藍-AI-
2018/07/17 (Tue)「藍-AI- コラム「FREAKOLOGY」vol.10」
「DARXNESS」楽曲解説 Part 2
さてさて前回に引き続きましてアルバムの解説をしていこうと思います。
過去のコラムを読み返していたら、「世の中に作品がまだ出てないのに曲の解説するのってなんかダサくてやだ」
と、現在の執筆を全否定することを書いてましたが、きっと多分当時は闇に包まれていたのでしょう。
全く困ったお人だこと。取り敢えず前言撤回!気にすんな!
ではでは参る。
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●M-7.「UNFORGIVEN」
仮タイトルは「EMONCHAN 28」。
この曲はアルバムを作るぞーってなってから最後に出来た曲です。
日々曲を書いてはいるのですが、音源の制作中に急に曲のアイデアが降ってくる事が度々あって、
その出来とか雰囲気とかアルバム全体の流れとか色々なことを考慮して、
元々アルバムに収録予定だった曲と入れ替えました。
所謂、ミディアムテンポのパワーバラードといえばわかりやすいかと思います。
ゴツッとしたリフに哀愁漂うフレーズや美しく悲しいメロディで、
こういう系統の作曲は得意な方で、DEATHGAZEの時もよく作っていましたが、
作ろうというよりも先ほど述べたように降ってくる時が多く、自己解析ですが、
その時の精神面とか感情によって思いつくのだと思います。
簡単にいえば疲れてたとか追い込まれてたとかですかね。
で、嘆いてたんです。きっとそう、だから嘆きたかった!
そういう感情のまま歌詞を書いたので、一番抽象的で深い曲に仕上がったと思います。
「UNFORGIVEN」=「許されていない」という意味で、過去もこれからの未来も、
折り合いのつかない絶対に許されることのない、社会や人間の脳や細胞に刷り込まれた、
善悪に対する嘆き、そんな世界でも美しいと思える、思い込まないと正気を保てない葛藤みたいなモノを表現している感じです。
曖昧なテーマで小難しい印象を与えるかと思いますが、抽象的であるからこそ各々が感じたままに、
色んな解釈や感情が広がるので、楽曲という作品として素晴らしいモノが出来たと思います。
「止まない 雨もあったのでしょうね」という歌詞が深いような気がして好きです。
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●M-8.「HAZEN BLOOD」
仮タイトルは「HAZE」。
「HAZE」=「かすむ(もや)」とか「ぼんやりする」とかの意味で、「N」が付く単語はなく、
「HAZEN」だと人名になってしまうのですが、タイトルの意味は人名ではなく、
「ぼんやりと消えかかっている血」的な造語です。
ライブの後半に流れを一気に変えてぶち上がる曲が欲しくて作りました。
自然と頭が振りたくなるテンポやリフで、特にリズムに抑揚を持たせることで、
静と動のパワーを詰めた激しく美しい正に王道の楽曲です。
この曲の必聴ポイントはギターのハモリパートで、Bメロ、サビ、ギターソロで随所あります。
歌のメロディにギターで裏メロという違うメロディを絡めて、曲全体のメロディを引き立たせており、
タイトにリズムを刻むことで曲をグイグイ引っ張って激しく美しくしています。
「夢は夢のままで」という歌詞が随所ありまして、これも嘆きに近い表現をしておりますが、
「今のままで良いのか?」という自問自答でもあり、「このままじゃいけない!」という気持ちで、
何とかしてでも前に進みみんなの手を取り夢を掴んでやろうというような、
熱い心とか魂とかのこもった曲です。熱き血潮、目指せ甲子園的なノリです。
人生においてバンドもスポーツもはたまた料理だって同じだと、よくそんな例え話をします。
それを書き始めると大変長い文章になるのでやめておきますが、
要するに「自分の好きな事で夢を掴みたいなら諦めず自分が頑張れ」ということです。
逆に厳しくいえば「結果が出てないなら頑張ってないのと同じ」ということです。
この二つのことをいつも自分に言い聞かせてます。
そんな想いを乗せたこの曲で、家でもライブでもぶち上がってください。
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●M-9.「FROZEN DAYS」
仮タイトルは「いつも雨」。
デモを作る時にデタラメな歌詞でメロディを乗せるのですが、
メロディが思いついたと同時に「いつも冷たい 雨に打たれながら」という歌詞がハマったのでそのまま採用しました。
「いつも冷たい雨に打たれる」なんてこと実際にはありませんし、特にヴィジュアル系の歌詞ではよくある
表現で、また雨に打たれる曲かよって心のねじ曲がった人は思うかも知れませんが、
大切な人や感情や想い、風景を表現する比喩としてとても良いフレーズだと思います。
あと、よくある歌詞が乗った数々の楽曲の中で、その代表曲にしてやろうという意気込みも含まれてます。
サビのメロディの歌から始まる曲で切ない歌詞と物憂げな綺麗なメロディと構成に仕上がってます。
この曲もギターの裏メロ(オブリ)が一曲を通して絡んでおり、歌詞に乗せた想いを後押ししてくれてます。
非常にシンプルな構成ですが、うっすらとアコースティックギターを重ねたり、音を空間系のエフェクトで
少しぼかしたりすることで、サウンドに厚みと広がりを持たせて、歌が一番力強く届く感じに仕上がってます。
「それでも君がいい」という歌詞がキラーワードでお気に入りで、それを言うために出来た曲でもあります。
ついでにそんなことを言われたい女子、言ってみたい男子にうってつけでもあります(笑)
