕方は、まさにメリーの“変態性”の真骨頂とも言えるのではないだろうか。
結成当初から既に唯一無二の“変態性”もリスナーには感じさせ続けてきた彼らではあるが、ここに来て改めて自ら「変態ポップ」というコンセプトを前面に押し出して掲げた彼らは、シーンにおいて独自の無双状態に入ったのではないだろうか?
「変態ポップ」とは何か?公開されたヒントから考察し、今ツアーでライブを体感し、そしてニュー・シングル「ユーモア」を聴いて、その答えに辿りついて欲しい。
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●NEW LOOK



<リリース>
[SINGLE ユーモア]
2023.10.29 RELEASE
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【会場・通販限定盤】
DISC 1 : CD (8cmCDシングル)
01. ユーモア
02. ユーモア (Off Vocal Ver.)
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DRG-037
¥2,000(tax in)
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短冊型紙パッケージ仕様
2023年10月29日(日) メリー 2023-2024 CONCEPT TOUR 「10」高崎Club JAMMERS公演より販売
Manufactured by FW
Distributed by FW
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[TOUR SCHEDULE]
① 2023年10月29日(日) 高崎Club JAMMERS [ハロウィンナイト]
② 2023年11月10日(金) 新宿LOFT [オールナイト公演]
③ 2023年12月08日(金) 目黒鹿鳴館 [■■■]
④ 2023年12月16日(土) 名古屋 MUSIC FARM [■■■]
⑤ 2023年12月24日(日) 仙台 ROCKATERIA [■■■]
⑥ 2024年 1月13日(土) 岡山ペパーランド [■■■]
⑦ 2024年 1月14日(日) 京都磔磔 [■■■]
⑧ 2024年 1月20日(土) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3 [■■■]
⑨ 2024年 1月28日(日) 千葉LOOK [■■■]
⑩ 2024年 2月10日(土) 大阪club vijon [■■■]
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12月以降に開催する各公演のコンセプトは順次発表予定です。
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[TICKET SCHEDULE]
―PART 1―
2023年10月・11月公演
チケット発売中
TicketTown
https://e.tickettown.site/tickets/merry_2023-2024_10_p1
イープラス
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―PART2―
2023年12月公演
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≪メリー MEMBERS’ CLUB CORE会員先行受付≫
[申込期間]
2023/10/29(日)12:00~11/3(金・祝)23:59
[当落発表・入金期間]
2023/11/7(火)12:00~11/10(金)23:59
※2023年11月1日(水)時点有効会員 [2023年10月31日(火)までにご入会(ご入金)された方]
11月1日(水)よりご入会の新規会員様は11月1日(水)以降にお申し込みいただけます。
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≪MERRY ONLINE会員先行受付≫
[申込期間]
2023/11/11(土)12:00~11/13(月)23:59
[当落発表・入金期間]
2023/11/15(水)12:00~11/17(金)23:59
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≪一般発売≫
2023/11/25(土)10:00~
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―PART3―
2024年1月2月公演
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≪メリー MEMBERS’ CLUB CORE会員先行受付≫
[申込期間]
2023/12/1(金)12:00~12/6(水)23:59
[当落発表・入金期間]
2023/12/8(金)12:00~12/12(火)23:59
※2023年12月1日(金)時点有効会員 [2023年11月30日(木)までにご入会(ご入金)された方]
…………………………………………
