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2022年11月24日 (木)

=速報!=【lynch.】初の武道館公演、大盛況のうちに終了!単なる復活劇を超えた、歴史的瞬間!!

NEWS - 00:09:22

 撮影:江隈麗志

 

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それは夢が現実となり、新たな希望が生まれた瞬間だった。1123日、lynch.は『“THE FATAL HOUR HAS COME”AT日本武道館』と題された公演を実施。それは彼らにとって初の武道館公演であるのみならず、2021年の大晦日公演を最後に一時的な活動休止期間に入っていた彼らにとっての復活の舞台。この日の東京はあいにくの雨に見舞われ冬の到来を実感させる寒さだったが、この約束の地での活動再開を待ち焦がれた熱心なファンが各地から集結し、lynch.史上最高動員を記録する結果となった。

 

場内は開演定刻の午後5時を10分ほど過ぎた頃に暗転。18年に及ぶ今日までの歴史がコンパクトに纏められた映像に続いて鳴り響いたオープニングSE“AVANTGARDE”。背景のスクリーンにはlynch.の巨大なロゴが浮かび、けたたましいほどの手拍子が自然発生する。まばゆい光を放つステージ上、玲央(g)、晁直(ds)、明徳(b)、悠介(g)がそれぞれの配置に就き、葉月(vo)がゆっくりと中央に歩み出て両腕を左右に広げてみせる。その姿はまさに、客席から発されているすべての熱を体感しているかのようだった。

 

次の瞬間に聴こえてきたのはピアノの響き。記念すべき初の武道館公演の幕開けを飾ったのは“LAST NITE”だった。黒衣に身を包んだメンバーたちの奏でる整合感のある轟音に、葉月の艶めかしい歌声が絡んでいく。そしてこの曲を丁寧に歌い終えると、彼は「行くぞ、武道館! 処刑台へようこそ!」とオーディエンスに宣告。曲は次なる“GALLOWS”へと雪崩れ込んでいく。観客はいまだにマスクの常時着用を求められ、大声を出すこと禁じられている状態にある。しかしそれでも場内は確実に一体感に包まれていた。

 

以降も彼らは、lynch.なりの緩急を設けながらもスピード感を損なうことなく、次々と楽曲を繰り出してくる。結果的にその演奏曲数は、二度に及ぶアンコールでの7曲を含めて総計29曲となり、ライヴ自体も3時間20分に及ぶものとなった。活動休止明けであるだけに、今回の公演は新譜リリースの伴うものではないし、いわゆる新曲披露を目玉とするものでもない。だが、彼らにはこの機会に演奏した曲が山ほどあった。中盤で初期楽曲の“melt”を披露する際、葉月は、当時21歳だった彼にはその世界が表現しきれなかったと言い、「この曲を武道館まで連れてきた」と語った。その言葉が象徴するように、彼らには「武道館を体験させたい曲」がたくさんあったのだ。

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だからこそ今回の演奏プログラムは、過去さまざまな時代の楽曲が盛り込まれたものになっていた。ただ、単なる総括に終わっていたわけではない。最初のアンコールの締め括りに“EUREKA”が組み込まれていたこともそれを物語っていた。アルキメデスが発したとされる、何かを発明・発見した際の歓喜の言葉がそのままタイトルに冠されているこの楽曲について、葉月は「この曲ができた時から、(この場所で)ずっとやりたかった」と語っていた。高い天井に向けて希望の光を放つようなこの曲は、まさしくバンド新たな境地に達した喜びを示しているように感じられたし、彼自身、この場でそれをオーディエンスと共有することを待ち望んできたのだろう。

 

ただ、その“EUREKA”をもってしても初の武道館公演が完結することはなかった。改めてのアンコールで炸裂したのは“ADORE”“A GLEAM IN EYE”という、lynch.の歴史を見守り続けてきた2曲だった。バンド側ももちろんだが、ファンもこれらの曲を聴かずしてこの夜を終えることはできなかったはずだ。そうした楽曲たちが武道館という聖地での初めての演奏機会を経たことで、バンドは次の段階へと歩みを進めることができ、各楽曲も経験値を増してアップデートされることになるのだろう。

 