心を奪う言葉は想いのままストレートなんです。
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●M-10.「DEAD INSIDE」
仮タイトルは「METALLICA」。
これはもう皆さまご存知、記念すべきDARRELL 1st SINGLE曲です。
ソロからバンドDARRELLになるという節目に、これしかない!という強い想いで作り上げた曲です。
数あるヘビーサウンドのバンドの中で、DARRELLの武器はなんだ?とか、もうヘビーな音楽は出尽くしてしまった中で、
それでもヘビーサウンドが好きで、どうしてカッコいいと思うのか?とかを自問自答して出した答えが「DEAD INSIDE」。
自分の中でカッコいいと思うモノはシンプルでストレートな楽曲が多く、無駄にも思えるアンサンブルを全部取り除いた結果、
「誰でもやれそうな曲だけど実際は難しい」曲という結論に至ったのです。
これはアーティスト目線での解釈です。
シンプルで簡単そうなギターリフですが、これを一曲丸々ダウンピッキングで引き倒すのは至難の技ですし、
タイトなリズムほど正確さや感情の表現が求められます。
歌も大したことなさげですが、メロディの少なさと言葉から、曲のパワーを捻じり込むという気合にも似た荒業が
求められるのです。大変です。
まあ、そんなことはさておき。
時代は何度も何度も巡り繰り返すものです。
先ほど述べた無駄にも思えるという部分は、音楽だけではなく色んな所にあると思います。
例えば、食べ物。もう材料の時点で完全に美味しいのに、更なる美味しさを求めて工夫を凝らしますよね。
それが悪いわけではなく、新しいモノを作り上げる創作という部分では素晴らしい努力だと思いますし、
今まで積み重ねてきた経験には感服いたしますが、
創作に没頭するあまり、大切な部分を蔑ろにしてしまっていることがよく見受けられる気がします。
そうなると便利なことに人は原点に立ち戻ろうとします。
旨い肉はさっと炙って塩だけでええんじゃ!的にね。生でええんじゃぐらいね。
それを曲に当てはめたのが「DEAD INSIDE」だったりします。
真にカッコいい音楽の、自分の原点。
その意味を込めて「心が死んでいる」けど更に殺しに来い!カモンベイベー!と叫んでおりますです。
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●M-11.「QUINN」
仮タイトルは「EMONSAN 22」。
この曲も言わずと知れたDARRELL 2nd SINGLE曲です。
このイントロのギターリフはよくあるようであんまりないフレーズで、
これに似たリフからかっこよく仕上げられている楽曲はほとんどないと思われます。
要するに自信作です。
ヘビーで重いリフではありませんが、スラッシュでスピーディーで激しく、曲の構成や流れ、
メロディとシャウトの加減に至るまで、完全にカッコいいところしかない曲だと思います。
「QUINN」を発売する時のインタビュー等で「QUINN」の意味を聞かれる事が多々ありまして
(「QUEEN」と間違われてる事も多々ありました)、もう既にご存知かと思いますが、これは人名です。
「ピンクの焔を纏った人のカタチをした翼」とでも言いますか、そんなイメージから「QUINN」という
女性の名前を拝借しました。イメージにあってたら「ヨシコ」や「タマエ」になってたかも知れません。
「残酷な世界が眩しすぎて 死ぬにはつまらなくて」というフレーズが良くて、
「残酷な世界」とは所謂、現世界のことで、全人類だけでなく地球上の生物の全て、更には植物やウイルス等々、
どこにでも争いや悲劇があって、まるで火花が散るように眩しく時には美しくも思えて、それが普通なんだと、
普通に思い普通に生きて普通に死ぬのはつまらないという、回りくどいにも程がある言い回しの歌詞ですが、
我ながらとても素晴らしいと思ってます。
それを「全て薙ぎ払え」というのが堪らなく良い。「焼き尽くせ」でも「死にさらせ」でもなく、
「薙ぎ払え」がベスト。
ちなみに「DEAD INSIDE」と「QUINN」のギターソロはなかなか一品です。
ナイスゴリラ。バナナあげる。
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●M-12.「I HATE YOU」
仮タイトルは「FUCK FUCK」。
この曲は思いっきりぶっ壊れた曲が欲しいというところから生まれました。
ひたすら激しくただただ激しく。そんな曲なので歌詞もひたすら卑俗で汚い言葉で罵倒しています。
何に対して怒りの感情をぶつけるのが良いのか?と思うと、やはり対人が何よりも強く表現出来ると思い、
各々の嫌いな人へ思いっきり嫌い!と叫び、共にスッキリ出来る健全な楽曲に仕上げたつもりです。
私はあなたが途轍もなく嫌いですと面と向かって言えたら気持ちいいでしょうね。
ちなみに私は気にせず言うタイプです。だって嫌いなんだもの。
この曲は昨年の年末ワンマンでプレゼントしまして、今回アルバムではギターを録りなおしたり、
ミックスもやりなおしをしましたが、歌はそのままにしました。
というのも、実は昨年の歌録りの時に風邪をひいてまして、なかなか体調が悪く、スーパー鼻声で、
本来歌録りをするなんてあり得ない状態でしたが、元気いっぱいな時よりこういう体調が悪い時の方が
憎しみを込めるにはリアルなんじゃないかと思い、その力を借りてブチまけました。
ライブでご存知の方もいらっしゃると思いますが、余興めいたものが段々と定着しつつあります。
あれは急に思いつき、急にやってみただけなのですがどうなんでしょうか?