≪MERRY ONLINE会員先行受付≫
[申込期間]
2023/12/13(水)12:00~12/16(土)23:59
[当落発表・入金期間]
2023/12/19(火)12:00~12/21(木)23:59
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≪一般発売≫
2024/1/6(土)10:00~
その他の詳細はメリーオフィシャルサイト等で後日発表いたします。
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【メリー公式サイト】

2023年10月06日 (金)
【ライヴレポート】<ゼラワンマンツアー『Evening of Purge』>2023年9月27日(水)心斎橋CLAPPER
NEWS - 21:00:151st FULL ALBUMをついにリリースしたゼラのワンマンツアーがスタートした。
その初日の模様をお届けする。
暑さの残る2023年9月27日。
初のフルアルバム『Devil liveD』のリリース日でもあるこの日、ゼラワンマンツアー『Evening of Purge』が心斎橋CLAPPERにて初日を迎えた。
今回のワンマンツアーは前半は『Evening of Purge』、後半は『Carnival of Purge』という2つのタイトルでのツアー構成となっており、2023年12月21日池袋harevutai公演がTOUR FINALとなる。
開場前からゼラのワンマンツアーの始まりを楽しみにしたファンが数多く集まり始め、入場と共にホール内は多くのファンで溢れ、ライブの始まりを今か今かと待ち望んでいた。
ホール内が暗転し、一瞬の静寂の後、ゼラの世界観に誘うSEが流れ始め、ワンマンツアーの幕が開いた。
ピンと張りつめた空気と、これから始まるライブへの期待が膨れ上がってくる。
『It』で始まりを迎えたワンマン、演奏の始まりと共に深いゼラの世界へ導かれていく。
続く『This is XXX』では、会場が揺れ、会場の熱量が上がっていく。
『カリギュラ』では突き刺さるようなギターリフから、その後激しいヘッドバンギングで彩られ、フルアルバム『Devil liveD』のMusicVideo曲でもある『PURGE』で会場の一体感がさらに増していく。
『革命のマスカレイド』は今までのゼラが集約されてるようなキャッチーなメロディといい意味で期待を裏切る構成で、今後印象に残る1曲になる予感を感じた。
5曲の演奏が終わったあとに、この日初めてのMCとなり、ワンマンツアーの始まりと、氷翠の煽りで更に会場のボルテージを上げていく。
6曲目の『Dystopia』では疾走感のある楽曲で、沢山の拳が高く上がっていた。
『trigger』は個人的な意見になるが、今回のアルバム曲の中では一番激しい楽曲のイメージを持ち、今までのゼラのライブの激しさが、この楽曲により更に激しいものになっていくように感じた。
▲Vocal.氷翠
▲Guitar.Aqui
その後も『シャングリラ』『evil≠live』『SAVAGE』と続き、会場内はゼラの世界観で満ち溢れていく。
11曲目となった『DayDream』は今までとは違いミドルバラードとなり、氷翠の歌唱力、楽器隊の演奏力で、楽曲が心にしみ込んでいくような感覚が心地よかった。
12曲目は『ever』で聴かせる空気から一転、熱気が一気に戻る。
リリース日ということも重なったためか、ここまで『Devil liveD』収録曲のみでの演奏が続いているが、不思議と新鮮さの中でもしっかりとゼラらしさや世界観を楽しむことが出来た。
続く『傀儡』で熱気が更にヒートアップし、『マジュラス』で最高潮のまま本編の終わりを迎えた。
▲Guitar.ミナギ
▲Bass.流
会場内に響き渡る、アンコールの声援。
メンバーが登場し、ワンマンツアー初日の感謝を述べた後、間髪入れず『デザイア』でアンコールを迎えた。
アンコールのMCとは一変し、会場内を更に熱気の渦に巻き込んでいく。
その渦は『黒よりも暗い黒』で更に勢いを増し、『Villainess 』まで怒涛の勢いで会場を揺らし、メンバーもファンも更に一体感と熱い熱気に包まれていった。
アンコールラストとなった『未来』ではこのワンマンツアーやこれからのゼラの進んでいく道を示すかのように、希望に満ち溢れたままこの日の演奏を終えた。
眩しいくらいの照明の中、ファンに感謝のアピールの後、ステージを降りていくメンバー達。
それを見送るファンの声援の中、この日のライブは終了した。
今まで、ゼラのライブを何度か見てきたが、今回のフルアルバム収録曲は全曲新曲ということで、ゼラの魅力をさらに引き出す楽曲が増え、ワンマンツアーで更に成長していくであろうゼラ。
TOUR FINALの池袋harevutai公演はもちろんのこと、このツアーでどこまで磨きがかかっていくのか、この先も注目していきたい。
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★★BACK STAGE PHOTO★★
▲Aqui メイク中
▲Aqui チェキ撮影中
▲流 チェキ撮影中
▲本番に向けてケータリング弁当で力を蓄えるミナギ
▲本番数分前、緊張感を高めるミナギ
▲本番さながら緊張感のあるリハーサル
▲この日から発売の新Tシャツをしっかり宣伝!
