<インタビュー>【deadman】3月20日より東名阪クアトロサーキット<deadman 2023 tour 「Rabid dog walking a tightrope」>開催。会場限定で先行発売される新作アルバムと無料配布音源を、先取り解剖。
NEWS - 18:00:25
2023年も精力的な活動を続けるdeadman。
現在のサポートメンバーと共にレコーディングを行った最新アルバム「dead reminiscence」と、3月20日より行われる東名阪クアトロサーキット<deadman 2023 tour 「Rabid dog walking a tightrope」>にて無料配布される音源の内容詳細が先日解禁となったが、今回はこの2作を解剖するべく、インタビューを行った。
アルバム「dead reminiscence」はライブでの定番曲を、現在のサポートメンバーであるkazu(the god and death stars/gibkiy gibkiy gibkiy)、晁直(lynch.)と共にレコーディング。
曲によっては大胆なリアレンジも施され、「現在進行形のdeadman」を体感することが出来る作品だ。
6曲が収録され、その全曲のORIGINAL KARAOKEも収められており、「純粋に演奏のみのdeadman」を楽しむことは勿論、卓越した演奏力を誇る彼らの魅力も堪能できる。
この作品はツアー会場にて先行限定発売、ツアー終了後に通販限定で販売となる。
サブスクリプションでの配信予定は無く、「CDでの入手」でしか聞くことのできない希少価値の高いアイテムである。
東名阪クアトロサーキットでは「現編成のdeadman」による新曲「rapid dog」が無料配布される。
「現在のdeadmanは何か、と問われれば『この楽曲』と言い切れる」と先日行われたFCツアーのMCでaie(G)が断言する仕上がりとなっている。
晁直の重量感満載ながらに疾走感溢れるドラムの上を、kazuのテクニカルなフレーズが縦横無尽に駆け抜けるこの楽曲を入手するには、このツアーに足を運ぶしかない。
インタビューにて明かされる、音源に対するエピソードと想いを受け取って頂き、是非会場へ足を運んで頂きたい。
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──2022年1月に発表されたリテイクベスト盤『I am here』に続くかたちで、このたびは現ツアーサポートメンバーであるkazuさん、晁直さんをまじてえのリテイク作となる『dead reminiscence』があらたに完成しました。こちらは[deadman 2023 tour『Rabid dog walking a tightrope』]を踏まえての作品でもあるようですけれど、復活以降ここまでかなり活発に活動して来ているdeadmanにとって、今作に託したのはどのような想いになるのでしょうか。
aie:前作の『I am here』は2006年当時の体制を再現したメンバーでのリテイクだったんですけど、やっぱりこのところずっとkazuさんと晁直と一緒にライヴをやって来ている中で、いろいろ「今ならこうするよね」って曲のアレンジに変化が生まれてきたところがあるんですね。それで、今回は今のライヴをやっている4人でレコーディングをしようということになったんですよ。選曲に関しては僕と眞呼さんの方であらかじめ何曲か決めつつ、あとはkazuさんと晁直にも「何かやりたい曲はあります?」って訊いたうえで今回の6曲に固まっていきました。
──ちなみに、aieさんと眞呼さんのおふたりがマストで入れたいと考えられていた曲はどちらになるのでしょう。
aie:「銀のパラソル」とか「聖者の行進」ですかね。「through the looking glass」とか「family」はkazuさんと晁直の意見が反映されたところで、だいたい半々くらいのバランスでこの6曲になった感じだったと思います。
ーー眞呼さんとしては、今作『dead reminiscence』に対してどのようなヴィジョンを持ちながら制作に向かわれることになったのでしょうか。