ステージ上でメンバーたちが発した言葉にも印象深いものがあった。ことにリーダーであり最年長メンバーである玲央がこの日を無事に迎えられた安堵の言葉を男泣き寸前の表情で発し、「みんなを武道館に連れて行きたいとずっと思っていたが、みんなに連れて来てもらった」と語った際にはもらい泣きしたファンも少なくなかったことだろう。明徳が敢えて過去の不祥事について触れながら、それによって当時決まっていた武道館公演ができなくなったというこれまで表沙汰になっていなかった話を明かし、一時的にバンドを離脱していた彼を改めて迎え入れたメンバー、スタッフや仲間たちに対して改めての感謝の言葉を述べた際についても同じことが言えるだろう。

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lynch.はその一件により武道館公演実現の最初のチャンスを逸し、二度目の機会はコロナ禍に邪魔されることになった。それが今回ようやく実現に至ったわけだが、こうした紆余曲折もまた、彼らに遠回りをさせることになった。ただ、この日のステージを持って彼らは間違いなく何かを発見したはずだし、それはバンドのこれからの歩みのあり方にも少なからず影響をもたらすことになるだろう。もちろんポジティヴな影響だけを。

 

終演後にはスクリーン上で、大晦日に18周年記念公演『THE IDEAL』が開催されること、また、2023年春のニュー・アルバム発売とそれに伴うツアー実施が発表された。lynch.が敢えて活動休止期間を設け、改めて自己再確認を経たうえで臨んだ今回の初武道館公演。それが彼らにもたらしたものの正体がそこで明かされることになる。ステージ上では葉月が達磨に目を入れるという象徴的な場面もあったが(念願だったZEPPツアーが初めて実現した2013年末にファンからもらった達磨に目を入れ、その時点から彼は武道館公演を目標に掲げた新たな達磨を持ち続けてきた)、彼らが次にクリアしなければならないのは、日本武道館という約束の場所に帰還を果たすことだろう。そして、それがそう遠くない未来に実現することを、このライヴの目撃者となったすべての人たちが確信したに違いない。                                                                                      

 

 

文:増田勇一

 

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SET LIST

 

00.SE-AVANTGARDE-  

01.LAST NITE  

02.GALLOWS  

03.GREED

04.EVOKE  

05.CREATURE  

06.XERO  

07.THE FATAL HOUR HAS COME

08.JUDGEMENT  

09.GHOST

10.LIE

11.melt

12.forgiven

13.ASTER

14.D.A.R.K.

15.I’m sick, b’cuz luv u.

16.MIRRORS

17.ALL THIS I’LL GIVE YOU

18.INVADER ×1.5ver.

19.OBVIOUS

20.pulse_

21.ALLIVE

22.CULTIC MY EXECUTION

 

EN1-1.THIRTEEN

EN1-2.EVILLY

EN1-3.a grateful shit

EN1-4.MOON

EN1-5.EUREKA

 

EN2-1.ADORE

EN2-2.A GLEAM IN EYE

 

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lynch. “THE FATAL HOUR HAS COME” AT 日本武道館 PLAYLIST

https://king-records.lnk.to/lynch20221123

一部未配信楽曲を除く

 

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INFORMATION

2023 EARLY SPRING NEW ALBUM RELEASE

 

LIVE

 

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18th Anniversary Premium LiveTHE IDEAL

20221231() 開場16:15 開演17:00

Zepp Nagoya

詳細はこちら https://pc.lynch.jp/live/3966

 

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TOUR’23開催決定!

34日(土)Zepp Nagoya

35日(日)Zepp Osaka Bayside

312日(日)Zepp DiverCity

318日(土)Zepp Sapporo

321 (火・祝) SENDAI GIGS

42日(日)Zepp Fukuoka

423日(日)KT Zepp Yokohama

 

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OFFICIAL

WEB SITE https://pc.lynch.jp/

Twitter  https://twitter.com/lynch_staff

YouTube  https://www.youtube.com/@movielynch1

 








2022年11月23日 (水)

【H.U.G】Angelo、ex.D’ESPAIRS RAYのKaryuセッションバンド「H.U.G」、YouTubeチャンネルを開設!

NEWS - 12:00:32

ex.D’ESPAIRS RAYのKaryu、ZERO、TSUKASAによる「Luv Parade」の再始動と共に動き出した、Karyuセッションバンド「H.U.G」のYouTubeチャンネルが、11月22 日18時についに開設された。

 

2022年9月8日にSpotify O-EASTにて開催された<Luv PARADE主催「DEVIL’S PARTY vol.2」>での H.U.G初ライブ映像、H.U.Gオリジナル曲『HERAT』が公開されているので是非、チェックして欲しい。

 

2022年12月17日(土) には赤羽ReNY alphaにて<Luv PARADE vs H.U.G>が開催されるので、そちらもチェック!