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■ワンマンツアー
『Evening of Purge』
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OPEN18:00 / START18:30
前売¥4,000 / 当日¥4,500(ドリンク代別)
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9月27日(水)心斎橋CLAPPER
10月7日(土)京都ARCDEUX
10月9日(祝)神戸KINGSX
10月10日(火)岡山2nd Room
10月20日(金)HOLIDAY NEXT NAGOYA
10月27日(金)巣鴨獅子王
10月28日(土)浦和ナルシス
10月31日(火)心斎橋soma
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上記8公演販売受付URL
https://eplus.jp/zera-evening/
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■ワンマンツアー
『Carnival of Purge』
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OPEN18:00 / START18:30
前売¥4,000 / 当日¥4,500(ドリンク代別)
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11月6日(月)阿倍野ROCKTOWN
11月10日(金)今池3STAR
11月15日(水)広島セカンドクラッチ
11月16日(木)高松TOONICE
11月28日(火)池袋Black Hole
12月5日(火)心斎橋FANJ twice
12月8日(金)福岡graf
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TOUR FINAL
12月21日(木)池袋harevutai
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OPEN 18:00 / START 18:30
前売¥4,500 / 当日¥5,000(ドリンク代別)
上記8公演販売URL
https://eplus.jp/zera-carnival/
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<リリース>
★ゼラ1st FULL ALBUM
『Devil liveD』
3,500円(税別)
[CD]
1.It 2.カリギュラ 3.PURGE 4.This is ××× 5.革命のマスカレイド 6.trigger 7.ever 8.シャングリラ 9.SAVAGE 10.evil≠live 11.Daydream 12.Dystopia
[DVD]
1.PURGE(MUSIC VIDEO)
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OFFICIAL SITE
OFFICIAL X(TWITTER)
https://twitter.com/zera_hisui
Vocal 氷翠 X(TWITTER)
https://twitter.com/houts_vo_atto
Guitar Aqui X(TWITTER)
Guitar ミナギ X(TWITTER)
https://twitter.com/zera_minagi
Bass 流 X(TWITTER)

2023年10月06日 (金)
【ライヴレポート】<HOWL 酸欠五大都市LIVE TOUR「快楽物質」-Tour Final- >2023年10月2日(月)渋谷club asia◆「間違いかも知れない俺たちが、死にたくないと言えるまで心を鳴らしていこう!」HOWL、年間3度目の“酸欠”全国ツアーファイナル。“コンプレックス”を切り裂いた結晶の夜。