眞呼:前作『I am here』との大きな違いはリズム隊が違うという点なので、そこが変わるということは必ずdeadman全体としての音も変わってきますからね。演奏する人間が変わるとどれだけ変わるのか、みたいなところが前面に出たら良いなと考えてました。曲自体のつくりは全く変わっていないとはいえ、ライヴを通してちょっと攻撃的なニュアンスが増して来ている曲たちも多い気がしたので、そこをリテイクの音でも出せれば良いなと思っていたんです。そして、以前と比べるとわたしたちもちょっと大人になってしまったので(笑)、もっと深い表現が出来るようになったところもあると思うんですね。そこも出せれば良いなとは感じていましたが、でもそれも強く意識していたというよりはうっすらとしたものではあった気がします。実際には現場でレコーディングを始めてみてから、あらためて感じたことの方が多かったかもしれません。
──曲調や雰囲気が変わるほど劇的にアレンジが異なっているとか、テンポが異様なほど激変したというわけではないものの、過去音源と比べると曲によってダイナミクスが増大していたり、奥行き感が深まっていたり、圧が高まっていたり、味わい深さが濃くなっていたり、という変化が音の中に生まれているところが聴いていては非常に興味深いです。
aie:まぁ、オリジナルの音源たちからは20年とか経ってますからねぇ。「in media」と「lunch box」に関しては2001年のリリースでしたし。
──シングル『in media』の表題曲とカップリングが「in media」と「lunch box」だったわけですものね。そこから数えると22年も経っているとは…!
aie:20年以上も経ているということはスキルアップもしているわけで、そこも含めて「あの当時の曲たちを今のdeadmanが録ったらこうなるよね」という音になっているんじゃないかと思いますよ。
──なお、先ほど眞呼さんは「以前と比べるとわたしたちもちょっと大人になってしまったので」と発言されていましたけれど、そこは「成長することが出来た」という感覚とはまたどこか違ったりもするのですかね?
眞呼:あぁ、成長という意味ではまだ成長をしているんだなということは自分でも感じるんですけどね。でも、自分からどうこうして変わったわけじゃないんですよ。だから、言葉としては「こうなってしまった」という言い方の方が自分としてはしっくり来るというか。ここまでに刺激的で無難ではなかった経験、決して順風満帆ではなかった過程をいろいろ経てきたことの影響が大きいという意味で、自分が意図して変わったのとは違うということなんです。
──なるほど。aieさんの場合、今作『dead reminiscence』を録ってみて自覚的に変化したところを感じた部分は主にどのようなところだったのでしょうか。
aie:それこそオリジナルを録った当時というのは、基本的に「ライヴで再現出来ないものはやるべきではない」という考え方だったと思うんですよ。ギターも1本しか入れてなかったりとか。でも、その発想は10年くらい前に変わって「音源とライヴは別物だよね」って考えるようになったんです。だから、レコーディングでは音源としてより良いものになるようにいろんなことを試したりするようになりました。だけど、これは前の『I am here』を録った時のインタビューでも言ったんですけど、歳をとったから“置きに行く”みたいなのは絶対イヤで。それもあって「lunch box」なんかは「テンポ上げてやろうぜ!」ってなったんですよ。それだけに限らず、今回は大体どれも原曲よりは全部ちょっとテンポ上がってます。気持ちとして「若いヤツには負けないぜ!!」っていうのがあるんですよね(笑)
──今だからこその貫録が端々から滲み出ている反面、野心あふれるギラつきがダダ漏れているところも実に絶妙だと思います。
aie:エネルギッシュに行ってるんだけど、演奏面では大人の魅力も見せつつという感じで、自分としても楽しくレコーディング出来ました。
眞呼:1曲に対して、新しいフレーズとかアイディアが幾つも出て来てましたもんね。