自分の想いとしては、折角のライブですしどうにか楽しんでもらいたいという一心で、
全力でくだらないことを考え、憎しみや言わばストレスを全て出し切ってもらって、
最高の笑顔を引き出す時間だと思ってます。
全力で馬鹿やって誰かが笑うなら、それもとても大切なライブの在り方だと思います。
カッコよくて面白くて泣けて、最終的には幸せだと思える。
それが俺の目指すDARRELLのライブであり、生き様だと思ってます。
嫌な事があったら逢いに来い。お前の居場所は守ってやる。
良い事があっても逢いに来い。全部受け止めてやる。
何にもなくても逢いに来い。更に幸せにしてやる。
うんこ。
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●M-13.「CALLING」
アルバムのラストを飾る切なく美しいバラードです。
アルバムのラストは絶対にこの曲と決めていたので、仮タイトルは「ラスト・バラード」。
個人的にアルバムという一つの作品を締めくくる曲はとても大切で、アルバムを締めくくり
更には次の作品に繋がる強い想いの籠った楽曲が絶対必要だと考えてます。
激しい楽曲や光に満ちた輝かしい楽曲でも良いのですが、「DARXNESS」という作品のラストは
バラードであり、この曲でしかありえませんでした。
強い想いを込めた結果、歌録りでお恥ずかしながら号泣してしまい、そのテイクをそのまま採用しました。
これも先ほどの「I HATE YOU」同様にリアルを求めたからです。ですがこの曲はリアルな表現ではなく正にリアルそのものです。
歌詞は大切な人へのメッセージです。それが誰なのかは聴いた人が各々の大切な人を思い描いてくれれば良いと思いますが、
個人的な解釈をしますと、それが誰であれ大切な人に大切だと想う気持ちや大切だと伝える言葉というのは、
本当の意味では伝わらないと思っています。夢も希望もないのかも知れません。
どんなに強く想っても伝えても全ては伝わらない。人の心は誰にも理解出来ないんです。
何度も何度も大切だと伝えても、想いの全ては届かず、時間と共に薄れ、忘れてしまうのが人間であり、それで正常です。
そしてその想いを伝える事も同様にいつか薄れ忘れてしまうのだろうと思います。
だからこそ、何度でも何度でも、大切だと、確かめ合うように、ほんの少しでも伝わる事を願い、
一生をかけて伝え続ける事が何よりも大切だと思う。そんな想いを、命を吹き込みました。
歌詞の最後に「またねと さよなら」という言葉を置きました。
「また会う約束」という意味にも取れる良い言葉だと思います。
ですがその反面、もしかしたら「叶わない約束」と捉え辛いと思う人もいるのでしょうか。
そんな心理の無限ループでアルバムは幕を閉じます。
閉じるのか、それとも開くのか。
これこそが「DARXNESS」。
そんなこんなでDARRELL 1st ALBUM「DARXNESS」全曲解説をしてみました。
どうだったでしょうか?楽しめましたかね。
これを読んでアルバム発売までワクワクして頂けると幸いです。
またアルバムを聴いてもらってふんふんなるほどーとなって頂けたら嬉しい限りです。
そして解説ではないですが、今回のアルバムも全曲セルフレコーディングでミックス&マスタリングまで
全て手掛けております。そして毎度毎度クオリティーが上がり、満足しています。
音質のこだわりや、DARRELLを一番理解している人が最高の状態に作り上げたアルバムの楽しみ方として、
その辺りも聴いて楽しんでもらいたいです。
ヘッドホンで聴くのもオススメです。
最高のアルバムです。胸を張って言えます。最高です。漏らします(笑)
一生愛してもらえる作品だと思ってます。
どうぞ宜しくお願い致します。