REPORT - 20:00:53「これからもお互い生きていこうよね。…一人じゃ無理でも誰かとだったら生きていける。」
この夜のラストシーン、オーディエンスの目を見つめながらフロントマン=真宵が放った言葉である。HOWLというバンドがずっと抱えていたという“コンプレックス”を吐露し、自身を否定するような言葉をも経て、やっとたどり着いた孤高の地。
大げさな話ではない。この日、結成5周年を迎えた、どうにも器用に生きることが苦手な男たちが歩いてきた長い道のりの果ての景色だ。
HOWLが今年3度目となる全国ツアーのファイナルを東京・渋谷club asiaで行った。
バンドが年間に3度もツアーを行うこと自体が異例であるが、地道にライヴを繰り返すことでしか確認出来ないものがそこにはあった。
ステージとフロアの意志交換を経て、圧倒的な高みに到達する未来を予感させた夜の模様をお届けする。
10月2日、平日の夕刻にも関わらず多くのオーディエンスが会場に詰め掛けた。
その光景と同様に目を惹いたのはステージセットである。これまでO-WEST公演では背面に無骨さを想起させる鉄柵が、池袋harevutaiでは大型LEDヴィジョンと派手な演出が印象的だったが、この日は趣向が変わりyuki(Dr)の要塞の隣にDJセットが配置されている。
開演時刻を過ぎるとほどなくしてその謎は解ける。この日はスペシャルゲストとしてHOWLと古くから縁のあるKERWINがDJとして参加するファイナルならではのレアな試みが用意されていたのだ。金髪をなびかせ西洋の騎士のような出で立ちのKERWINがポジションにつくや否やビートを増すキック音に合わせてフロアからは煌びやかなリングライトのハンドクラップが巻き起こる。
ステージから放たれるレーザーとフロアを彩るリングライトのマッチアップはそれだけで壮観であったが、club asiaは元来、日本・渋谷のカルチャーを代表する老舗クラブだ。
公演のサブタイトル「-PARTY-」に申し分ない空気のなかメンバーが登場するとオープニングで披露されたのは「人間退職」。
3ヶ月連続リリースの最終作にしてHOWLの最新作だが、“人間なんかやめたい”と連呼される上に“お前に響く歌詞を教えてくれ”という放逐的なリリックが衝撃的だ。
黒と白を基調にした装いのメンバーのシルエットも相まって今までにないシックなムードを醸しながらも、一聴しただけでツアーを経てヴォーカリストとしてスケール感が増したことが解る真宵(Vo)は拡声器を使用し聴衆に己の言葉を叩きつける。
“随分変わったな…”初手にしてこれまでのバンド像が大きく刷新された印象に気を取られてしまったが、観客は縦ノリで大きく応えた。
続いた「ランドリーペイン」ではCO2の柱が立ちこめ熱気はさらに加速。感情のままに打ち鳴らし疾走するyuki(Dr)に共鳴するように巻き起こるモッシュ、ヘドバンの嵐をお立ち台から支配者のように不敵に見下ろす真宵の姿がいつにも増して艶めかしく妖しい。
▲Vo.真宵
確かにスケール感が増しているのだが、どこか何かがこれまでのバンド像と異なっている…難解なまちがい探しのように思案していたその違和感の答えは、次なる「先天性君症候群」で早くも明らかになる。フロア爆発扇動専用機として機能する定番曲、よっぴ(Gt)がマイクを使い“そんなもんか!?”と煽る場面こそあったもののメンバーは実に自然体なのだ。
これまでは愛すべき燃費の悪さと不器用さを以って導火線に着火するのがHOWL流のエモーショナルとして魅力になっていたが、年間3本目となるツアーの最終地にその姿はもはやなかった。5大都市酸欠ツアーと銘打たれた今回は各地で酸欠になるほどに暴れ乱れることが推奨された“TRIP ZONE”、ライヴ初心者向けの”GALLERY ZONE”とフロアにエリア分けがされていたのだが、当然、バンドのライヴである以上“GALLERY ZONE”の観客をも熱狂の渦に巻き込むことがひとつの正解とも考えられるが、彼らにその気負いは一切なかったのだ。そんな次元にはもうとっくにいないんだよ…とばかりに自分たちの音楽を的確に鳴らし届けることに注力する姿がそこにあった。