aie:そうそう!「これ新曲として使えたじゃん!」っていうのがわりといっぱいありました(笑)。deadmanではあらかじめ細かく考えたりはせずにスタジオに入って、現場でフレーズとかを決めて録っていくことが多いんですけど、眞呼さんと一緒に作業しながら「このフレーズだったら新曲作れるんじゃない?」みたいなことがけっこうあって。
眞呼:ちょっと「もったいないな」と思っちゃいました(笑)。中には「このフレーズだったら違うメロで歌ってみたいな」っていうものもあったりしたんですよ。
aie:大丈夫です。多分、そのフレーズで別に新曲作ってもバレないと思うんで(笑)
──過去曲のリテイク作業が、ともすれば新曲の創作にもつながったというのは生産効率の面で非常に優秀ですね(笑)
aie:これまでもそうでしたけど、deadmanは偶然から曲が生まれることが多いんですよ。即興性とかインプロに近いというか。
──そういえば、先日lynch.の新譜インタビューをした際に晁直さんが「deadmanではサポートですけど作曲にも参加していて、あっちはスタジオにみんなで集まって練り上げていく感じなんですよ。それってlynch.の正反対だから、なんか新鮮というよりは不思議な違和感があるんですよね」とおっしゃっていました。
aie:また、今回はこっちのレコーディングが相当ドタバタだったんですよ。年末年始をはさんでいたせいか、時間の感覚が若干おかしくなっちゃってたんでしょうね。「締切は来年だからまだまだ先じゃん」と思っていたら、来年なんだけど実は来月でたった1カ月先っていうことにあんまり気付いてなかったんですよ(笑)
──錯覚が起きてしまいましたか。
aie:だから、ふと気付いたら「全然時間ないじゃん!!」という中でレコーディングのスケジュールを組んでいくことになったんで、晁直の録りにも僕は立ち会えなかったんです。要は「一か八かでお願いします」っていう状況だったんですよ。
──なかなかそれは痺れます。
aie:晁直は、事前に「(曲の)サイズもし間違ってたらごめんなさい!」って言ってましたね。でも、それはそれで「そっちに合わせるから大丈夫!」っていう感じでやっていきました。録ったモン順で決めましょう、っていう。きっと、晁直も今までやったことないことをやるっていう意味では楽しいんじゃないのかなぁ。
──長い歴史、長いキャリアに裏打ちされたdeadmanだからこその独自アプローチがこの他に類をみない音を生み出しているのだと考えると、なんとも感慨深いです。
aie:緻密には作ってないですけど、僕のギターも眞呼さんのコーラスワークも、その場でいきなり即興的にやって“ああなって”ますからね。kazuさんと晁直の音が入った時に「じゃう、こうやろう」って瞬間的に感じたことを、そのままレコーディングしたり。曲によって入ってる眞呼さんのいろんな恐ろしい声とかも、現場で何パターンか録って一番良かったヤツを選んでるだけなんですよ。
眞呼:良かったというか“一番笑ったヤツ”を選ぶよね(笑)
──そのくだりが今作で最も顕著にうかがえるのは「through the looking glass」であるように感じます。あの希有なヴォーカリゼイションをしていくうえでは、スタジオでマイクを目の前にした時に“何かが降りてくる”ようなこともあったりするのでしょうか。
眞呼:降りてくるということであれば、多分ライヴの時の方が降りて来ているような気はしますね。レコーディングではそのままストレートにやっているだけです。
──ストレートとはいっても、たとえば「銀のパラソル」で聴けるオクターブ上下のダブルヴォーカルからは凝った演出性も感じられますし、原曲以上に濃密な空気間が醸し出されているように感じます。
aie:あれは当時のお客さん目線じゃないですけど、今回のを聴いて「前やってたアレがなくなってんじゃん!」とは言われたくなかったので(笑)、一応オリジナル音源を何度か聴いたうえで原曲に入っていた要素も押さえつつ、新しいものも入れて不必要なものは削る、という感じで作っていきましたね。感覚としてはセルフオマージュに近いのかな。
──古今東西、リテイク作品については「作り手側の録り直しをしたい意図」と「オリジナルを知る聴き手側のこだわり」が場合によっては衝突するケースが少なからずありますので、おそらく仕上げていくうえでのサジ加減はとても重要だったのでしょうね。