 

 

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H.U.G YouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/@h.u.g

 

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【公演概要】

 

■Luv PARADE vs H.U.G

 

2022年12月17日(土) 赤羽ReNY alpha

 

<ACT>

Luv PARADE(Karyu/ZERO/TSUKASA /ゲストヴォーカル TAKA from defspiral)、H.U.G

 

開場17:15/開演18:00

オールスタンディング 7,700円(税込/D別)

※3歳以上チケット必要

 

 

[問]サイレン・エンタープライズ03-3447-8822

 

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Karyu Information

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2022年11月23日 (水)

【ライヴレポート】<NICOLAS「KUSOTTARE IS BACK 2022 “天獄への階段”>2022年11月13日(日)東京キネマ倶楽部◆「死ぬ気でやれ、でも死ぬな!生きてみせろ!」

REPORT - 12:00:15

6都市13公演行った全国ツアー「NICOLASKUSOTTARE IS BACK 2022 “天獄への階段」。同ファイナル公演が、1113()に東京キネマ倶楽部で催された。長く心を共にしてきたドラマーRITSUの卒業を受け、新たにバンドを固めようと進めてきた今回のツアー。NICOLASが何度もツアータイトルに掲げてきた「クソッタレ イズ バック」の言葉。その意味も含め、この日、彼らが東京キネマ倶楽部に描いた出来事を、ここに報告したい。

 

 現実から意識を遠ざけるように幻惑したSEが流れだす。メンバーらの登場に合わせ、フロア中から沸き上がる歓声・歓声・歓声。この日は、マスク越しなら声出しがOK。ファンたちも、溜まっていたフラストレーションを早くも絶叫に変え、4人にぶつけていた。

 

 その喧騒を一気に消し去るよう、ライブはバラードの『UMBRA』から厳かに始まった。重く、でも切なさを抱いてゆったりと唸る演奏の上で、語り部となったSAKUが、フロア中でうずうずしている人たちの心へ、言葉に込めた想いを一つ一つ響かせる。そこには、大きなうねりを描く前の静かなる胎動が生まれていた。

 

 さぁ、ここからは闇の世界へ落ちて狂ってしまえ。場内中の人たちを、理性を消し去り本能のままに生きる姿へ塗り替えるように『INSANITY NIGHTMARE』を演奏。SAKUの声に向け、拳を振り上げ、絶叫した声を返す観客たち。サビでは、胸に響くSAKUのメロディアスな歌の指揮に合わせ、大勢の人たちがその場で飛び跳ねる。SAKUは生きるための強い意志を、それを教えてくれた仲間たちへ向け浪々と歌っていた。

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  ZEROの弾く重厚なベースのリフメロを合図に、楽曲はさらに重さを増す。呪詛を唱えるように言葉を突き刺すSAKUの姿も印象的な『因果応報』だ。メンバー全員が、演奏しながら身体を大きく折り畳む。フロア中の人たちも、黒い音符の数々が跳ねるのに合わせ、共に大きく跳ね続ける。

 

ヒステリカルでサイバーなデジタルサイコモッシュナンバーの『VITAL SIGNS』が飛び出すのを合図にフロア中の人たちがモッシュし始めれば、SAKUの煽りと対峙するようZEROと一緒に「Oi!Oi!と声を張り上げ、高く拳を突きあげる。ここにはコロナ前、当たり前にあった熱狂の景色が生きていた。制限された中でさえ、理性を壊し、みずからの熱情を全力でぶつけるライブの楽しみ方を、NICOLASと観客たちは作りあげていた。ほぼ移動のない中でも、飛び跳ねるように全力でモッシュする観客たちの熱情ぶりが胸を熱くさせる。メンバーらが観客たちを熱く煽りたくなるのも当然だ。

 

 「かかってこい!!」の声が、次の熱狂の合図だ。ZEROの煽りに合わせ、フロア中の人たちが拳を突き上げ、共に声を張り上げる。NICOLASは『赫い部屋』を通し、フロア中の人たちの身体を大きく折り畳み、時に大きく手を揺らし、この空間に熱情したたくさんの花を咲かせていた。間奏で見せた、攻撃的ながらもメロディアスなSATSUKIのギターソロ。AKANEが頭を振り乱し狂った様でギターを掻き鳴らせば、観客たちも、SAKUの歌へグイグイと引っ張られるように乱れ狂っていた。

 