役目を全うし陽気なMCで会場を和ませステージを去ったKERWINがMV製作の指揮を取ったと紹介されたのは「閲覧禁止」
https://www.youtube.com/watch?v=2akjAXsyALg
HOWL 『閲覧禁止』(MUSIC VIDEO)
ミドルチューンでひと際存在感を放つゆうと(Ba)の余白を活かしたフレージングはこの日もエロティック。対照的によっぴのギターソロはシャワーのように微かな熱を帯びたもので、押し引きの妙が巧みなyukiとの楽器隊の駆け引きが真宵の歌声をセクシーに響かせる至高のものだった。ラウドな楽曲以上にミドル系の楽曲における表現の精度は前回ツアーから引き続き進化を見せていて今のHOWLの引き出しの多さに結実していると言える。
空気を再びハードネスに一変させたのは「シャーデンフロイデ」。
サイレンのように赤い照明が廻るステージ上からの“全員で今日のパーティーをお祝いしてくれないか?”の問いにフロアもヘドバンの風力でアンサーを送る。
初披露時にはアンコールも含め合計3度プレイしている曲だけあって、ライヴでの強度が段違いでありながらサビメロが流麗で耳に残るHOWL節もまた健在でこれまでになかったタイプの曲だ。
▲よっぴ(Gt)
ステージとフロアで鍛え抜かれた楽曲と言えばこれでしょ!のハードチューン連打は「ENIGMA」、「隷従エスコート」。
フロントメンバーがyukiの周りに集まり火力の高いグルーヴで扇動していく。コロナ禍に生まれた前者、パンデミック終焉の兆しが見えた今年春にドロップされた後者、それぞれの年輪は異なるものの、爆発的なノリを生む二枚看板として並んでいることがこの5年の歴史を感じさせる。気が付けば先述した“TRIP ZONE”と”GALLERY ZONE”に体温の差はなく、会場全体がよっぴのリフに合わせて頭を振りしきっている。
HOWLの4人が持って生まれた端正で時に可愛らしくもあるヴィジュアルへの反骨心から、暴動的なライヴを演出したいのではないか・・・“酸欠”と名付けられたツアータイトルを知った時にそう邪推したものだが、そんな浅はかな思考など鼻で嘲笑うように彼らは生真面目に自分たちの音楽に向き合うことで、言葉ではなく音で景色を切り拓いた。いや、切り拓いているのだ。
▲ゆうと(Ba)
“お前ら快楽物質出過ぎて頭オカシなったんかー!?”と感情が高ぶった真宵も広島弁を隠さずに語りかける。どこまでも自然体なのである。
オルゴール的なBGMをそのままイントロの導入に使用する演出が絶妙な「ボクラノシンフォニー」では弦楽器隊がアイコンタクトを取りながら“Wow oh wow”と野太いコーラスを取る姿も。
▲yuki(Dr)
多幸感に溢れた会場を見渡し真宵がマイクを取った。
“10月2日、俺たちちょうど今日5周年を迎えるんだけど、ずっと見つからないものがあったの。ヴィジュアル系バンドって大体コンセプトとかあるでしょ?わかりやすいキャッチコピーみたいな。自分らもずっと欲しいと思ってたのよ。でも全然見つからなくてさ…語弊があるかも知れないけど、俺たち仲の良い4人で集まったバンドだからテーマとかなくて。でも5年活動してきて、最近やっとこれじゃないかって言うのが…見つかりました。”
“活動してきてどこのジャンルにも界隈にも属せなかったってコンプレックスがあって…キラキラした時期もあったかと思えば、その真逆の時もあったりしました。その時その時でやりたいことをやってるんだけれど…孤独があったのHOWLはずっと。俺一人の人間としても。もしかしたら君たちは俺たちのそういうところに共鳴して足を運んでくれてるのかなって。”
“俺たちの今の心境で、感情で、…HOWLは間違い側の僕らが、死にたくないと言えるまで…そう思ってこれから音楽を作っていきます。俺たちメンバー4人が例え間違い側だったとしても、死にたくない…そう思って活動をしていくことが俺たちの正義かなと、そう思いました。”
“なんか今年すごい自分らが、自分が間違ってるんじゃないかなって、どっから間違えたんだって思う機会が多くて…ラスト、みんなに届ける曲も負の感情から生まれました。けれどライヴで共鳴してくれる人がたくさんいる、俺のど真ん中に刺さるそんな曲に育ちました。だから5周年…ラストはみんなにこの曲を届けたいなと思います。”