aie:確かにありますもんね。聴いてみたら「そこは変えて欲しくなかったー」っていうパターンが(苦笑)。そこはいろんな先輩たちの音源を聴いて自分も感じて来たことなので、やっぱり出来るだけお客さん目線は忘れないようにしたいと思ってます。攻撃的なところをはじめとして、決して「丸くなってないぞ!」というところはもちろん今回も全曲で大事にしてます。
──それから、これは眞呼さんにうかがいたいことなのですけれど。昨今のライヴで頻繁に歌っているものが多いとしても、レコーディングの場で約20年前の曲たちをあらためて歌ってみた時に、それぞれの歌詞たちに対して何か“今になってみて”感じるものはあったりしましたか。
眞呼:今になって思うと、そこは「神経質だったんだな」という印象を客観的に感じるところはありますね。
──神経質とも言えますし、もっと言葉を選ばずに言えば「病んでいる」感が色濃いように感じられたりもして。
眞呼:病んでますかねぇ。病んでるんだとしたら、ずっと病んでますけどね。根底はそんなに変わってないと思います。でも、さっきも言ったように客観的に見られるようになったところはあるので、そこは良くもあり悪くもあるところなのかもしれないです。それを自覚したうえで、自分の内側から出て来たものを歌にしていったのが今回のレコーディングだったんじゃないかと思いますね。
──先ほどのお話ではかなりのご多忙ぶりだったとのことでしたけれど、aieさんは眞呼さんの歌録りには立ち会われていたのですか?
aie:はい、それは出来ました。眞呼さん、レコーディング早いんですよ。1回歌って終わり、みたいなことばっかりでしたね。
──ディレクションもaieさんがされたのでしょうか。
aie:してますけど、基本は眞呼さんが自分でジャッジしてそれのOK待ちをするような感じでしたし、僕としてはピッチが合ってる・合ってないみたいなことよりも、とにかくカッコ良いかどうかっていうところだけをジャッジした感じですね。我々のバンドでは鍵盤の音では出ないようなメロディーとか、音楽理論的に言うと「それ合ってんの?」みたいなところも表現として必要なら普通によしとするので、そのへんはエンジニアの考え方とか含めてけっこう難しい面はあると思うんですよ。それでも、我々の感覚でアリなんだったらdeadmanとしてはそれが正解なんです。
──そこを貫いてこそのオリジナリティが、この『dead reminiscence』にも詰め込まれているわけですね。
aie:綺麗なものは求めてないんですよ。自分たちがプロなのかアマチュアなのかはイマイチまだよくわかってないですけど、昔は「綺麗なものを作るのがプロ」だと思ってたし、たとえば「メジャーデビュー出来るんだったら、ある程度は譲ってあげてもいいよ」とか思ってた時もあったんですけど、20年も経つとそのへんはもはや良くわかんなくなってきちゃって(笑)。音楽理論的に間違ってようが、自分たちがカッコ良いと思うならそれでいいんじゃないですか?っていうところに落ち着きました。だから、人によっては不快な音が入ってるって感じるケースもあるかもしれないです。
眞呼:人によって声は周波数が違いますしね。決められた周波数を必ず出せるわけじゃないし、たとえば鍵盤で音を出して「この音程で」って言われたり、数字で「440Hzで」って言われても、実際に人が歌うと全然違ってたりしちゃいますから。
aie:人間の声や楽器の音は12音階だけではおさまらない、ということなんですよ。
──むしろ、正確な音程で歌ってくれるボカロは調教して人間の声に近い揺らぎやファジーな要素を与えないと駆使することが難しいとされているくらいで、音楽の醍醐味は曖昧なところにあるとさえ言っても過言ではないように感じます。
眞呼:そういう意味から行くと、deadmanの音楽は民族音楽に近いのかもしれません。
aie:インドスケールみたいなものですかね。西洋音階の1/3があるみたいな(笑)
──そうした良い意味での心地良い音の揺れや、ヒューマンなグルーヴが存分に活かされている曲としては「family」も聴き応えのある仕上がりで、特にイントロとアウトロでのギターの“いななき具合”はすこぶるエモいです。