  演奏は、さらに重厚さを増す。4人は『腕』を奏で、闇が支配する奈落の世界へ観客たちを引きずり込む。彼らは攻撃の手を緩めることはない。1曲ごとに観客たちの理性の螺子をいろんな曲調のドライバーで外しては、忘れたい現実という記憶をどんどん垂れ流す。

 

  AKANEの攻撃的なギターリフが呼び込んだのが、『「廃論破」』だ。SAKUが「論破 論破 論破」と叫ぶ声に合わせ、フロア中の人たちが心を自由に解き放つように飛び跳ねる。この日の公演でも彼らは、ゴシップ/NICOLASの楽曲を組み合わせ、届けていた。曲を重ねるにつれ、演奏の激しさと観客たちの共鳴ならぬ狂鳴度が増していたのも印象的だ。

 

暴れ騒ぐ観客たちへ、4人は『ベビーシッター』を通して興奮というエナジーをさらに注入。どの曲もそうだが、変幻する曲や歌の表情に合わせ、観客たちも気持ちを重ねあわせ、振りや煽りに狂()じていた。『ベビーシッター』でも、SAKUZEROのやりとりにあわせて全力でヘドバンする観客たち。間違いなくこのフロアは、理性を消し去り、本能の服を身にまとった人たちが支配するカオスな空間に染まっていた。

 

サポートドラマーHAYATE(哲郎)の激熱なドラムソロが登場。いつしか楽曲は、跳ねた演奏も心地好い妖艶でジャジーな表情へ。観客たちの心を淫らに塗り上げる『罠』だ。軽快に跳ねた、重厚ながらも華やかなダンスナンバーに乗せ、一緒に心を絡ませるように踊り、寄り添いあおう。SAKUの煽りを合図に、メンバーと観客たちが一緒に跳ね続ける光景も胸に熱い。

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痛く突き刺さる演奏なのに、そこには不思議と温もりを覚える。SAKUも、温かくおおらかな歌声の手で観客たちを抱きしめるように『モザイク』を歌っていた。先の『罠』も、そう。『モザイク』でも、視点は異なれ、もがき苦しむ心の葛藤を認め、そこから逃れ、理想を求めようと願う心模様を彼らは伝えていた。中でも『モザイク』では、SATSUKIの甘くメロウなギターソロや旋律も含め、彼らは、たくさんのガラスの破片が刺さった両手で優しく抱きしめるように歌い奏でていた。そこに感じた優しい痛みを通し、一緒に生きる標を求めたい気持ちに染まっていた。

 

ノリ良くつかみを持って疾走。続く『奇想天外ブラインドラブ』は、一緒に歌を口ずさみたくなるキャッチーでメロディアスなロックナンバー。飛び跳ね歌うSAKUに合わせ、一緒に跳ねる観客たち。この曲でも、SAKUZEROの熱い煽りに向かって声を張り上げる場面も含め、一緒に熱情したうねりに身を任せ、誰もが無邪気な少女や少年に戻って騒いでいた。

 

「今日は声出しあり、何でもあり」とSAKUは語っていた。この日で、ツアー13階段()目。まさに、いろんな意味で天獄へ最も近づいた段数だ。その想いを楽曲として具現化した『ECHO OF SILENCE』を、ここで演奏。祈りにも似た声で歌うSAKU。彼の感情をゆったり押し上げるように、楽器陣が演奏。胸に抱いた想いを届けるように歌うSAKUの声が、涙を呼び起こす。フロア中の人たちはメンバーらの姿を凝視していた。祈るように歌い奏でるその様へ。SAKUの魂を震わせながら歌う声に、心が嬉しく縛られていた。

 

  AKANESATSUKIの悲しげなギターの旋律が響き渡る。その悲しみを掻き消すようにSAKUが絶叫。それを合図に楽曲は一気に熱を溜め込み、ふたたびバーストした。高ぶる気持ちをエナジーに、SAKUと楽器陣が『Delighted』を通して興奮という名のエンジンを奮わせた。つかみを持った、激烈でアッパーなエモい楽曲だ。「さぁ、かかってこい」のSAKUの煽りと絶叫に合わせ、フロア中の人たちが大きく身体を折り畳み、飛び跳ね、咲き乱れながら、メンバーらと一緒に熱情という心のボリュームをぐんぐん上げてゆく。

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 「揺らしてちょーだい」。激烈轟音なリフを次々と突きつける『残歌』だ。とても歌が印象深く耳に響きながらも、熱情に溺れずにいれない激熱な歌に合わせ、気持ちがどんどん高揚する。