披露されたのはもちろん「アンダーテイカー」。
https://www.youtube.com/watch?v=4tBkWZhjCqI
HOWL「アンダーテイカー – live at Spotify O-WEST “ロゼッタ=ストーン” 2023.05.02 」
※「アンダーテイカー」については過去のレポートを是非参照いただきたい。
HOWL 過去の公演のレポートはこちら
https://archive.visunavi.com/news/456830/
https://archive.visunavi.com/news/459533/
あまりに美しいメロディを、持ちうる全ての体重を乗せることで初めて意味を成す2023年を代表する稀代の名曲。
真宵の鬼気迫る“ココロ鳴らしていこうぜ!”の叫びに魂の稲妻が落ちたラストソング。
蒼白いレーザーの中で吠え叫びながらも丁寧な歌唱に感情過多なプレイが重なる。
これまでのライヴでは外へ外へと放出するエネルギーの爆発で心臓を突き刺す…実に燃費が悪く、泥臭く、愚直な手触りだったが、club asiaに鳴り響いた「アンダーテイカー」は真宵、よっぴ、ゆうと、yukiが自己との対峙に没頭するかのようのプレイで圧倒した。
「アンダーテイカー」はリトマス試験紙のような扱いをできるような楽曲でないのは周知のことであるが、自己との対峙への没頭が誰かに届ける想いとして鳴っている事実が、まだ若い彼らの生き様そのものがメッセージとして昇華されていることに気が付く。奇しくもこの名曲を介して彼らの成長を思い知ることになるとは…
残響のなか、うつろげでありながらもしっかりと客席を見渡した真宵の姿が消える。
本編終了。
いつもは間髪おかずとんでもない声量でかかることが特徴であるアンコールも、「アンダーテイカー」に圧倒されひと時の沈黙が訪れた。
2024年3月4日(月)の渋谷WWWワンマンを含む今後のライヴ予定がスクリーンに投影されたのち、少しの間を置いて始まったアンコールではついに音源化が発表された「いきたくない」を披露。
https://www.youtube.com/watch?v=xi5SxLujycQ
HOWL「いきたくない」(MUSIC VIDEO)
情感たっぷりに届けられた優しいバラードを経て再度MCが。
“言っていいのかわかんないけど(真宵が)俺のせいで売れなくてごめんって。…いや、そんなことないよ!絶対そんなことないよって、俺らで頑張ろうよ!って言いながらも…確かに間違い側、人生でいっぱいあったよなって。キラキラ系にもなれなかったし、ロックバンドのイベント出たらヴィジュアル系じゃんって言われるし”
と想いの丈を吐露したのはよっぴだった。
かつて数字上はソールドアウトした渋谷WWW公演の実情と、それでも興行として大成功と言わなくてはならなかった葛藤までもを愛するファンの前で赤裸々に語るのが真面目なよっぴらしいところでもある。
よっぴはこの日ステージで映像のVJも行った。
“学校でバンギャルなんて少数派でしょ?俺らが夢を叶えたらみんなを幸せにできると思う。だから夢を叶えなきゃいけない。みんなにバンギャルやってて良かったって思わせたい。そう思わせるにはWWWを成功させなきゃいけない…けど、今日こんなに来てくれるならいける気がする!ありがとう!”と締めくくった。
続いたのはベースのゆうと。ゆうとは非常にトークに定評があり、その圧倒的な愛され力と実直で明るい人間性でこの日も場の空気にそぐわない(恐らく天然)ボケて(天然であってほしい)ボケまくっての大立ち回りで超大爆笑をかっさらった。
結果、内容は見事に1文字も記事に出来ない。否、彼らしい明るさで“武道館”という言葉が飛び出した前向きな事実は記しておきたい。
ドラムのyukiは「時期とかじゃなくて…出会ってくれてありがとう。確かに自分が(その時)正しいと思っていた道が間違いだったかも知れないけど、これだけは間違ってなかった…この4人でHOWLというバンドをできたことです。」と熱い想いを集約した。
真宵は「胸を張って今までで一番良いツアーだった」と少ない言葉で締めくくった。