aie:あれも完全に出たとこ勝負でしたねぇ。要は(フィードバック)ノイズなんで、どれをOKにするかっていう判断はちょっと難しかったですが、3回くらい録って最もカッコ良いなと感じたものを感覚で選びました。
──「family」については中盤のギターソロも必聴ポイントかと思います。deadmanの楽曲においてのギターソロは必ずしも聴けるものではないということもありますし、何より熱量の高さがカオティックな音にそのまま顕れているところが素敵です。
aie:特にあの当時はほんとアンチギターソロな人間だったんで、常に「ギターソロとかいらなくないっすか?」っていう考え方だったんですけど、これに関してはエンジニアに「ここ弾かないんですか?入れてみます?」って言われて弾きましたね。
──その一方で、「銀のパラソル」のソロはブルージーなテイストがやけに沁みます。
aie:あれはですね、別件でBOØWYのコピーを本気でやってた時期の影響が出た音になってます(笑)
眞呼:(笑)
──aieさんのギターがブルージーだとすると、眞呼さんの歌はどこかメロウで、その両者が織りなす陰影をこの「銀のパラソル」では堪能することが出来ますね。
眞呼:なんか、自分としては今回の「銀のパラソル」は俳優が違う感じと言ったらいいのかな。そこまで若くない俳優ですね、この曲の中にいるのは。若いと勢いはある反面どうしても一方的な部分が出てきちゃって、ガサツさが目立ちがちなんですけど、同じ物語をもっといろんな映画に出た経験のある俳優が演じたらどうなるのかな、という捉え方で聴いてもらうのが良いんじゃないかと思います。
──かくして、今作『dead reminiscence』の最後を飾るのは名曲「聖者の行進」です。アゲ倒しのキラーチューン「lunch box」で始まり、聴き入るしかない「聖者の行進」で終わるというこの流れも含めて、今作はつくづく秀逸ですね。
aie:この曲順に関してはライヴのセトリを作るのに近い感覚で構成していったところがあって、始めから1曲目は「lunch box」にして「聖者の行進」で終わるということだけは決めてました。
──「聖者の行進」は、原曲よりもさらに音や歌から伝わってくるものの総量が増えたように感じます。
aie:当時やりたかった音楽って、今と変わってないと思うんですけど、あの頃は背伸びをしていたところがあった分、まだちゃんと曲を乗りこなせていなかったんでしょうね。それを今になってやっと乗りこなせるようになった、ということなんだと思います。今回のレコーディングで弾いてみて思いましたけど、「in media」も「聖者の行進」も、冷静に考えたら「こんなの20代前半とかで弾けるわけないな」って思いましたもん(笑)
──眞呼さんは今回「聖者の行進」をリテイクしてみて、どのような感情を得ることになりましたか。
眞呼:そうですねぇ…ちょっとは玉置浩二に近付けたのかなと(笑)。表現者として、前よりも深みのある歌を歌えたという手応えがありました。
──比喩にはなってしまうのですが、今回の「聖者の行進」はきちんと出汁をとったお料理になっているように感じられますね。ダシの素を使った料理ではなく、上質な昆布と鰹節で丁寧にひいた出汁を使った一品料理のようです。
aie:あぁ、そうかも。無添加ですね、これは。
──かといって、人工的なダシの素が悪いのかというと全くそうではなく、あれはあれで味にメリハリがつきやすいので使い方によってはとても良いものなのですけれど、しみじみと味わうには無添加な出汁の方が適している、ということだとは思うのですよ。
aie:なるほど、凄いな。オリジナルを録った当時のドラマーだったTokiくん、お父さんがダシの素を作ってる会社に勤めてたんですよ。そうか。彼が脱けたので我々は無添加になったんですね(笑)
眞呼:(笑)
──いやはや。オチがついたのか、ついていないのか、どうもよくわからない状態になってしまいましたが(苦笑)、ここで『dead reminiscence』という作品タイトルを冠した理由についても解説をいただけますと幸いです。