 

 SAKUが扇子を手に煽りだす。フロア中の人たちも、扇子を手に,SAKUZEROの「Oi!Oi!」の声に合わせて激しく舞い踊る。メンバーと観客たちはサイコカルチャーなロックナンバー『クソッタレ イズ バック』を通し、大きく扇子を振りまわし、カオスな空間の中で熱狂という恍惚を覚えていた。楽曲に合わせ、誰もが馬鹿になって踊り祭る。そこには、最高にクソッタレな熱狂の景色が広がっていた。「死ぬ気でやれ、でも、死ぬな。生きてみせろ」の言葉も、SAKUらしい。

 

 「この5人で出来ることを、これからもみんなに見せていきます」。ライブは終盤へ。このツアーでファンたちと作り上げた絆を改めて確かめるように、NICOLASは歌ものながらも、観客たちと「Oi!Oi!」絶叫のやり取りも交わせる『セピア』を届けた。「あの坂道を走る」の歌詞に合わせ、ZEROSATSUKI2階舞台までの階段を駆け上がる、そんな遊び心も素敵だ。胸に歌詞やメロディーが響く歌曲のように、フロア中の人たちも、SAKUの歌に合わせて大きく咲かせた手を揺らし、歌詞へ綴ったノスタルジックな想いに身と心を寄せていた。

 

「変わらないものは、ここにあるだろう」。SAKUと観客たちによる熱い声の掛け合い。『とあるアイドルオタクの異常な愛情』が飛びだすのに合わせ、フロア中の人たちがモッシュに狂()じてゆく。手にしたタオルを高く掲げ、くるくるまわしながら歌うSAKU。フロア中の人たちも拳とタオルを振りまわし、心の中に溜まっていた鬱積した感情を絶叫に変え、次々とぶちまけていた。

 

  最後にNICOLASは、一人一人を野生児へ変えるように『悪童会クソッタレ行進曲』を叩きつけ、フロア中を髪の毛が激しく波打つ景色に染め上げた。ZEROの煽り声に合わせ、場内中の人たちが天高く跳ねる、この一体感が最上にエモい。誰もがクソッタレな悪童と化し、悔いなく騒ぎきろうと、4人と一緒に喉が裂けんばかりの声を張り上げ、身体を激しく揺らし、熱狂の宴へ心地好く落ちていった。

 

 「アンコール」と叫ぶたくさんの声が、とても心地好い。アンコールは、悲しみを積み重ねるように歌うSAKUの歌声も胸に痛い『終末時計』から。SAKUの歌声から伝わる絶望感。でも、そこから僅かに光が差せば、その小さな輝きが不思議と涙で心を潤してゆく。とても絶望を抱く楽曲だ。でも、その歌声や演奏は涙の琴線も鳴らしてゆく。何時だって彼らは、絶望や闇を背負いながら果てぬ夢を見続けてきた。この歌はまるで鎮魂歌のようだ。同時に、絶望へ苛まれながらも歩みを止めることを恐れない。そんな人たちの魂を揺さぶる歌だ。熱唱するSAKUの歌声が、痛く心を揺さぶり続ける。

 

  SATSUKIの奏でる、切なさを抱いた嘆きの旋律が鳴り響く。彼らは『ミユキ』でも絶望へ身を浸しながら、切なさを輝きという希望に変えようと歌声の手を伸ばしてきた。終盤では、SAKUと観客たちが「夕焼け帰り道~」と、SATSUKIのギターの旋律を背に、何度も何度も生声で歌う場面も登場。この景色に触れられたことが素直に嬉しい。互いに生きた声を交わしあえる。そんな喜びを奪われた2年以上の時を過ごしてきたからこそ、この景色がとても愛おしかった。

 

「やるか、やんのかよ!!」。SAKUと観客たちとの熱情した声のバトルから、楽曲は熱狂モッシュナンバーの『ブリリアントワールド』へ。2階ステージへ駆け上がり、高い場所から観客たちを煽るSAKU。演奏に合わせ、暴れる観客たち。SAKUの歌へ引っ張られるようにフロア中の人たちが沸き立つ気持ちを全力でぶつけ、その場で舞い上がり、熱狂に溺れてゆく。

 