素直な言葉を経た「ロゼッタ=ストーン」には、真宵の歌唱とポップなメロディが伸びやかに心地よく響き、MCにもあったような何かしらの系統・界隈などに棲み分けることが不要な説得力を感じた。
“どんなに躓いてもまた走りだせるための音楽を!”とラストに届けられたのは「#prologue」。
メンバーとオーディエンスが互いの想いを確かめ合うような空間は、ステージにもフロアに隔たりなど微塵もなく甘酸っぱくも爽やかなフィナーレに包まれた。
余談だが、以前メンバーが“バンドの顔とも言えるとあるキラーチューンを超える曲を作りたい”語っていたことがある。
この日のセットリストを見るとそのキラーチューンは存在しない。終演後、真宵にその意図を尋ねたところ他意はなく“封印”でもないようだ。数か月前に課題にしていたことなどちっぽけでどうでもいい次元までバンドが進化したことの一端と言えるかも知れない。
自分たちのアイデンティティに悩み、探求の旅に今年3度も出た彼らが手にした自然体の説得力、もちろんその裏に挫折や苦悩もあっただろう。
しかし、この活動期間には得たものも大いにあったはずだ。
在りのままのHOWLでいることが最たる存在意義に変わった夜のラストシーン。
「これからもお互い生きていこうよね。…一人じゃ無理でも誰かとだったら生きていける。」
真宵は去る前に続けてこう叫んだ。
「間違いかも知れない俺たちが死にたくないと言えるまでお互い心を鳴らしていこうぜ!!」
有名アスリートの名言に“自信が確信に変わりました”というものがある。
歩みは人それぞれかも知れないが今のHOWLにもそんな日が近く訪れるかも知れない。
大晦日には<V系って知ってる! -VISUAL ROCK COUNT DOWN 寸前GIG 2023->への出演も発表された。
準備運動は終わりだ。
覚醒した彼らを、時代が見つけるのが先か?それともアナタが見つけるのが先か?
6年目の逆襲が今、始まる。
文◎山内秀一
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<セットリスト>
SE.快楽物質
1.人間退職
2.ランドリーペイン
3.先天性君症候群
4.宇宙世界
5.閲覧禁止
6.honey♡drunker
7.シャーデンフロイデ
8.UNVENUS
9.ENIGMA
10.隷従エスコート
11.ボクラノシンフォニー
12.アンダーテイカー
EN1.いきたくない
EN2.ロゼッタ=ストーン
EN3.ANOTHER BIRTHDAY
EN4.メロドラマ
EN5.#prologue
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■HOWL ALBUM TOUR
間違い側の僕らが、死にたくないと言えるまで
…………………………………………
2024年2月20日(火)【愛知】今池CLUB 3STAR
2024年2月21日(水)【大阪】心斎橋CLAPPER
2024年2月27日(火)【宮城】仙台Space Zero
2024年3月4日(月)【東京】渋谷WWW
公演名:異分子共鳴
日程:2023年12月7日(木)
会場:渋谷RING
公演名:HOWL YUTO BIRTHDAY LIVE LOVE & PEACE
日程:2024年2月12日(月・祝)
会場:池袋EDGE
真宵単独主催公演決定!
日程:2024年2月15日(木)
会場:渋谷REX
公演名:V系って知ってる! -VISUAL ROCK COUNT DOWN 寸前GIG 2023-
日程:2023年12月31日(日)
時間:OPEN 12:30 / START 13:30
終演時間:21:00予定
会場:EX THEATER ROPPONGI
出演:HOWL/DEZERT/キズ/甘い暴力/色々な十字架/鐘ト銃声/グラビティ/ビバラッシュ/Ashmaze./CHAQLA./nurié/VIRGE
2023年冬、NEW ALBUM RELEASE!!
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<HOWL OFFICIAL HP>
<HOWL OFFICIAL Twitter>
@HOWL_staff