aie:今年、ファンクラブ会員限定のライヴを開催んですけど、その時は「復活以降やっていない曲だけで固めていくぜ」みたいなテーマでやったんですね。で、実はその時のライヴタイトルが[dead reminiscence]だったんですよ。今回のアルバムはあのライヴとやってることもテーマもほぼ一緒たがら『dead reminiscence』にしました。
──それゆえ、3月20日からのツアーは『dead reminiscence』とは被らない[deadman 2023 tour『Rabid dog walking a tightrope』]というタイトルになっているのですね。
aie:先に[dead reminiscence]と題したライヴをやって、同じタイトルのアルバム『dead reminiscence』を出して、そのリリース直後に別タイトルでツアーをやるっていうのも、なんかヒネくれてていいのかなと。
──『dead reminiscence』は通販と今回の東名阪ツアー[deadman 2023 tour『Rabid dog walking a tightrope』]の会場限定販売になるそうですし、そのうえ
今回は全会場にて新曲音源「Rabid dog」が無料配布になるのだとか。いちはやく聴かせていただきましたが、こちらは『dead reminiscence』の収録曲たち以上に異様なほどアグレッシヴな仕上がりになっておりますね。
aie:そうなんですよ。これは完全な新曲でして、まさに「まだまだ元気っすね」という感じの曲になってます(笑)。ここでも置きには行きたくなかったですし、とにかく攻めの姿勢を打ち出したいという気持ちで作っていきました。そもそも曲としては“サビがない”っていうのもひとつのテーマだったんで、いきなり激しく始まって、そのあとに凄く良いBメロが来るんだけどサビはない、っていう曲にしたんです。
──斬新にして先鋭的な曲になっているのはそのためだったのですか。
aie:眞呼さんにも「サビは必要ないんじゃないですか」と最初から伝えてたんですよね。そうしたら、眞呼さんがラップをすることになり、流通かけたシングルとかだったらまずあり得ないような感じになったんですが、まぁ別に無料で配るんだから誰も文句はねーだろということで好きなようにやっちゃいました。
眞呼:そこは歌詞もですね。日本人一般が聴きやすいようにとか、わかりやすいようにとかは一切考えませんでした。
──きっと、曲調はもちろんのこと、この殺伐とした歌詞の内容についても、コアであればあるほどファンの方々は「これぞdeadman」と感じられることでしょう。
眞呼:ただし、意味合い的には一番この曲の中で言わなきゃいけないことがBメロのところで英語になっちゃってますけどね。そこは皆さんに汲み取っていただきたいところでもあるので、ひとつよろしくお願いします。そこは日本語にしちゃうとニュアンスが微妙に変わってしまうので、こうするしかなかったんです。
──その英語の部分を踏まえるならば、日本語の歌詞中にみられるある種のグロテスクな表現たちは、なるべくしてその状況が生み出されたことになりそうですね。
眞呼:はい。なるべくしてそうなってます。ショッキングな言葉を並べたかったわけではなく、ショッキングな言葉を並べざるを得なかったんです。そして、少しだけ解説するならBメロの部分は加害者と被害者がどちらからも言っている言葉なんですよ。そこを踏まえて聴いていただけるとわたしとしてはありがたいです。
──つまり、この「Rabid dog」というタイトルは…
眞呼:言葉の意味としては狂犬病っていうことですけど、この詞の中に出てくる人物がそれなのか、それとも世間の方がそれなのか。そして、狂犬病とか狂牛病とかクールー病には共食いが影響している要素もあるんじゃないかとわたしは思っているんですが、それも自ら臨んでそうしたのか、気付かないうちにそうさせられるようなことになってしまったのか、ということも関係してくるような気がしてます。
──ひと筋縄ではいかない世界が描かれているのですね。いずれにしても、音も詞もこの「Rabid dog」が持つ殺傷能力の高さには圧倒されます。
aie:これね、レコーディングしてたら僕は腱鞘炎になりました!