  NICOLASは、この曲から活動の狼煙を上げた。バンドの始まりを告げた『真昼の蜃気楼』だ。SAKUは、「傷つかないように 傷つけている」と歌い叫んでいた。ゴシップからNICOLASへと形は変わりながらも、4人の胸の内に抱いた魂は何も変わってない。その不屈の闘志とぎらつく欲望、飽くなき探求心を持った夢想家たちの心の叫びに僕らは共鳴し、熱狂のエールを返してきた。そんな想いを改めて感じながら、『真昼の蜃気楼』を歌い奏でる彼らへ向け、拳を高く掲げ、身や心を溺れさせていった。

 

  「ここにいるすべての人間たち以外を、遮断します」。NICOLASは最後に、熱狂バーストナンバーの『遮断』を突きつけ、フロア中をヘドバンの景色に染め上げた。沸き立つ感情を、フロア中へ叩きつけるように歌うSAKU。サビでは、すべての現実を遮断し、ただただ熱情した景色の中で乱れ狂おうと誘っていた。SAKUが高らかに叫ぶたび、気持ちが解き放たれ、天へ天へと頭を振りながら舞い上がれる。そんな気分を覚えながら、メンバーと観客たちが狂ったようにヘドバンし続けていた。

 

  止まぬ声を受け、メンバーらはみたび舞台へ。最後の最後にNICOLASは、ゴシップ時代の『【Psycho≠pas $】』を突きつけた。この日は、たくさんのゴシップの曲も差し挟んでいたが、まさか最後の最後に轟音と絶叫に身をひれ伏す『【Psycho≠pas$】』を持ってくるとは。まさに、クソッタレたちが帰ってきた。彼らがフロアに描いたヘドバン/折り畳み/咲く熱狂の景色は、4人が心の叫びを止めない限り、消えることはない。この4人の繋がりはとても長く深い。形を変えながらも、4人の意識はいつまでもクソッタレなガキ共であり、最高の悪童たちだ。それを最後に示してくれたことに、ニヤッとしてしまったよ。

 

  「俺たちがやる限り、NICOLASだ。覚えとけよ」。興奮覚めやらぬどころか、冷静さを失くしたSAKUが、またも「お前たちを遮断します」と叫んだ。完全に予定外の展開だ。メンバーらも即座に対応し、ふたたび『遮断』を演奏。「遮断 遮断」の絶叫した声を交わしあい、この空間へ凄まじい熱情した景色を描いたうえでライブの幕を閉じていった。さすが悪童たち、予定調和なんて言葉はいくつになっても通用しないようだ。

 

 

 

PHOTO: A.Kawasaki

TEXT:長澤智典

 

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<セットリスト>

 

NICOLAS「KUSOTTARE IS BACK 2022 “天獄への階段”」

2022.11.13日(SUN)東京キネマ倶楽部

 

01.UMBRA

02.INSANITY NIGHTMARE

03.因果応報

04.VITAL SIGNS

05.赫い部屋

06.腕

07.「廃論破」[Burst ver.]

08.ベビーシッター

09.罠

10.モザイク

11.奇想天外ブラインドラブ

12.ECHO OF SILENCE

13.Delighted

14.残歌

15.クソッタレ イズ バック

16.セピア

17.とあるアイドルオタクの異常な愛情

18.悪童会-クソッタレ行進曲-

EN

19.終末時計

20.ミユキ

21.ブリリアントワールド

22.真昼の蜃気楼

23.遮断

WEN

24.【Psycho≠pas$】

25.遮断

 

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<ライヴ>

 

ONEMAN

20221203() NICOLAS「戦ッテ死ネ!! –血塗レノ夜

20221204() NICOLAS「戦ッテ死ネ!! –黒ク染マッタ夜

20221228() NICOLAS「進化論2022

20221231() NICOLAS「蜃気楼」

20230109() NICOLASNEW YEAR HEAVEN ’23

20230110() NICOLASNEW YEAR HELL ’23

20230209() NICOLAS「集会2023~完全体になる日~」

20230512() NICOLAS「悪童会限定GIG(FC ONLY)

20230513() NICOLAS「野郎限定GIG(BOYS ONLY)

 

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EVENT

 

20221210()club SONIC mito SONIC PRESENTS Rosy Logic PREMIUM –悪童たちのかくれんぼ

20221217()東高円寺二万電圧 「学級崩壊」

20230121() 二万電圧presents”衝動

20230123() ゼラ×NICOLAS 2MAN『獅子廻戦』

20230128() マチルダ vs NICOLAS 2MAN 『ニコルダ』

20230204() NICOLAS × VIRGE × XANVALA 3MAN「裏切りのサーカス」

 

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OFFICIAL SITE】 https://nicolas-psycho.com/