眞呼:わたしはこの間のファンクラブ・ライヴで初めてこの曲をやった時、ラッブの部分とかが息継ぎをするのが難しくて大変でした。歌っているうちに「呼吸が無理!」ってなっちゃいましたね(笑)
aie:「Rabid dog」はメンバーに対しても殺傷能力が非常に高いです(笑)
──では、最後にそんな「Rabid dog」も演奏していくことになるはずの東名阪ツアー[deadman 2023 tour『Rabid dog walking a tightrope』]に向けて、おふたりの抱負をぜひうかがわせてくださいませ。
aie:今のところ年内に決まっているのはこのツアーだけですし、多分このあとにもまた決まっていくかもしれないですけど、間違いなくこの東名阪ツアーはdeadmanにとっては大事な場になっていくと思います。自信作のほぼ新しく生まれ変わった6曲もあるし、完全な新曲「Rabid dog」もあるし、それをおりまぜながらのザ・deadman的なライヴになっていくんじゃないですかね。
眞呼:直訳するとこっちのツアータイトルは“綱渡りをする狂犬病の犬”なんですけどね。現状、今わたしたちが生きてる中で「これが正義だ」とか「これが悪だ」とか、あるいは「論破できることが正しい」とか「口をつぐんでいるものは弱い」とか。なんか、そういうのって凄く気持ち悪いんですよ。気味が悪いんです。その感覚を言葉にしたらこういうことになったんですが、こういう世の中で生きていると自分たち自身もみなさんもきっとフラストレーションは溜まっているだろうなと思いますし。それだけに、ライヴの空間ではお客さんたちとみんなで叫んだり、そこがみんなにとっての居場所になって、自由に楽しめるようにしていきたいです。あなたにとってもわたしにとっても、その空間を本来の自分であれる場所にしていきましょう。
取材・文:杉江 由紀
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≪リリース情報≫
★NEW ALBUM 「dead reminiscence」
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<収録曲>
1.lunch box:2.0
2.in media:2.0
3.銀のパラソル:2.0
4.family:2.0
5.through the looking glass:2.0
6.聖者の行進:2.0
7.lunch box:2.0(ORIGINAL KARAOKE)
8.in media:2.0(ORIGINAL KARAOKE)
9.銀のパラソル:2.0(ORIGINAL KARAOKE)
10.family:2.0(ORIGINAL KARAOKE)
11.through the looking glass:2.0(ORIGINAL KARAOKE)
12.聖者の行進:2.0(ORIGINAL KARAOKE)
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全作詞:眞呼 全作曲:aie 全編曲:deadman,kazu,晁直
品番:DCCA-115 価格:3,850円(税込)
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※3月20日、東京渋谷クラブクアトロ公演より会場限定先行発売。
※3月11日19時よりMAVERICK STOREにて通販受付開始、
※発送は4月17日以降となります。
通販詳細はMAVERICK STOREにてご確認下さい。
https://www.maverick-stores.com/deadman/
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<ライブスケジュール>
<deadman 2023 tour 「Rabid dog walking a tightrope」>
2023年3月20日(月) 渋谷 CLUB QUATTRO
2023年3月26日(日) 名古屋 CLUB QUATTRO
2023年4月16日(日) 梅田 CLUB QUATTRO
※全会場にて新曲「rapid dog」音源無料配布あり。
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【チケット絶賛発売中】 https://bit.ly/3YIdvWh
※スマチケ(分配可)・紙チケット併用/1人2枚まで/同行者登録有り
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